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アンケートから始まる異世界生活  作者: 仁奈
第一章 アンケートから始まる異世界生活
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第二問 選択の回答は慎重に


初めまして、仁奈です。

練習の一環として挙げていきます。ちなみに何の練習かは…秘密です。

よければ忌憚ない意見をくださいね。

※建前ですので、本気にしないでください。心閉ざすかも。笑。


第2話です。

選択する時ってどうしてこんなにも悩ましいですかね。

あゝ楽にいきたい。



全13話を予定しております。

短い間よろしくお願いします。

ある冬の日、数日ぶりに外に出た僕は、街頭アンケートのキャッチに引っ掛かった。キャッチの女性と高度な心理戦を繰り広げるも見事に敗北。参加賞を受け取って、早く家に帰ろうと案内された部屋に入るとそこはプレゼントが置かれた事務室ではなく、草原が広がっていた。



「なんだ、これ?」


キャッチの女性から案内された部屋の扉をくぐると、そこには建造物一つない草原が広がっていた。パッと後ろを振り向くも、先ほどくぐった扉はなく、どうやら戻ることもできないようだ。


「……どうしよう?」


疑問や不安から自然と口から漏れ出した言葉があたりの静けさをより強調し、殊更に僕の心をかき乱す。


「えっ、えっ、何これ、異世界転生?いや、死んだ覚えがないから転移なのか?ゲームとかしてないぞ?…まさかどこまでもドアが完成していたのか?その実地調査がアンケートの目的だったのか?確かに自然の中の暮らしには興味があるけど…。」


独り言は止まらないがだんだんと落ち着いてきた。しかしこの状況を説明できる理屈は見当たらない。途方に暮れ、ふと顔を上げると日が傾き始めていることに気づいた。とりあえず今後の方針を決めるべく、わかったことを整理してみることにした。

周囲は草原に囲まれ、幸か不幸か動物、ここではモンスターかの気配はない。また水たまり場ようなところもないので、食料の補給はできないだろう。ただ、僕のいる場所は一本の道の上であるようで、うっすらと轍が見える。うん、どうしよう?いつ着くかわからない街を目指して道を進むか、誰か来るのをここで待つか。よし…待つことにしよう。

決して歩くのが面倒だとか、買った漫画を読みたいとかという消極的な理由ではなく、遭難した時はその場から動かない方が良いと見聞きした覚えがあるからだ。それに手にした漫画はちょうど異世界ものだし、この状況の対処法が載っているかもしれない。


「よし、勉強するか」


誰に訊かせるのか知れないが、言い訳の根拠を作りつつ、漫画を背中の鞄から取り出す。


『転生先は弱小国家の王家⁉︎魔物との共存路線を進んでいたら魔王の一角になっていた件』


あ、これ。…内政ものだった。




日もすっかり落ち、地平線が閃光の如き赤く輝く頃、僕は泣いていた。


隣国に拐われた魔物である友達を助けるべく奮闘する主人公。クライマックスその友人と友情を確かめるシーンは饒舌にし難い感動があった。これから主人公は友人たちと共に魔王としての物語が始まるのに追うことができないなんて…つらすぎる。世の中の転生者たちはこの空虚とも呼べる感情を味わっていたんだとしみじみしていると辺りは一寸先も見えないような暗闇に包まれていた。どうやら今日は馬車は通らないらしい。僕は先ほど鞄から漫画を取り出す時に見つけたお菓子、レーズンサンドを一つ食べると鞄を枕に横になった。


「明日の僕頑張れ」


そう呟き、ゆっくり瞼を閉じた。




翌日、空の端が乳青色に染まり、空気がおおらかと輝き始めた頃、体に圧迫感を感じ、目が覚めた。重い瞼を開け、圧迫感の原因を探ると見知らぬ少女が僕の腹部から下部分を横たわるように仰向けにもたれ掛かっていた。


「っ!」


反射的に体が跳ね上がり、横になる少女ごと体を起こしてしまった。

少女はそのまま地面に寝転ぶ形になったが、反応がない。死んでしまったのだろうかと恐る恐る手を伸ばし少女の体にそっと触れると微かに鼓動を感じられた。


「よかった、生きていた」


安堵から思わず声が漏れ出た。ホッとしたのも束の間、なぜこのような場所でラブコメ的展開もとい、少女が寝ているのかと、自分のことを棚にあげつつ周囲に目を向けると愕然とした。

昨晩まで一面が緑一色で染まっていた草原におそらく馬車のだったものの破片が幾つも散らばっていた。よくみるとその破片の一部は赤く染まり、周囲には鉄のような匂いがする。


「えー、何があったのこれ?」

乾いた笑いと共にそんな言葉を口ずさむ。なんか知らんけど僕が寝ている間に一幕下りていた。周囲の状況を見るに相当な騒動があったに違いない。だって、明らかに人が死んでてもおかしくない光景だし。なんでこれに気づかないの?自分の鈍感さに呆然としていると背後から肩を叩かれた。

びくりと体を震わせ、ゆっくりと後ろを振り向くと、背の高い男性?がこちらに向かって立っていた。全身を黒装束に包まれ、目元を覆い被すほどのフードを被っている。よく見るととこどこ赤く染まっているのがわかる。間違いないこの騒動の当事者それも加害者寄りだ。その人の顔見えないが明らかにこちらに視線を向けている。


「…」


沈黙が場を支配する。空気が張り詰め緊張で体が固まる。静けさに耐えきれず、声を出そうとすると、目の前の人は腕を突き出し歩み寄ってきた。その姿に重要なことを忘れていたことに気づかされた。魔法だ。この世界はきっと魔法が存在する。あいつはただ見つめていただけではなく詠唱か何か魔法の発動の準備をしていたのか。こんな距離意味なんてないんだ。肩を叩いたのは恐怖心を煽るためか、それとも情けなのか。わからないが殺される事だけはわかる。殺される覚悟を決め、身構えているとその人はそんな僕の横をそまま通り過ぎ、地面に横たわる少女の頭を優しくそっと撫でていた。


…紛らわしいよ!と突っ込みたくなったが、僕は空気が読めるので我慢した。事件現場で横たわる見知らぬ少女を優しく撫でる謎の人物。それを呆然とみつてめる僕。朝からどういう状況なのこれ⁉︎、頭の疑問符が溢れ出した僕は、自然と謎の人の傍に寄り、声を掛けていた。さっきまでの沈黙が作り出した緊迫した空気はどこかいっていた。


その人は少女から僕に視線を移し、何やら考えるそぶりを見せるとこう言った。


「この子を頼んだ。」


「はい?」


一瞬、言われたことを理解できず目を瞬かせると次の瞬間にはその人は目の前から消えていた。


何も解決していなんだけど…。うん、昨日の僕、今日の僕には荷が重いようだ。ははは…。


乾いた笑い声が何もない草原に響き渡った。


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