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アンケートから始まる異世界生活  作者: 仁奈
第二章 繋がりから始まる異世界生活
16/17

第一五問 アンケートの主流はインターネットらしい②

遅くなり申し訳ございません。


15−2です。

 リディは伝えるべくことを思い出したように頭を小さく横に振り、僕のそばまで駆け寄ってきた。


「カイ。おはよう。突然で悪いけど、勇者がもう向かいの通りまで迫っているらしいから一旦外に出るよ」


『待ってください。まずは勇者の動向を確認すべきです。誤って出会したらまずいですよ』


「…ねえ、カイ。今はふざけてる場合ではないのだけど」


 乾いた笑みをこぼしながらリディは僕に鋭い視線を向けてきた。


 どうやらスマホで遊んでいると思われたようだ。心外だな。僕だって線引きぐらいは弁えているのに。例え、先生が道具であっても僕にとって唯一無為のずっと側にいてくれた話し相手なんだから。


「いやいや、リディ。僕はいつだって真面目だよ。ねえ、先生(シア)?」


『っ!……あなたが真面目かどうかは知らないですけど、少なくとも今はふざけていますね』


「…」


「待って、そんな目を向けないで!…先生、嘘だよね。学校の勉強に始まり、色々真面目な質問してきたじゃん。そりゃ時には、しりとりとかおふざけもしたけど、それは交流ってもんでしょ!知らないは流石に傷つくんだけど」


「はいはい、カイは真面目だから。それよりも、先生は生き返ったんだね」


 リディは適当に僕をあしらうと一変して嬉しそうにそういった。


 最近リディは僕の扱いが雑になった気がするし、先生も冷たいけど、意思を持って自然と会話ができるのは正直とても嬉しい。えっ、勇者?もうどうでもいいね。今は先生が生き返る、いや誕生を祝うのが最優先だ。


 僕らが先生の方にキラキラした視線を向けていると先生はスマホを横に忙しなく振りながら応えた。


『あの先ほど私のことを先生と呼んだりしてますけど。私はあなたたちが思っている先生ではないです。…あなたは全て気づいているのでしょ?先ほど私の名前を呼びましたよね?』


 先生は僕に薄暗く明かりが灯る画面を向けながら衝撃な事実を告げた。


 目の前で浮かぶ先生は僕の知る先生ではなかった。今まで会話が成り立っていたのは何だったの?加えて僕がその事を知っていたって。それじゃあ、まるで僕が。


「カイ、あなた…」


「ふざけてたわけではないから!本当に何も知らないから」 


『えっ、本当に知らないのですか!?』


(そんな、今までのは偶然?まあ、名前も愛称の一つを呼ばれただけだし。いや、まだ能力が完全に開花していないと言うこと?ああ、アケディス様に文句の一言を言いたいものです。しかしそうなると…)


 先生?は驚愕の声を発すると、黙り込んだ。しかしその薄暗い画面には文字がつらつらと書き起こされていた。どうやら思ったことが、文章として表示されるみたいだ。


「あの、結局あなたは誰なんですか?」


 リディは首をかしげながら、黙々と文字が表示されていくスマホに向けて疑問を口にした。


『あ、そうですね。私の名はシルティアと言います。この世界の管理者の一人とでも言いますか。手違いがあって今はあなたたちが言うスマホ?先生?に閉じ込められています。…」


「世界の管理者…それにシルティア、まさかあなたは」


『はい、お察しの通りです。リディさん、あなたは誰かさんたちと違って話が分かりますね。この世界の通貨や信仰の対象にもなったりもしてます。ただ今は時間がないので、また今度詳しく話しますね』


「そうだった。勇者が迫っているのでした」


『そうです。その対応を考えなければならないといけないのですが…』


「ああ…」


 二人は僕の方を見ながら互いに頷き合っていた。


 非難されているような気がするが、僕は何も知らないんだから、きっと気のせいだろう。だから、そんなことで分かりあわないでよ。だって、神様だよ。そんなの予想もつかないって。あ!もしかして、僕がこの世界にきたのにも関係しているのか。


 二人で会話が進み僕が置いてかれているのをいいことに色々考えていると


「ねえ、カイ。聞いている?」


 リディが険しい顔をして覗き込んできた。確か、勇者が来たから逃げるとか言う話だったような。そこもよくわからないんだけど。


「勇者だよね。でも何でそんなに焦っているの?むしろ歓迎するものじゃないの?だって勇者だよ」


『あなたの世界ではそうでしたが、ここでは事情が違うんですよ。勇者は」


バンっ


 シルティアの説明を遮るように再び、部屋の扉が大きく開かれた。入口にはエリカが立っていた。その顔は少し汗染みていた。そして静かにしかし皆に訴えるようにこう叫んだ。


「勇者がギルドに着いたよ!」


 …メリーさんかよ!もしかして、何も知らない僕を皆で怖がらそうとしてるの⁉︎


 ふとそんな怪談を思い出してしまったが、まあ、違うよね。現にみんな真面目な顔してるし。


『勇者は今何をしていますか』


「今、はおそらくギルマスと話していると思うけど…あなたは?先生ではないよね」


『私はシルティアと言います。詳しいことは追々にしてください』


「っ!…そうですね。」


 エリカは少し驚いていたがシルティアと簡単に挨拶を済ますとすぐさま落ち着きを取り戻し。今後の対応について話始めた。


「それで、シルティア様なら勇者をどうにかする事はできないのですか?一応、勇者は教会に帰属しますけど」


『確かにそうなっておりますが、直接私が関与してるわけではないので、すぐに解決とはいかないです。それゆえに「勇者」の称号は私たち管理者の中でも問題となっておりまして、こうして対処しにきたのですが、色々と手違いがありまして…』


 シルティアはそう言うと、僕の方をチラリと見た。何か言いたそうだが、とりあえず僕はずっと疑問に思ったことを改めて口にした。


「ねえ、いまいち状況がわからないんだけど…勇者は悪い奴ってことでいいんだよね?」


「そうね、私は両親から「勇者が来たらすぐに逃げなさい」と強く言われたわ。何でも会うと殺されるらしいから」


「まあ、リディのところは当然よね。私のところも似たような感じかな。実際に獣人の集落が勇者が率いる軍勢によって壊滅した記録があるぐらいだし。…勇者はあくまでも人間にとっての勇者であって、救世主ではないんだよ」


 そうか、この世界は、人間至上主義だったけ。そのせいで、リディは酷い目にあったし、獣人であるエリカもきっと相当苦労したんだな。ほんと人間以外の人類はどうでもいいんだ。それは勇者も例外でもないということか。いや、エリカがいうように行動の根ざす対象が限定されているだけなのか。


『全てが悪い人ってわけでもないんですけどね。「勇者」の称号を得る経緯とその効果が問題なのです。』


 シルティアは二人の説明を補いつつ、今ギルドに訪れている勇者が東の勇者かどうか聞いてきた。彼女がいうには、そいつはかなりの問題児らしく、どういう意味かわからないけど、僕がよく知る勇者だって言われた。


「ごめんなさい。まだ直接は見ていないの。その前にギルマス達に部屋に戻るように言われたから」



 エリカがそう答えるとシルティアは『そうですか』と一息つき、僕の方に近づいてきた。


『ダメ元で聞きますが、「観測」の能力をどこまで理解しています。「心象」は使えますか?』


「しんしょう?それはよく分からないけど、能力自体は、ようやく意識的に使えるようになってきたってところかな。エリカは知ってる?」


「うーん?技能の極致に「身象」というのがあると噂で聞いたことがあるけど」


 さすが、エリカ。僕らの魔法の先生なだけあると思っていたが、目の前のスマホは横に揺れていた。


『それとは、対になるものですが、そうですか。まだその程度ですか。しかし仕方ありませんね。「心象」が使えたらリスクを大きく減らせたのですが、これは教わって使えるものではないので、危険ではありますが、直接勇者を確認しに行きましょう』


 シルティアはそう言い残し、部屋の外に出ていってしまった。


 まだ、よく分からないことが多いけど、僕は、二人には部屋に残るように伝え、勇者のご尊顔を拝みに扉のドアノブに手をかけた。





お読みいただきありがとうございました。



 「誰か!私に鍛冶屋を紹介してくださいぃぃぃぃ」

 「わしに何かようかな?」

 「っ!あなたは!」

   声のした方を見るとそこにはいかにも職人らしい格好をした背丈の小さいお爺さんが腕を組んでいた。

 「この盾の修繕と、他にも防具を色々見繕ってください」

   私は、お爺さんに縋るようにそう願った。

   すると鍛冶屋のお爺さんは驚愕に目を見開いた。

 「こ、これは………」

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