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第一問 アンケートに応える時は迅速な判断を

初めまして、仁奈です。

練習の一環として挙げていきます。ちなみに何の練習かは…秘密です。

よければ忌憚ない意見をくださいね。

※建前ですので、本気にしないでください。心閉ざすかも。笑。


全13話を予定しております。

短い間よろしくお願いします。


とある冬の日、僕は終業式の日学校に行ったきり、久々に外に出ていた。当初の予定では、冬休み中外に出る予定はなかったが、読んでいる漫画の店舗限定特装版が本日発売されること気づき、自宅から1時間ほど電車に乗り、街の中心部にあるオフィス街を歩いていた。

街は年始ということで、平日のオフィス街ではあまり見慣れない着物を着たカップルや高校生ぐらいグループがちらほら見られる。家族連れも多く、歩道は混雑していた。

そんな中、僕は一人ソワソワしながら手にした目的物に期待を膨らませ、信号が青に変わるのを待っていた。


「そこのお兄さん。お時間いいですか。暮らしに関するアンケートにご協力お願いします。」


信号のカウントがもう直ぐ0になるところで、後ろから優しいそうな女性の声が聞こえた。

声がした方に顔を向けるとラフな服装で身を固めた女性がペンと紙を持って立っていた。


「5分ぐらいで済みますし、ちょっとしたプレゼントもご用意しておりますのでご協力よろしくお願いします。」


面倒なことになった。せっかく買いたいものを買ってあとは帰るだけだったのに…。こういうアンケートって胡散臭いんだよな。テレビの取材とかなら分かるけど、ペンと紙だけ持って、少し崩したような服を着た女性が、僕みたいなボッチに声をかけるということはそういうことだよな。うん、詐欺だな。ただ、即断るのはなんだか申し訳ないので、「えー」とか、「あー」とか適当に言いながら、「急いでるので」と断り言葉を口に出そうとした時、周りが静かになったことに気づいた。信号に目を向けるとさっき青になったのが嘘のように赤に変わっていた。えっ、信号変わるのはやない?信号が変わったのに困惑しつつ女性の方に向き直ると、女性は笑顔で紙を差し出して…


「お時間よろしいですか。」


「……はい。」


やられた。この女性、ここの信号が早く変わるのをわかっていて声かけてきたな。断る理由を失った僕は仕方なく紙とペンをもらい、緊張した面持ちでアンケート用紙に目を通した。


〇〇不動産


暮らしの希望調査


この度は、お忙しいところお時間をいただきありがとうございます。

最後までご記入していていただ方はお近くのスタッフにお声をおかけ下さい。

プレゼントをお渡しします。


性別

1.男性 2.女性 3.その他


年齢

1.10歳代 2.20歳代 3.30歳代 4.40歳代 5.50歳代 6.60歳以上


お住まい

1.〇〇市  2.××市 3.その他


家族構成

1.独身 2.二人 3.三人 4.四人 5.五人以上


お子様の年齢

1.小学生 2.中学生 3.高校生以上


職業

1.学生 2.会社員 3.公務員 4.自営業 5.その他(         )


年収

1.0円 2.130万以下 3.130万〜200万円 4.201万円以上


部屋の希望

1.賃貸 2.持ちマンション 3.持ち家(戸建て) 4.その他(   )


立地の希望

1.駅近 2.郊外 3.自然に囲まれた土地 4.その他(          )


どのような暮らしをご希望ですか(ご自由にご記入ください)




ご協力ありがとうございました。



…思ったより普通だ。いや普通以下だろこれ。内容薄すぎない?こんな質問で何が分かるんだよと目の前でニコニコと笑顔を向けてくる女性に突っ込みたくなったが、グッと我慢だ。こうやって安心させてから、プレンゼントを渡す際に仕掛けてくるに違いない。

プレンゼントをどうやって断ろうかと考えつつも、アンケートの質問に答え、最後の自由記入欄には「心穏やかな暮らし」と適当に記入し、女性に提出した。

女性は、笑顔でアンケート用紙を受け取ると、僕の腰に手を回し、空いた片方の手で路地裏を指し、耳を撫でるような穏やかな声でこう言った。


「ご協力ありがとうございます。路地裏を少し進んだビルの一室にプレゼントをいくつかご用意しておりますので、お好きなものをお一つお受け取りください。」


不覚にもドキッとし、色香に惑わされて自然と足を運びそうになったが、これはまずい状況だ。どうにかして断ろうとしたが、すでに女性はそばを離れ、路地の出口を塞ぐように新たなターゲットを探していた。

またしてもやられた。さっきの信号といい、アンケートをとるに最適すぎやしないか?この場所。絶対引っかかるだろこれ。被害者は僕だけではないと、だから安心して大丈夫だと不安一杯の心に言い聞かせつつ、女性に言われた通りビルの部屋まで歩いた。

部屋の周囲に人は居らず、すりガラス状の扉に案内文書が貼っているだけだった。中に人がいる気配はなく、本当にプレゼントを受け取るだけの部屋のようだった。

警戒して損したというか、どうやら考えすぎたようだ。ため息混じりの乾いた笑いをこぼしながら、扉をくぐる。すると目の前に見渡す限りどこまでも続く草原が広がっていた。

予想だにしていなかった光景に思わず声が出る。


「なんだ、これ⁉︎」


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