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神々の寵愛  作者: Memu
第一章
11/20

二つ目の代償

「...ジルさん、改めてお聞きします。私たちと一緒に避難して下さいませんか?」

「愚問ですぞ。可愛いカリン様からの頼みとあっては、断る理由もありませぬ」

「...ありがとうございます。それでは___ 」

「ちょっと待てよ、嬢ちゃん。爺さんは納得しても、オレたちは納得しちゃいないぜ」

カリンの発言を遮るように、中年の男は言う。その言葉に若い夫婦も同意とばかりに頷きを返す。彼女たちに残された時間は少ない。黒い焔の気配は、すぐ其処まで迫ってきていた。

「...そうですか。ならば、納得させるまでですね」

 カリンは素早く辺りを見て、若い夫婦の間に隠れるようにして立っているまだ幼い子どもへと話しかける。

「...初めまして、私は闇の国の次期国主カリンと申します」

「は、はじめまして...」

カリンが簡略的な挨拶をすると、二人の間から顔を少しだけ出して戸惑ったようにそう返した。彼の前に庇うように立っている夫婦も戸惑いの表情を浮かべていた。これでいい。彼らから、戸惑いの代わりに警戒の色が薄まるのを感じる。だが、まだ警戒が残っている。完全に消すことはできなくとも、せめてもう少しだけ薄めることができれば。そう思い、カリンはニコリと作り笑いを貼り付ける。

「...藪から棒に申し訳ないのですが...あなたは、あなたのお母様やお父様のことがお好きですか?」

「うん、好きだよ」

彼女の表情につられるようにして、少年は先程よりも少しだけ二人の間から此方に顔を出し笑顔で即答した。

(今から私はこの笑顔を壊さなければならないのですか)

その返答にカリンは胸に何か痛いものが走るような感覚を覚えながら、視線をジルの方へと移す。全てに蓋をして見なかったことにするように___。

「...ジルさん、このお家は一体どなたのものなのでしょうか?」

「カカッ、カリン様。このようなオンボロに気を使わなくともいいのですよ。この建物はワシらが城の者達や外部から来た者達の動向を探るために使っていただけのものですゆえ」

「...そうですか。では、失礼して___ 水属性 初級魔法:水弾」

 カリンの詠唱に合わせて、彼女の周りに三つの水でできた銃弾が生成される。それをあばら家の正面ドアから向かって左手にある壁に向かって三弾同時に放つ。即ち、城のある西側へと。放たれた水弾はカリンの魔力操作により、あばら家の崩れかけた壁を破って、その先にある黒い焔の中へと一直線に向かっていく。そして水弾はジュウッ...と音を立て、焔にぶつかった瞬間蒸発する。そうして、露わになった黒い焔の全容に少年は顔を引き攣らせる。その出来事に動揺を見せたのは、少年だけではない。彼の両親、そして先程までカリンに発言していた中年の男も、後ろで控えている彼女の部下すらもその例外ではない。

「ま、まじかよ。魔法で壁に穴開けやがった」

「ひっ!...あれ、なに?」

「...あれは、この国を呑み込む焔です。それは、建物であろうと人であろうと関係ありません」

「っお母さん、お父さん。早くここから逃げないと」

「「......っ!!」」

本心から告げる少年の言葉に両親は目を見開く。同時に、カリンの狙いは初めからこれだったのだと確信する。

 一方で、先程からずっと主の邪魔にならないよう、半ば空気と化している攻撃部隊副隊長テニュウはこの光景に一人瞠目する。この中で魔法を織り交ぜながらの実戦経験が最も多い彼だからこそ驚きを隠すことができない。

(カリン様は一つの詠唱で水弾を三つ生成された。いくら初級魔法とはいえ、同時に生成することは中級魔法を二つ連続詠唱することと同等程度に難しい技術のはずです。そして、何よりも驚きなのがその後...生成した水弾を決して短いとは言い切れない距離で同時に操作し精密に壁に当てることに成功していらっしゃる。カリン様は以前、魔法は苦手だ、と話しておられたが、これは苦手というレベルでは___ )

「...副隊長さん?......テニュウさん、大丈夫ですか?」

「あっ、はっはい。申し訳ありません。少々考え事をしていまして」

「...そうでしたか。副隊長さんたちは避難する準備をしていて下さいね。此方はもう少しで終わりそうですので」

「「「はっ、承知いたしました!」」」

 ピタリと息のあった返事にカリンは頷きを返すと、常々感じていたことを無意識のうちに吐露する。

「...テニュウさんって、偶に抜けていますよね」

「えっ...!?」

「やはりカリン様もそう思われますか」

「わかります。副隊長って普段は知的なイメージなんですけど、意外とぼんやりしているときとかありますよね」

一応は上官であるにも関わらず中々な言い分であるが、初めに口を滑らせてしまったカリンには、それに対して文句を言うことができないだろう。副隊長は三人からの評価に終始困惑しきっているようで、視線をおろおろと彷徨わせていた。

「...そうなのですか。そのお話、今度詳しく聞かせて頂いてもよろしいですか?」

「はい、もちろんです」

「というか、副隊長ってテニュウ...さんって言うんですね。僕、初めて知りました」

「あ、ああ。そうか」

「...副隊長さんは、名前で呼ばれるのがあまりお好きではないようですので」

「いえ、そ、そんなことはありません。_この名前はカリン様から頂いた大切なものですから」

先程までの困惑は何処へやら、副隊長はやけにきっぱりとした口調でそう言い切った。その力強い肯定にカリンは自身の選択が間違っていなかったことを再確認する。彼女の部下たちの中でも、テニュウは数少ない特別の一人だった。彼には、名前があったのだから。だから、カリンは彼にそれに近いものを贈った。これは、ラウすら知らない二人だけの秘密。ただ、彼の名を呼ぶとき少しだけ曇ったような...一瞬だけ影がさしたような表情になることに気がついた。テニュウの中にどのような葛藤があったのかもわからないが、彼の言葉は確かにカリンの胸に温かみをもたらした。それが何を示しているのかはわからないが、ただ懐かしい...この感情の名前を想い出した。

「あっ、あの。すみません、お話中」

「...はい、なんですか?」

「あの、息子達と話し合って決めたのですが、やはり避難することにします」

「...そうですか。私もそれがいいと思います。......良かったね」

「うんっ、お姉ちゃんたちよろしくね」

「...はいっ、もちろんです」

 家族三人の避難が決まり、カリンは残る一人に目を向ける。もう少し駄々をこねたりするのかと身構えていたが、中年の男は手で顔を抑えながらやけに楽しそうに言う。

「いいぜ、オレも避難することにした。それにしても、嬢ちゃん面白えな。嫌にマジメなやつかと思ってたら、いきなり壁壊すし」

「...面白い、ですか?」

「カリン様、此奴は放置してよいですぞ。とにかく、皆で此処から出ましょう」

「...ですね。それでは、皆さん準備はできましたか?」

カリンの言葉に七名それぞれの肯定を返し、早速とばかりにテニュウが役割を決めていく。彼の頼もしい姿には、ある種の感慨深さが感じられるだろう。

「嬢ちゃん、よろしく頼むぜ」

「...はい、もちろんです」

その結果、カリンは中年の男と共に避難することになった。テニュウはジルと共に、残った新人二人は若い夫婦と少年と共に避難する。この順番で、黒い焔に近い位置を走るというわけだ。本来なら、カリンが戦闘を走るべきなのだろうが、中年の男からの提案によって今の形となったのだ。勿論、カリンが水弾によって破壊したところからではなく、きちんとドアノブの外れかかったドアから外へ出る。

「意外と近いですね」

「...皆さん、なるべく急ぎましょうか」

怪我等には十分注意することをしっかり言い含めてから、東の正門に向けて走り出す。前方を行く五人は攻撃部隊の新人の一人が少年を背負って走り、それを追いかけるようにテニュウとジルが続く。出発前ジルの体を心配していたが、まだまだ現役らしくその走りは速い。そして、そんな彼らとは少しだけ間を開けて、カリンと中年の男が走る。これも、中年の男からの提案だ。断れば避難しないと言われ、止む無く承諾したのである。

「なあ、嬢ちゃん。オレが何故あんな提案をしたのかわかるか?」

「......はて、何故でしょうか?」

「_嬢ちゃん、嘘が下手だな。そうだ、嬢ちゃんが思っている通りオレはこの避難に心から納得したわけじゃねえ」

「...当然のことです。私があなたが避難すると言わざるを得ない状況を作り出したのですから」

 あの状況で全員を避難させるために、必要なことだったとは言わない。カリンが思いつかなかっただけで、あの時もっといい作戦はごまんとあっただろう。中には、今横を走る彼がこの避難に心から納得した状態でいくことのできた作戦だって___。

「うっ...、そう素直に言われると責めてるオレが大人気ねえだろ」

「...申し訳ありません」

「いや、別に謝ってほしいわけじゃなくてな。と、とりあえず、顔上げてくれよ、嬢ちゃん。さっきから、視線が突き刺さってしょうがねえや」

笑い混じりに中年の男に言われ、カリンはようやく顔を上げる。そして、彼の言う通り、先程から視線を感じていたジルとテニュウに笑いかける。彼らはカリンへ微笑み返した後、前へと向き直っていった。

「それでよ、さっきの話の続きだが...オレはな、嬢ちゃんと一緒にあの焔に呑み込まれるつもりだったんだよ」

「......つもりだった、ですか」

「ああ、実際に行動に移そうかと思ったんだけどよ。嬢ちゃん見てたら、なんか急に自分のしていることがバカンスらしく思えてきたんだ。さっきだって、年下の子に頭下げられてオレは何やってるんだろうなって」

「...そうでしたか」

自身の行いを真に責めるような口調で言われ、カリンは少しだけ言葉に詰まる。この状況で、責められるべきはどちらなのか彼女にはわからない。今、この場に彼がいれば何を言ったのだろうか。カリンには、それもわからないのだった。

 黒い焔とカリンたちとの距離は段々と縮まっていく。民たちに合わせてペースを落としていることもあるが、焔のスピードが明らかに速くなっているのだ。しかし、カリンたちの正面には徐々に正門の姿が見え始めていた。

「...あともう少しですね」

「はあ、はあ。そうだな。流石に、疲れたぜ......嬢ちゃんは、何でそんなに、息が切れてないんだ?」

「...元々、体力には自信がありますので」

荒い息を吐く中年の男の隣で、一定の呼吸のリズムを保ちながら走るカリン。そんな彼女の様子を彼は興味深げに眺めている。正直眺めるのはいいが、横を向いてこけてしまう可能性があるため、前を向いてほしいところだ。

「それにしても、後もう少しみたいだな。ていうか、爺さん足速すぎだろ」

「...ですね。昔は足が速いということはなかった...というか、城に来た当初は運動全般が苦手でしたが」

「そうだったのか...爺さん、苦労したんだな」

「......はい?何かおっしゃいましたか?」

「いや、何でもないさ」

そんな彼女の思いが通じたのか、中年の男が前に向き直ってカリンの話しかけてくる。彼の言った通り、確かにジルは苦労したのだろう。幼少期のカリンは、今と比べ物にならない程、お転婆で手のかかる子どもだったらしい。彼女の母は、昔から体が弱かったためそんなカリンの世話もほぼ全てジルがしていたのだ。必然的に、身体能力も上がるのだろう。

「...さて、お話もこの辺りにして......っ!!」

「嬢ちゃん?どうしたんだ...って、あれなんだ?」

「......わかりません」

 隣を見ながら話しかけたとき、カリンの視界の端に何かが映る。振り返ってみると、黒い焔に紛れて裏門の方から煙が上がっているのだ。すぐにリンカへ思念伝達を送り、状況の確認を図る。

『...リンカ、そちらで何があったのですか?』

『カリン様...、申し訳...りま...せ......』

『...っリンカ!?リンカ、聞こえていますか?』

『......て、き....が..........妨害を___ 』

ドゴォン...と、大きな音がして裏門の方が一瞬真っ白に染まる。雷が落ちたのだ。その影響は此方にも届き、カリンたちが走る地面も余波で揺れが生じる。

「うわっ...!」

「「「......っ!!」」」

皆が突如発生した余波に耐え、その場に足を止める中、一人体勢を崩し倒れる者があった。

「大丈夫か?」

すぐさま、近くにいた父親によって少年は抱え上げられる。幸い、外傷もなく時間のロスもあまりなかった。安堵の空気が広がる中、カリンだけは水灰色の瞳で後ろを睨んだままだった。一面、白に染められていた景色は本来の黒い焔の姿を映し出す。リンカたちとは、依然として連絡が取れない。だから、彼女は気づかなかった。右後方を振り返ったとき、カリンの左隣をずっと走っていた者の姿が見えないことに___。

 後ろをチラチラと振り返りながら走るカリンの視界の端に、蹲る中年の男の姿が映ったのは走り出して少し経った頃だった。

「...っ!!大丈夫ですか?」

「あ、ああ。実は、さっき足を痛めちまって...」

大丈夫だ、というように、中年の男は此方に笑みを向けてくるが、お世辞にも大丈夫なようには見えない。カリンが気がつくまでに時間がかかったせいで、中年の男との距離は開いてしまった。おまけに、後ろからは黒い焔があと百メートルと少しという所まできている。

「...立てそうにはありませんね。今向かいますので、其処で大人しくしていて下さい」

「すまねえな、嬢ちゃん」

「...いえ、私のせいですので......戻るのは、私だけで十分です。ジルさん、彼は必ず連れて行きます。テニュウさん、後は頼みました」

「ワシはカリン様のことを信じております。行ってらっしゃいませ」

「はっ、承知いたしました。カリン様、ご武運を」

「...はい」

不甲斐ない主で申し訳ありません、と心の中だけで付け加える。こんな自分には、勿体ない程の言葉と期待の全てを背負って、彼女はくるりと方向を変え後ろへと全速力で駆け出した。

「...はぁっ、はぁっ。足を、見せて、いただけますか?」

「どうだ、嬢ちゃん?」

 乱れた息を整えながら、カリンは中年の男が此方に差し出した左足を診る。どうやら足を捻ったらしく、足首の辺りが赤く腫れていた。手当てでもしたいところだが、あいにくカリンは回復系統の魔法をほとんど扱うことができない。此処にラウでもいれば話は別なのだが___。

(そういえば、ラウちゃん遅いですね...)

彼と別れてからまあまあの時間が経過している。そろそろ、心配になってくる頃合いだ。

「...足を捻ったようですが、腫れがひどいですね。歩くのならば大丈夫でしょうが、走るとなると難しいでしょう」

「そうか。...なあ、嬢ちゃん、オレのこと置いて行ってくれていいんだぜ」

少し震えた声で中年の男はカリンに告げた。彼が善意からそう言っていることなんてわかりきっている。彼が心の中では、助けてほしいと訴えていることだってわかっている。だから、カリンにはこの男を見捨てるということがどうしてもできない。その選択肢を考えることですら、彼女の中の何かがそれを拒むのだ。自分のこういうところが弱いのだろうな、とカリンは自虐的に思う。自分でもわかっている。だからといって、どうしようもないことも知っている。

_だから、代わりに考えろ。この状況を打破できる方法を。彼を連れて皆で避難できるそんな素晴らしい作戦を。此処にラウはいない。一人で考えるんだ。彼は絶対此処から連れ出さなくてはならないから。中年の男を走らせるのは論外だ。どうにか、彼を連れて行くことは___。

「...っ私が彼を背負っていく......それだと足が遅くなる分、黒い焔に追いつかれる可能性が高くなりそうです。ですが、悪くはなさそうです」

彼女の不注意が招いたこの状況にやっと活路が見え始め、知らないうちにカリンの口角が吊り上がる。まずは黒い焔との距離を見て、其処から自身が大人を一人背負ったとき、どのくらいの時間で追いつかれるのかを逆算して考える。大丈夫だ、きっといける。

 一転して淡い光が見え、カリンが後ろを振り返ろうとしたときだった。ゾクリ、と嫌なものが彼女の背筋を走った。次いで、後ろを振り返ってはいけないという警告が頭の中で鳴り響いた。振り返れば何かカリンにとって良くないものがある、と悟った。だが、彼女はその全てを振り払って後ろを振り返る。


かくして、カリンは見てしまった。


「......プーパくん」

黒い焔の中に目を閉じたまま呑み込まれている彼の姿を。近くで見たことがないからわからなかったが、意外と中に呑み込まれたものが透けて見えるのだな、なんてことを頭の中の冷静なままの一部が思考する。カリンの体はその場から一歩も動くことはなかった。目の前の事象以外の全てが頭から吹き飛んでいた。

「嬢ちゃん、どうしちまったんだ!?おい、このままだと、嬢ちゃんも呑み込まれちまうぜ!!」

「...どうして、プーパくんが......もしかして、ラウちゃんもこの中に.........」

中年の男が傍らで必死そうに何事か言っているが、カリンには何も届かない。ただ、ひたすらに黒い焔の方を見つめて呟いている。彼女がとっくに正気ではないことには、気がついている。だが、それに気づいたとしてもカリンを元に戻す術がわからないのだ。彼女と過ごした時間があまりにも短すぎるゆえ、中年の男はカリンのことを何も知らない。そういえば、カリンの方は自分の名前すら知らないのではないか、と唐突に気がつく。しかし、今は名前等を流暢に言っている時間はない。せめて、カリンだけでも此処から避難させなければ___。

「嬢ちゃん、すまねえな...でも、許してくれるよな。これは、オレの最期のワガママなんだからよっ!!」

「...は......」

隣から何か凄く重要そうな言葉が聞こえてきた後、カリンの体は黒い焔とは逆の方向へと投げ飛ばされる。一瞬にして思考を此方側へと引き戻され、カリンは困惑気味に中年の男の方を見る。彼女からの視線に気がついてか、はたまた最初から此方を見ていたのか、ちょうど彼がカリンに向けて手を上げたのがわかる。中年の男の後ろには、今にも呑み込みかからんと黒い焔が迫ってきていた。彼は渾身の力を振り絞ってカリンだけを逃がそうとしたのだろう。未だ、地に足がつかないでいる自身のことを見下ろしながら彼女は思う。このままでいいのか?自分だけ避難していいのか?まだ名も知らない彼のことを此処で置き去りにして本当にいいのか?

「...全然、よくなんてありません」

気がつけば、カリンはそんな言葉を口に出していた。それを聞いて、自身の中で確かな意思が固まっていくのを感じた。

(あの人を助けに行かなければ...。ジルさんとの約束を果たさなければ)

作戦なんて考える余裕は何処にもなかった。ただ、いつの間にかカリンの足は地についていて、それなら走ればいいとそう思った。ひたすらに中年の男の元へ駆け出して、ようやく次のことへ思考が至る。

 さて、あの黒い焔をどうしようか。魔法は効かない。触れたら最後、そのまま呑み込まれて終わる。カリンが得意とする戦い方は何一つできそうにはない。ならば、とカリンは自身の胸の辺りに手を当てて意識を集中させる。しかし、彼女からは何の返答も返ってこない。

(やはり、応答はありませんか。ですが、この状況であの方は自身の感情だけで動くような方ではありません。となると、私一人でどうにかできると見越してのことなのでしょうが...一体、どうすれば___ )

考え事をしているうちに、カリンは中年の男のいるところまで戻ってくる。彼女の存在に気づいた男が、苦虫を噛み潰したような表情で言う。

「嬢ちゃん!?何で、戻ってきちまったんだ!」

「...皆で避難するんですよね。だから、貴方のことを置いていくことはできないんです。とはいっても、どのような方法でこの黒い焔から逃げるかは今から考えるのですが。取り敢えず、捕まって下さい」

「ちょっと、嬢ちゃん。何しやがんだ!?」

その場しのぎではあるが、先に考えていた通り、カリンは中年の男を背負う。そして、正門の方へと一目散に走り出す。しかし、いくらカリンの体力に多少の余裕があり、走る速度が速いといえど、大の大人を一人背負っているのだ。必然的に、スピードは落ちていく。

「嬢ちゃん、焔が近づいてきてる。やっぱり、オレのことは置いて____ 」

「...馬鹿なことを仰らないで下さい。誰かのための自己犠牲なんて聞きたくありませんから」

そうは言ったものの、依然として何をしたらいいのかはわからない。こうしてグルグルと考え事をしている間にも、黒い焔との距離は縮まっていく。時間を稼ぐためにも、走らなくては。もっと、足に力を入れて、意識を集中させて...。

(あれ...?)

 ふと、違和感を感じて走るペースが少し緩まる。履いている水色のスカートのポケットに手を入れて中身を物色する。目当ての物はすぐに見つかり、カリンの手はゴツッとした感触の物に触れる。

「...これは、以前フェルド国王陛下から頂いた......」

取り出して確認してみると、彼女の手の中にはちょうど手のこぶし程度のサイズの真っ黒な石があった。周囲の反射で黒々とした光を放つ表面に覆われ、ゴツゴツとした感触のする石はサイズに見合わず中々の重量感を持っていた。カリンに背負われたままの男が、その石を覗きこみ驚いた声を上げる。

「おい、この石、まさか願失石(がんしょうせき)か!?実物なんて初めて見る!」

「...そうです」

「嬢ちゃんはテンション低いな。願失石なんて滅多にお目にかかれねえぞ!!」

見るからに興奮した様子で捲し立てる彼を一瞥した後、カリンは考える。願失石、とは先程中年の男が言った通り、この島でしか採れない希少な鉱石の一つだ。フェルドからこの石を貰ったのは、ファメルに出逢う少し前のことだった。今、考えてみれば、この石をフェルドから渡されたときがカリンのことを見限った瞬間だったのかもしれない。この願失石の筆頭すべき点は何より...そこまで考えたところで石を握る感触に違和感を感じる。無意識のうちに願失石を握る手に力が籠もっていたらしく、石の形状が変わっていくのだ。

「すげえ!本物だ」

「......」

カリンの手の中で、それは形を変え、彼女が手を開いたときには一振りの黒い短剣があった。シンプルなデザインで構成された短剣は、不思議なことに剣先から柄の部分に至るまでの全てが元となった願失石と同じ真っ黒であった。

「持ち手の願いに合わせて、形が変わるって本当だったんだな。これなら、あの後ろの変な焔だって___ 」

「......失敗です」

「え?」

 未だ興奮冷めやらぬ様子で言う男には構わず、カリンは手の中のそれを見ながらうわ言のように呟く。そして、いつの間にか二人の後ろまで迫ってきていた黒い焔へ、できたばかりの短剣を向ける。器用なことに後ろで中年の男を庇いながら黒い焔へ一振りを見舞うと、彼女の手に握られた短剣は無惨にもバラバラに砕け散った。それを無造作に眺めた後、カリンは後ろへ後退する。

「は?一振りで砕けた...」

「...強度が、願いの大きさが足りていないんです」

大小様々な大きさの破片と化した願失石を一通り見廻した後、そのうちひときわ大きな欠片を目に留める。すると、その欠片が黒い光を纏い始め、周囲に散らばった破片を吸収し始めたのだ。それが黒い焔の中へ呑み込まれる前に、カリンは元々とほとんど変わりないサイズの願失石を手に持って走り出す。その時だった。握っていたそれから音が_声が聞こえてきたのは。

「うーん、十点。今のは百点中十点かな」

明るい声とは裏腹に告げられた余りにも残酷な数字。しかし、これが初めてというわけではないため、カリンからは何の反応も返ってこない。その声は、特にそれを気にしたような素振りもなく批評を続ける。後ろに背負われた男には、やはりこの声は聞こえていないらしく興奮気味に何かを話し始めることはなかった。

「いやー、前にも言ったと思うんだけどさ、君は願いが何かを理解してないよね。願いって言うのは、こうしたいな、とか、こうありたいな、っていう望みのことだよ。いい?望み...つまり、願望だ。なのに、君ときたらさー」

願失石は手に持ったときに、その者の願いを力として叶えるものである。しかし、失敗すると先程のようにできた武器が一振りで粉々になってしまうのだ。そして、厄介なのがこの声。これは、願失石の持つ力が生み出した精霊の一種とされており、この精霊に自分の願いを認めてもらえなければ、また先程のようなことが起こるのだ。

(何より、この精霊は辛口ですから、願失石を使用するのは余程自分の願いに自信がある者だけだと聞きます)

こうした理由により、近年では願失石を使う者が限られているそうだ。それに願失石を使用しない理由は他にもあるだろう。例えば、願失石で願いを叶えた場合に対価がいるとか___。

「まー、つまりは、さっきの君の願いは厳密には願いじゃないの。あれは、ただのこうだったら良かったのにっていう理想なんだよ。この石はさ、君の未来を叶えるためのものであって、君の過去を書き換えるためのものではないんだよ。そこを、履き違えないでほしいよね。まあ、でも、久しぶりにこの願失石を手にしたところは褒めてあげるよ。だから、十点」

 それは、要するに願い自体は零点ということではないだろうか、とカリンは思う。というか、この精霊が言うには、そもそも願いですらないのだろう。約十数年ぶりに手にしても以前と変わらぬ辛辣さの彼に、果たしてカリンの願いは叶えてもらえるのだろうか。

(取り敢えず黒い焔に捕まる直前までは、願いを叶えてもらえるという可能性に賭けたほうが___ )

「ねえ、何回でもできるなんて甘いことをこの期に及んでいうのかい?ダメだよ。後、君のチャンスは一度だけだ。それで失敗すれば、この願失石はただの石ころになる。そしたら、君の願いは何者も叶えてはくれないんだ」

「...っわかり、ました」

まるでカリンの考えを見透かしたかのように、精霊に追い打ちをかけられ、彼女は絞り出すように一言そう言うのだった。カリンの返答に満足したのか、願失石の精霊はそれ以上何かを言うことはなかった。

「嬢ちゃん?わかったって、一体何がわかったてんだ?」

「...大丈夫です。此方の話ですので」

「こちらの話つったって、嬢ちゃん一人しかいないのにか?」

一人だけ状況を理解できていない男は、カリンの背で盛大に首をひねる。だが、知らなくていいこともあるだろう、とカリンはそれ以上の説明には口を閉ざすのだった。

 カリンは間隔を開けて黒い焔の前に立ち、正面に向かって願失石を握ったままの手を突き出す。そして、突き出した左手に力を込める。後ろで中年の男が何かを言っているような気がするが、今はそれに答えている場合ではない。何より、彼の言葉に意識を向けてしまうと、其処からなし崩し的にカリンの集中力が乱れてしまうような気がした。

(私の願いは...大切な者たちをこの手で守ることです)

願い、と突然言われても余り大層なものは思いつかなかった。闇の...フェルドの野望を阻止したいとか、闇の国で本物の国主になるとか、そういう思いがあったのも確かだろう。しかし、それはカリンの中で何処か漠然としていて、現実味が感じられなかった。だから、一番彼女の近くにある思いを願いとしたのだ。

(大切な者たちと一口にいっても、その中には色んな者が含まれています。私の部下たちはもちろんとして、城に仕えている者たち、貴族たち、闇の国の民たち、そして、フェルド国王陛下やキクナ様、フェルド国王陛下を取り込んだ闇も同様です)

「......フェルドや闇は君の敵じゃないのかい?それとも、君は敵すらも守るなんて戯言を吐くのかい?」

「...確かに敵と言われればそうなのかもしれません。ですが、私には敵と味方がわからないのです」

「?」

カリンの言わんとすることがわからず、願失石の精霊は疑問を覚える。カリンの手の中の石が少し動く気配がした。

(適切な言い換えがわからないのですが...区別がつかない、でしょうか。昔から、それがわからないんです。何処からが敵で、何処からが味方なのか...。私の部下は、私に忠誠を誓ってくれています。この者たちは味方、というか家族のようなものです。ですが、それ以外の方はどうでしょうか?)

カリンの大切な者を殺した者がいた。だが、その者もまた彼女の大切な者だった。

カリンのことを忌避した者がいた。その者は、彼女が守りたかった少女の一番大切な者だった。

カリンのことを殺そうとした者がいた。それは、彼女が家族と呼んでいた者だった。

カリンは立派な国主になれると言ってくれた者たちがいた。裏では、彼女に対して何の関心も期待も抱いてはいなかった。

_それでも、嫌いにはなれなかった。

(私が味方と思っていた者たちは、通常、どちらかというと敵に分類される行いをしていました。しかし、それで敵だと認められないのです。ですが、味方でもないのでしょう。だから、私にはわからないのです)

「ふーん、なるほどねえ。敵を敵とは認めないから、皆を守るんだ。君は見かけによらず傲慢なんだね」

「...確かに傲慢と言われればそうなのかもしれません。ですが、私はそんな自分が嫌いではありませんから」

 確かな納得と小さな確信を持ってそれを口にした。そうだ、これが、カリンの想いだ。手の中の願失石は依然として石の形を保ったままだ。精霊は自身の性格に反し、何も話そうとしない。

(私の願いではやはりダメなのですか...)

「......そうだねえ。願い自体は、まだまだだよ」

カリンの心の声に答えるように、軽やかな声で精霊は言う。相変わらず彼の話す内容と声音とにはギャップが感じられる。

「...そう、ですよね。こんな子どものわがままの延長のような願い。それに、敵と味方がわからないなんて、きっとおかしいんです」

吐き捨てるように言うカリンに、願失石の精霊はいつもより幾分か優しくそして力強く語りかける。

「おかしくはないさ。君の昔のことなら、全部ではないけれど知っているから。それに、願いなんてものはね、いつだって子どもみたいなものだよ。願失石に願いを叶えてもらおうとする者は、今でこそ少ないけど昔は少なくはない数いたんだ。そのほとんどが、君よりもっと歳のいった立派な大人たちだったよ。そんな大人たちの願いは、いつだって子どもみたいなものだった。大人になるにつれて、皆子どもみたいに何にも縛られず自由に生きてみたいと思うんだろうね」

何処か懐かしむようにそう言って、精霊は最後に「でも、君みたいな小さい子はめずらしいんだけど」と付け加えた。願失石の精霊は、自身の記憶を他の精霊たちと共有できるのだそうだ。きっと、彼は今、昔願失石で願いを叶えた者たちのことを想っているのだろう。

「...ありがとうございます。ですが、最後のチャンスは終わってしまいましたね」

「君は其処らの大人よりも大人みたいな願いをするんだね...」

「...え?」

 それは遠回しに年増だと言いたいのか、とカリンは眉をひそめる。精霊はそんな彼女の様子に気づいて、クスリと笑みをこぼす。手の中の石が精霊の反応と対応して、小刻みに揺れた。

「ふっ、ははっ。......はあ。君はね、きっと逆なんだよ。大人になりたいんだ。そうしたら、もう何も大切なものを取り零さずに済むから」

「...っ......」

「いいんじゃない?君らしくて。確かにまだまだではあるけど_その願い、この願失石の精霊が叶えてあげる」

願失石はカリンの手の中で液状化し、指の隙間から溢れていく。溢れたそれを掬い上げようとすると、先程まで石だったそれはカリンの手を包み込むように広がり、人の手のような形をとる。しかし、それは数秒で形を崩し、今度は長く大きな剣の形を取り始める。

「うわっ、なんだ?願失石が光り始めたぞ!?」

「君の願いは形を変えて、君に寄り添う。それは、君の願いが果たされるときまで。それは、君に必要とされなくなるときまで。そのしょうがいを超えて、何処までもついて行こう。君の負った代償の代わりに」

願失石はカリンの手の中で液状化し、指の隙間から溢れていく。溢れたそれを掬い上げようとすると、先程まで石だったそれはカリンの手を包み込むように広がり、人の手のような形をとる。しかし、それは数秒で形を崩し、今度は長く大きな剣の形を取り始める。

「うわっ、なんだ?願失石が光り始めたぞ!?」

「君の願いは形を変えて、君に寄り添う。それは、君の願いが果たされるときまで。それは、君に必要とされなくなるときまで。そのしょうがいを超えて、何処までもついて行こう。君の負った代償の代わりに」

精霊が言ノ葉を唱え終わると、カリンの手には煌々と輝く黒い大剣が収められていた。

(これが私の願いの形...。見ていると、何だか意識が吸い込まれそうです)

「どうだい?奇麗だろう、君の願いは」

「...はい、とても」

「それで、君はもちろん願失石を使用するための代償を知っているよね?」

「......無論、存じています」

 この島で大きな力を持ったものたちから力を借りるには、通常代償が必要となることが多い。そして、願失石の使用に当たって必要な代償は___。

「...私の一番大切なもの、です」

「その通りだよ。願いと引き換えに君は一番大切なものを失うんだ」

「......」

(あれ...?視界が霞んで......)

ぼんやりとした視界に何度か瞬きをすると、少しだけ景色がクリアに見える。しかし、またすぐに目が段々と霞んでいってしまう。同時に、カリンの意識すらも消えてしまうようだ。

「それでね、君の代償につい、て....なんだけど___ 」

視界が霞む。足元が覚束ない。意識が今にも消えてしまいそうだ。願失石の精霊が何か言葉を紡いだような気がした。少し前から何も感じられなくなっていた。何も聞こえなかった。辛うじて残った視界だけが、しぶとく目の前の大剣の姿を写し出した。

「...え......?」


_其処には、水色の瞳を持つ少女の姿が映し出されていた...。


「どうかしたかい?代償のことは知っていたんだろう。まさか、今更怖気づいたってことはないよね?」

少し脅すような低い口調で言うと、手に持った大きな剣に見合わない小さな少女は、慌てたような怯えたような戸惑ったような表情をするのだろう、と予想する。しかし、精霊の思いに反して、真上に見える彼女はただ微笑んだ。彼の言葉を嘲笑うように。

「...まさか、そんなことはありえません」

「そ、そう...」

「...感情を捨てたくせに、今更怖気づくわけないじゃないですか」

動揺を見せる願失石の精霊を他所に、彼女はそう冷たく言い捨てた。感情を捨てた、と言うのに、まるで自分が捨てられたようだ、と彼は思った。

 願失石からできた大剣を手に持ち、少女は自身に似つかわしくない表情で笑う。

(さて、早速この剣の切れ味を____ )

「...そうでした。すっかり、忘れていました」

剣を構え、後ろの黒い焔へ突撃しようとしたところで、カリンは思い出す。そして、彼女は後ろに背負っていた男をその場に下ろす。

「じょ、嬢ちゃん、どうしちまったんだ?やっぱり、オレが邪魔だったのか...?」

「...邪魔、ではなかったと思いますよ。取り敢えず、剣ができましたので、《《あれ》》を切ってきます」

「あ、ああ。今度のは、その...大丈夫なんだろうな」

「...はい」

言葉を濁しながら不安げに聞いてくる中年の男に、カリンは頷きを返す。そしてまた黒い焔の方へ向き直り、大剣を構える。とはいえ、カリンの構え方はごくシンプルで自身の真正面に剣を持ってくるだけのものだ。大剣を構え、少女は地を蹴って、迫りくる黒い焔へと自ら向かっていく。

「...ハァッ...!!」

「うわっ、すげえ...」

そして焔へとぶつかる直前で、彼女は今まで地に向けていた力を空へと向ける。即ち、空へと高く跳躍する。黒い焔の上までやってきて、眼前にいた焔を見下ろす。剣を構え直し、少女は真下へと急降下する。

「...フゥッ、セアアアッ!」

黒い焔が自身に触れる感触を感じた瞬間、彼女は大剣を振り抜く。焔が切れる、確かな感触を得て、少女は剣を振るった衝撃波に呑まれていく。ミシミシと全身の骨が軋む音が聞こえる。

「...すみませんが、はやく、逃げ...て下さい。私はあなたのことを、助けに行けそうもありません...」

「オレは嬢ちゃんのおかげで大丈夫だが、嬢ちゃんはどうするんだ?」

「...多分、大丈夫だと思いますので、お構いなく」

嫌な不協和音に耳を閉じ、地上にいる男へと言葉を投げかける。カリンを呑み込んだ衝撃波は、運良く正門の方へと向いていた。これなら、大丈夫だろう。問題は、黒い焔が再生する前に、中年の男が上手く逃げれるかどうかだが___。

「「カリン様ーーー!!」」

「...あ、あなたたちがどうして此処に!?」

「へへっ。僕たち、正門の外まで皆さんを送ったので、カリン様に手伝いが必要かなって戻ってきちゃいました」

「副隊長に許可はもらってきたので、この者は私たちが連れていってもよろしいですか?」

 二人の新人隊員からのありがたい申し出に、カリンは一も二もなく頷きを返す。彼女から許可を得た二人は何処か嬉しそうに、男に肩を貸すのが見えた。その間にも、カリンと三人の間は空いていき、程なくして少女は一人、衝撃波と共に空中を漂う。段々と減速はしているが、カリンが地上に戻れるのはもう少し先のことだろう。

「さて、と...私も後、もう少しですね。早く返してあげないと...」

小さくそんな呟きを上げながら、彼女は目を閉じる。そうすると、ゆっくり彼女の意識は沈んでいく。少女の中、奥深く_狭く暗い檻の中へ。

 ぷつり、と意識の途切れる音がして、程なく少女は衝撃波と共にゼルベリアの外へと放り出されるのだった。

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