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夢路

『そうなると良いな橋ですか?』



 トドクちゃんは首を傾げた。



『そう、今じゃ鳴門大橋も何時崩れるか分かんないから、壊れないと良いな、崩れないと良いなぁ。こうなると良いな、そうなると良いなって感じで変わっていって”そうなると良いな橋”ってね』


『無事通れるようにと想いを込めた訳ですね』


『途中割れている所も多くてさ、無事通り抜けた時はホッとしたよ』


『大変な道のりでしたね』


『でもそれもトドクちゃんに会えて全て報われたって気がするよ!』


『はい、私もトマメさんに会えて嬉しいです!!』


『あはは……』


『ふふっ』



 笑みを浮かべるトドクちゃんを見て思う。





 んきゃぁあああわぁあああ!?



『はぁはぁ……』


『トマメさん?』



 ヤバい、動悸が早い。

 死ぬ!? 死んでしまう!?!?



『どうかされたのですか?』


『だ、大丈夫……』



 ここまで平静を装ってきたが……。



『……ぐふっ』


『本当に大丈夫ですか!?』



 わたしはトドクちゃんラブ勢だった!




 ◇




 その場所は不思議な場所だった。

 クルマの何倍もある大きな柱が二つ並んでいる。


 その片方にくっ付いた形で建物が併設されていた。

 現在ではまず見る事が無い建築物に少なからず惹かれるものがあった。



「たはは……」



 彷徨ってきた事実から眼をそらしながら思いを巡らす。


 鳴門大橋を抜けた先、淡路島だった場所は現在では本州となっている。

 以前は明石海峡大橋という別の大きな橋で繋がってたそうだが今は違う。


 大災害と呼ばれる厄災で海が枯れ、山が沈むにつれて海だった場所を埋め立てる形になったそうだ。

 今では淡路島と本島は地続きとなり、クルマで往来できるのだ。



「けど、こんな場所に立派な建物があったとはジジ様達は言ってなかったけどな……」



 四国に残してきた家族を想いながらそう呟いた。



「取り合えず入ってみるとしようっと」



 何か食べ物でも無いかなっと。


 入り口は二重ドアになっている珍しい作りだった。

 この辺りは風が強いので良い砂避けになっているみたいだ。



「あっ」



 建物の中に入ると女性と目が合った。


 少し派手な髪の色をした女性は長いスカートを履いている。

 この枯れた時代には不釣り合いな綺麗なスカートだと思う。


 だがそれ以上に驚いたのは目の前の女性の美しさであり。

 ……可愛さだった。


 あせあせしているこちらに気付いたのか、女性は声を掛けてくれた。



「初めましてマイマザー」



 第一声にピクッとなった。

 まさか……、いやでも。


 体が震えている事に気付く。

 それは聞いた事がある声だったからだ。



「トドクちゃん……?」



 恐る恐る聞いてみる。



「はい! 先絵トドクです!!」


「やっぱり!」



 声を聞いた瞬間に予感がした。

 この人がトドクちゃんだろうと。


 そして体の中から噴き上がる様な衝動を感じた。

 か、可愛すぎりゅぅうううっ!?!?



「……?」



 は!? 意識が飛んでいた。

 トドクちゃんが困った様に首を傾げている。


 へ、平静を繕わないと。

 好きな人に本音を出せないタイプだった。



「わたしはトマメです」


「トマメさんですね、宜しく御願いします」



 深々と御辞儀をするトドクさんに合わせて御辞儀をした。

 そして自己紹介をしてくれる。



「私は自律思考AI搭載の人型人形SAKI-A10109、個体識別名”先絵トドク”です!」


「……はい?」



 聞きなれない単語の意味を考えてみる。


 ……。

 分からない。


 トドクちゃんラブ勢のわたしにこの様な難問を御与えになるとは!?



「ありがたや!!」


「ど、どうされたのですか!?」



 トドクちゃんは困った様な声を上げる。



「は!? 失礼しました」



 思わず素が出てしまった。

 恥ずかしい……。


 しかし困ったぞ。

 どどど、どうしようどうしよう。


 憧れの人が目の前に居て、しかも滅茶苦茶可愛い時。


 どうする、どうすれば良い!?

 誰か教えてください!?


 あ、そうだ。



「ト、トドクちゃんは昔の御便りを詠んでいるんですよね?」



 あぁー!?

 急に変な事を言ってしまったかー!?


 もう何が正常が分からなかった。



「はい、聞いてくれているんですね。うわぁ、嬉しいなぁ!」



 そう言って心から嬉しそうに微笑むトドクちゃん。


 うきゃぁあああ!?

 やばい心臓が痛い!?



「……?」


「なな、なんでもありません!」



 平静を装うのが大変だった。



「もしかして旅の疲れが出てしまったのでしょうか?」


「そ、そうですね。少し休ませてもらいます……」


「では二階の部屋を御自由に御使いくださいませ」



 そう言ってトドクちゃんは手で階段の場所を案内してくれた。






 二階に上がると、黒髪の少女とバッタリ会ってしまう。

 ヒラヒラが付いた見るからに可愛い装いで、小動物を抱えていた。



「んーなぉ」


「わっ!? ビックリした」



 小動物はこちらを見ると小さな口を大きく開けている。



「……ンーナさん……ふふ……」



 少女は笑うばかりだった。



「あ、勝手にごめんなさい。わたしはトマメです!」


「……先絵ヒビク……」


「んなっ!?」



 そう言えばたまにラジオに出演している姉妹が居たはずだ。



「という事はトドクちゃんの妹さん!?」


「……違うし……」


「違った!?」


「……御姉ちゃんだし……」


「なななな……」



 やってしまった。

 まさか姉と妹を間違えてしまう何て!?


 ラブ勢失格です!? わたしの馬鹿ー!?



「……大丈夫……頭痛いの……?」



 頭を抱えて座り込んでしまったわたしを、ヒビクちゃんは心配してくれる。



「あ、ありがとう。大丈夫、です」


「……ふふ……良かった……」



 んなっ!?

 なにこれ、滅茶苦茶可愛い……。



「頭を撫でたりましょう!」


「……うぅ……ヒビクの頭がぁ……」



 可愛すぎるでしょ、持って帰りたい!



「んーなぉ」


「んーなぉ」



 ンーナちゃんの声に合わせてわたしも鳴き声を響かせてしまう。



「……頭がー……」



 ふわふわしているヒビクちゃんは大変可愛かったです。





 二階にある部屋は多い。

 好きな場所を使って良いと言うので、三番目ぐらいの部屋を選んだ。


 中を見て驚く。

 こんなに清潔感のある部屋が残っているなんて……。


 試しに部屋のベッドで寛いでみた。


 この布団の生地、凄いきめ細やか。

 肌触りも良いし、素晴らしいなぁ……。



「何かもう、全てが奇跡に思えてきた」



 ずっとラジオで聞いてきたトドクちゃんに会えたし。

 ヒビクちゃんとンーナちゃんも可愛かった。


 それに此処はとても清潔で、まるで別の世界の様で。



「本当に、夢の様……」



 ……。

 ここでトドクちゃんも生活してるんだなぁ。


 ……。

 持って帰りたい。



「あぁ、ダメダメ!? そんな恥ずかしい事!?」



 欲にまみれる所だった。

 立ち上がると自制の心を呼び覚ます。






 窓の外は砂嵐が続いている。


 世界は緩やかに衰退しているのだろうか。

 それとも衰退しているのは人類?



「明日はどうしよう……」



 食料も少ない、明日にはここを離れないと駄目だろう。

 人類はあまりにも無力だった。


 生きるのが精いっぱいの時代でわたしに何が残せるだろうか。



「……えいっ」



 バサッとベッドに倒れ込む。

 あぁ、気持ちいい。


 目の前の現実を忘れる様に、はたまた逃げるかの様に。

 ベットの心地良さに預けた体から意識は容易く離れていった。






「んーなぉ」



 ンーナちゃんの声がする。

 あれ、わたし寝てた?


 意識が少しずつ覚醒してくる。

 くすぐったい感覚が傍にある。


 手を伸ばしてみると、何か特徴的な肌触りを感じた。



「んーなぉ」


「ンーナちゃんか」



 いつの間に部屋に入ってきたのだろうか。


 薄っすらと目を開く。

 部屋の中は暗闇に覆われており、何も見えない。


 ただ近くにいるンーナちゃんだけを感じられる。

 それが凄く、頼もしく感じた。


 ンーナちゃんを抱えながら体を起こす。

 目が慣れるまでボーっとしておこうかな。



「……ぼーっ」



 ガチャッ。



「えっ……」



 独り言の瞬間に部屋の戸が開く。

 誰だろう、恥ずかしいんだけど……。


 薄っすらと廊下の光が射しこんでくる。



「……寝てる……」


「……」


「……ん、よし……」


「起きてるよ」


「……ひぁ……!?」


「ヒビクちゃん? どうしたの?」


「……別に……」


「んぅーっ?」


「……気になって覗いてた訳じゃないし……」



 分かりやすくて思わず笑みを浮かべた。


 どうやら気になって何度か覗いていたらしい。

 その時にンーナちゃんが入ってきたのだろう。



「丁度良かったよ、暗くて困ってたんだ」


「……電気を点ける……」



 そう言うとヒビクちゃんは入り口近くのスイッチに手を伸ばす。

 パッと部屋に光が灯り、少し目が眩んだ。



「ん、ありがとうヒビクちゃん」


「……へへぇ……」



 あ、嬉しそうだ。







 一階に降りていくと、明かりがいくつも灯っており全面に明るかった。


 トドクちゃんの姿を探す。

 透明な仕切りに囲まれた部屋の中に彼女は居た。


 いつも通りラジオを放送しているのだろう。

 近くの機械から声が漏れ聞こえてきた。



『明日の事なんて、どうでも良いぜ!』



「ぶふっ!?」



 思わず吹き出してしまう。



「ト、トドクちゃん!?」



 一体彼女に何があったと言うのだろうか!?



『そう思っていた日々が、どれだけ恵まれていたのかと気付かされました』



 何だ、御便りを読みあげていたのか……。



『私もこの御便りを聞いて思いました』



 そう言うとトドクちゃんは嬉しそうに笑った。



『明日の事を思える瞬間というのは貴重なのですね』



 明日の事を思える瞬間。

 わたしは明日をどう生きるか考えるぐらいだったけど。

 それでもそれは、わたしが生きているからできること。



「……邪魔をするし……」


「え、ヒビクちゃん!?」



 ヒビクちゃんがわたしの背を押す。

 そしてこちらに気付いたトドクちゃんがわたしを部屋に招き入れるのだった。




 ◇




 そうしてラジオに出演する事になったのだった。



『そうなると良いな橋、やはり良い御名前ですね』


『だね、こんな時代でも祈りぐらいは残ってるものだから』


『そうですね。私もいつも祈っています。皆様に言葉と思いが伝わる事を』


『勿論伝わってるよ、滅茶苦茶ね!』


『滅茶苦茶ですか! ……嬉しいです!』



 そう言って笑みを浮かべるトドクちゃん。

 うん、滅茶苦茶可愛い!



『旅の途中でもずっと聞いてたから』


『本当に嬉しいです……』



 その幸せそうな笑みにこちらも癒される。



『トマメさんはどうして旅に出たられたのですか?』


『あ、聞いてくれる?』


『はい。聞かせてください!』



 少し考えをまとめてから口を開いた。



『わたしが居たトコは吉野川ってのがギリギリ水源として生きていたんだ』


『確か、四国ですよね?』


『うん。でも雨もほとんど無かったから遂に干上がっちゃって。わたしを育ててくれたジジ様達が残ってたクルマをわたしにくれて、それで何とかここまで来たの』


『そうだったのですね』


『あ、ジジ様達ってのはわたしを育ててくれた人達で。御爺さんばかりだったけど仲が良くてわたしを大切に育ててくれたんだ。きっと先が無いと思って、わたしを逃がしてくれたんだと思う』



 川が枯れてしまった時代。

 それでも水が無いと人は生きていけない。

 そんな当り前の現実だった。



『もう四国ってより、死の国って感じだったからさ』



 茶化す様に言ったわたしにトドクさんは柔らかい表情で言う。



『トマメさんが皆さんの”先”になろうと考えたのですね』


『そ、そこまで大それた事を考えてた訳じゃないよ』



 手を振って謙遜する。



『ただ、わたしがこのままじゃ駄目だと思ったから、それだけ』


『……』


『……夢があったんだ』


『夢、ですか?』


『服を売って生計を立てようと思ってるの』



 この枯れた世界では服を着られるというだけで有難い人も居る。

 ボロボロの服で日々を過ごしている人も居るはずだ。



『こんな世界でもせめてもの慰めになるんじゃないかって』


『それは素敵な事ですね、きっと喜ばれる方も多いですよ!』


『ありがと。でもね、半分諦めているの……』


『それはどうして……』



 そう言ったトドクちゃんの言葉を遮る様に言う。



『あの御便りが聞きたいんだけど、残っているかな?』



 トドクちゃんは首を傾げた。



『服職人を目指す女の子の話』


『……分かりました』



 トドクちゃんは佇まいを正すと口を開いた。



『メッセンジャーさん聞いてください』


『えっ?』



 何を見る事も無くトドクちゃんは御便りを詠み上げ始める。



『私の服が奇抜だと言われました』



 それはいつか聞いた御話だった。

 ここにある数えきれない程の御便りを全て覚えているのだろうか。



『でもチャンスだと思ったんです。他の人と違うと言う事は、より特別だと言う事。自分だけにしか出せない色。きっとそれは、新しい光になるから』



 こちらを見て微笑むトドクちゃん。



『見てて下さい! いつか見返しますからね!!』



 それはとてもカッコいい女性の御話だった。


 わたしは、この話を聞いて服を作りたいと思った。

 わたしの、始まりの御話。


 御便り。



『このリスナーさんからは何度か御便りが届いているんです』


『知ってます、夢を叶えるんですよね』



 すると決めた事をちゃんとやり切る。

 当り前の様で難しい事を彼女は成し遂げた。



『やっぱり凄いなぁ』



 そう思うと同時に。



『敵わないなぁ……』



 そう思ってしまう。


 きっと彼女ならばこの時代でも服職人になっていた。

 何となく、そんな気がする。



『素敵な御便りですね』


『わたしとは全然違う』



 その言葉にトドクちゃんは言葉を詰まらせてしまった。



『……申し訳ありません』


『こっちこそごめん、変な事を言っちゃったね』



 トドクちゃんは困った様な表情を浮かべた後。



『私は皆様は”全員違うのに”と考えてしまいます』



 そう言うのだった。

 根源的な話だ、人と比べる事の是非。



『それ、は……』



 それに対する答えを、わたしは持ち合わせていない。

 そんな単純な事さえ。



『私はトマメさんの事も凄いと思いますよ!』


『わ、わたしが……?』


『一人で旅をする事を決断して』



 ジジ様に言われたから出てきただけだ。



『夢を叶えようとしている』



 御便りの女性に憧れただけ。



『それに私に会いに来てくれました!』



 それはただの偶然でしかない。



『それってとっても凄い事だと私は思います!』



 だけどトドクちゃんはそんなわたしを凄いと言った。



『そう、なのかな……』



 そう思っても良い事なのかな?



『はい! 私は心からそう思います。心から嬉しく思います』



 トドクちゃんの真っ直ぐな笑みを見ていると。



『ありがとう』



 自然とわたしも笑みを浮かべていた。



『私の方こそ、会いに来てくれてありがとうございます!』



 彼女と話していると自分の事を話したくなってきた。

 きっとこれも根源的な欲求なのだろう。



『実は、あの御便りを聞いて服を作りたいと思ったんだ』


『そうだったのですね、とても嬉しいです』



 喜ぶトドクちゃん。

 過去の御便りが誰かに届くのが嬉しいのだろう。



『けどね、服を作る為の生地を集めるのが難しくて、この枯れていく世界では生地の素材すら中々手に入らないの。だから半分、ううん。……ほとんど諦めちゃってた』


『……』


『でも、改めて御便りを聞いて思ったよ』


『……!』


『やっぱり諦めたくないから』



 あの御便りの女の人みたいに。

 カッコいい女性になりたい。

 この時代に無いのならば、生み出せばいい。



『わたしがこの世界の新しい光を目指すよ!』



 高らかに宣言する。

 このラジオを聞く人達の前で。

 ジジ様達も聞いてくれているだろうか。



『……はい』



 トドクちゃんは力強く言ったわたしに。



『そうなると良いですね!』



 最高の笑みを向けてくれる。


 それだけで良い。

 それだけで良かった。


 わたしは笑みを返すと。

 肩の荷が降りた様な気持ちと。

 背中がピンと伸びる様な気持ちを感じていた。




 ◇




「大変お世話になりました」



 頭を下げる。

 この枯れた世界で心地の良い瞬間に出会えるのは稀だ。

 心からありがたく思う。



「とても楽しい時間でした」


「うん。わたしにとっても楽しくて、とても大切な時間になったよ」


「トマメさん……」


「トドクちゃん……」


「……ヒビクもいる……」


「おわっ!? ビックリした」


「んーなぉ」


「……ンーナさんも居る……」



 ヒビクちゃんは小さなその体を抱き上げた



「これからどうされるのですか?」


「こっちの地理にはあまり詳しくないんだけど」



 他に宛ても無い。



「以前トドクちゃんの話で出ていた琵琶湖オアシスに行けばって思ってるんだ」


「良いと思います! 人が沢山集まっているそうですので、服の生地になる素材もあるかも知れませんね!」


「だと良いね。取り合えず人間は水からは離れて生きられないから」



 水から……、自らとも言えるね。



「私は思います」


「トドクちゃん?」


「人類の皆様はきっと、”人”からも離れて生きられないのでは無いでしょうか」


「……そうだね。きっとそうだよ!」



 人が集まった時に出す力は奇跡に似ている。


 だって目の前にいる優しい女性。

 トドクちゃんを創ったのだって昔の沢山の人達だったはずだから。



「これ、良かったら置かせてもらえないかな?」


「こちらは……、子供用の衣服ですね」


「うん。わたしが子供の頃に使っていた服。今はもう着る事ができないけれど、ここにきた誰かが欲しがっていたら渡してあげて欲しい」


「良いのですか?」


「うん、それが良いの」



 笑みを浮かべてみる。

 トドクちゃんに負けない様な最高の笑み。



「約束、いつかトドクちゃんの服を持ってくるから」



 必ず再会しようと、誓う。



「……はい! 楽しみです!!」


「勿論ヒビクちゃんの分もね」


「……別に嬉しくないし……ふへ……」



 二人の笑みに踵を返す。


 去り際に一つ。

 言っていなかった事を思い出した。



「実は言ってなかったけど」


「何でしょうか?」


「わたしはトドクちゃんの事が大好きです!」


「ふふ、私も大好きですよ!」


「んきゃあああぁ!?」


「……!?」


「……!?……」


「んーなぉ」



 ……。

 これから先。


 この時の自分を思い出しては恥ずかしくなったけれど。

 思い出す度に笑顔になっている自分にも出会えた。


 最高の出会いだったと、今でも懐かしむのだった。




『では次の御便りです!』

御覧いただきありがとうございます!

10月10日は10109記念日と勝手に制定致しました!!


関連作として『枯れた世界で笑みを零すオートマタ』と『ソロフォーミング ―月でクワを振るオートマタ―』をこっそり投稿しておきました。

良かったら御願い致します!

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