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7/8

困惑   朝ご飯はホットケーキセット






ピピピ、、ピピピ、、ピピピ、、




んー、、あー、、朝か、、、起きないと、、

今日何曜日だっけ、、、ゴミまとめて、、凛の幼稚園の支度して、、、トースト焼いて、、、、





ぼーっとする頭を無理やり起こし目を開くと、見知らぬ部屋の中。




「、、あ、、そうか、、。セーブポイントの休憩部屋か、、、。」




いつもの普通の毎日じゃあない事を思い知る。

ここは家じゃないし、、。これからどうするかを今日皆と話さなくちゃ、、、。




時刻は朝の10時。昨日寝たのが夜中の1時だったから、けっこう寝れたな。やっぱり睡眠って大事だなぁ。ベットで寝れて良かった。




私は横でまだ爆睡している凛と蓮とパパを見る。

蓮はいつの間にか足と頭の位置が逆さまになって寝てるし、しかもお腹出てるし。

凛はパパにぺったりくっついてイチャイチャカップルかよ的な感じで寝てるし。

 




「、、蓮くーん、朝ですよぉー。」





私は蓮の服から出ているお腹に顔をのせてみる。

、、、フカフカー、、。

ムチムチのプニプニですべすべのマシュマロボディ、、、。スリスリスリスリ、、。




「ん、あー。」



それで起きた蓮は私に気付くと二パァっと嬉しそうに笑った。



あー!!堪らん!!おでことおでこをくっつけてフンカフンカと匂いを嗅ぐとくすぐったがり



「んひぃひぃひぃひぃ。」



と笑う蓮の可愛さは異常。私は天使を産んだのか、、。あー!可愛いー!!!ずっとスリスリしていられる。



「んひぃっ!ひぃっ!ひひひぃっ!!きゃぁぁ!!」




可愛いー!!!ずっと太もも揉めるー!!!





「、、、、ママうるさいよ。」




横の凛が蓮の笑い声で起きる。寝起きで機嫌が悪いのかこちらをジロリと睨んでいる。




「ごめんなさい、、。静かにしますのでパパも起こしてくださいな。」




「はーい。パパー!!起きてー!!!」




「んっほぉっあ!!?」




凛は横に寝ていたパパの上にドスンと馬乗りになり、起こしにかかる。突如重しがかかった事に驚き叫ぶパパ。

これですぐ起きるだろう。

下を見ると静江さんはもう起きたのか布団が無くなっている。部屋の中にいる気配が無い、、朝ご飯でも先に食べに行ったかな?





「はーい、パパ、起きてー!もう10時だよー!軽くシャワー浴びて、着替えてからご飯行こうー!他の皆んなもそろそろ起きるんじゃない??」




「、、うぁーい。」




のそのそと起き上がりパパは凛と蓮を連れてお風呂場に移動していく。まず子供達の頭と体を洗ったら私がそれを受け取り着替えさせ頭を乾かしていく。その間に自分のシャワーを終えたパパが出てきて着替え私と交代。

私も手早くシャワーを浴びる。



ふぁぁぁぁー!シャワー最高ー!二日間洗えなかったもんなー、、。汗まみれのホコリまみれだったわ。

そう思いながらも子供達が部屋で騒いでる声がするのでダッシュで髪と体を洗い出る。

、、ゆっくり洗いたいわぁ、、、、。




「お腹も空いたし、喉もかわいたの!」



「だー!あい!」




2人ともお腹がすいて騒いでいたらしく私はダッシュで髪を乾かしながら昨日買っておいた服に着替える。

セミロングの茶色い髪をパパッとゴムでくくりあげた。



「はいはいー!支度終わったらすぐごはんのフロア行こう。きっとばぁばもいるから。」




髪を乾かしたら薄く化粧をして部屋を出た。リュックの中に化粧ポーチを入れといて良かったぁぁぁあ。




騒ぐ子供達を連れて2階に移動する。




「母さん、先に食ってたのか。」



「いつもの時間に目が覚めちゃったのよ、あなた達起こすのも悪いからここでゆっくりしてたのよ。」




「おはようごさいます。気を遣って頂いてありがとうございます。ゆっくり寝れました。」




「ばぁば、おはようー!」




「おはよう凛ちゃん、蓮君!よく寝れたかしら?ご飯選んでらっしゃいな。」



「うん!」




凛は画面を隅から見始め真剣に選び始めた。




静江さんがすでに食事をはじめていたのでご飯の香りが鼻をくすぐる。焼き魚定食を頼んでいた。んー、、お味噌汁の良い香りだぁー。私も朝は和食にしようかな、、。




「ママー!凛あれ食べたい。」



「ん?どれ?」




凛が指差したのはホットケーキセットだった。ミニサイズのホットケーキが5枚とジュースのセット。ちなみに価格は5ポイント。

これなら凛と蓮2人でちょうど良いかな?画面をタップして購入する。ほわほわの美味しそうなホットケーキが出てくる。良い香りだ。




「はいはいー。どうぞー!半分は蓮にあげるからね。」



「はーい!いっただっきまーす!!」



「だー!んま!」




ホットケーキを取り分けると凛は嬉しそうにフォークで刺して口に運ぶ。蓮のは一口サイズにカットして目の前に出すと手掴みで喜んで食べはじめた。




「じゃあ私は納豆定食にしようっと。」



「あ、いいな!俺もそれにするわ。」




パパと私は納豆定食を選びタップ、みんなで同じところでゆっくりと食べる。

まわりを見ても私達以外まだ誰も起きていないようだ。




「メッセージも届いてないからみんなまだ寝てるのかなー?」




「昨日の今日で疲れたんだろ、会社じゃゆっくり寝れなかったし。」




「じゃあ起こすのも悪いかな?」




「んー、とりあえず起きました先に飯食ってますって俺が送っとくわ。」




パパはそう言うとギルドメッセージでメンバー全員一斉送信ボタンでメッセージを流した。


あ、これ既読になったかどうかも分かるのね。便利。

そう思いながら画面を見ていると荻野さん、内田君のところに既読マークがついた。





荻野(今さっき起きてシャワー浴びたところ、すぐに内田と2階に行きます。)




内田(おはようございます。移動します。)




2人からメッセージが返ってきた。携帯が使えなくて不便だけどこれでメッセージとか通話が出来るから助かるなぁ。

携帯ゲームとか音楽とかは出来ないけど、、。




すぐにエレベーターの方から荻野さんと内田君がやってきた。2人とも昨日購入したTシャツにデニム、カーディガンを羽織っていた。





「おはようございます。よく寝れました?」



「おはー。」



「おはよう!疲れのせいか、わりとぐっすり。納豆いいな!俺もそれ食おう。」




荻野さんは私とパパに挨拶を返すとそそくさと納豆定食を購入しに行った。




「おはようございます。俺も納豆食いたくなってきました、、、。」




内田君も荻野さんの後ろに並んだ。

納豆って匂いかぐと食べたくなるよね、分かる。





「これであとは太田君と山梨さんペアだけだね。」




「あー、あの2人だと起こすまで起きなそうだな。釣りの時も寝坊常習犯だから。」




「マジか。じゃあ皆んな食べ終わるのまで待って、それでも来なかったら起こしに行こうか。」




「そうしよう。」




「ちなみにパパ昨日ラーメンニンニク入れて食べてたけどお腹大丈夫なの?」




「、、そろそろ痛くなりそうだから食ったらまずトイレ行ってくるわ。」





やっぱりね!お腹痛くなるって分かってても食べるもんねぇ?!

パパは納豆ご飯とお味噌汁と漬物をかっこむとすぐにエレベーター横のトイレの方に移動していった。




「ふぅ、ご馳走さまー。凛、蓮は、、まだまだだね。」




2人とも口も小さいし食べるのが遅いから大変だ。

けっこうこぼしてるし、拾っとかないとなぁ。アイテムBOXからおしり拭きを取り出して床に落ちたホットケーキのかけらを片付ける。凛と蓮の食事の手助けをしている間に、静江さんも荻野さんも内田君も食事を食べ終わりパパもトイレから戻ってきた。




「来ねぇなぁ、あいつら。」




「まだ寝てるんじゃないっすか??」




「でももうすぐでお昼だし、、起こしに行くか。」




なかなか降りてこない2人を起こしにみんなで移動しようとした時だった。



エレベーターの方から太田君がこちらに走ってくるのが見えた。




「あ、やっと起きたのね。」




「、、なんかすごい慌ててないか??」






ものすごい勢いで走ってきた太田くんは私達の所に着くと周りをキョロキョロと見ると困ったような顔をする。






「一ノ瀬さん達!山梨見ませんでした?!」












♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢

                








山梨翔吾は車を走らせていた。


分けてもらったポイントで購入した移動用燃料を使用して1人車に乗り込んだのだ。アイテムBOXの中には食料とポーションを買い込んだ。昨日、9880ほど所持していたポイントはもう0に近い程だった。手持ちのポイントを注ぎ込み特殊スキルガチャをまわし、ハイポーションも4本購入した。






「、、、一ノ瀬さん、、皆すいません、、必ず車は返しますんで、、、。」




1人しかいない車内でつぶやく。



あの後、みんなでご飯を食べて部屋に移動した後、寝ようとした。体はクタクタだし、すぐに寝れると思った。そう思ったのだが色々な光景が頭に浮かんで眠れない、、。

一ノ瀬さんと内田のひどい怪我。

セーブポイントのすぐ近くでモンスターに襲われて死んだ2人組。美味しそうにご飯を食べている一ノ瀬さんの子供達、、、。






すぐに自分の子供達や嫁さんの事を考えた。

無事なのか、、生きているのか、、。どこにいるのか、、。ごめんな、、パパ1人だけラーメン食べちまったよ、、、。







ダメ元でウィンドウ画面の検索スキルから家族の名前を調べてみる。何の反応も無い。ふと自分は分けてもらったポイントがある事を思い出して探索、検索、マップのスキルをMAXにまで強化してみる。祈るような気持ちで再度検索をかける。




「!!」




自宅に反応マーク!3人とも自宅にいる!!

それが分かったらもう居ても立っても居られなくなった。

嫁は職場じゃなかったのか?子供達は幼稚園は?下の子は実家に預けたんじゃ、、。どうでも良い、生きてる。今生きてる。ばっとベットから身を起こして鞄を掴む。

隣で爆睡している太田の事も目に入らず2階フロアに移動した。





車の移動用燃料を購入し、食料や水も購入、ハイポーションも4本購入。



特殊アイテムショップに行き、何かモンスターに対抗出来るものはないかと探すが自分のポイントがすでに5000も無いことに気付いた。



すぐに特殊ガチャショップに向かい、少し考えた後特殊スキルガチャに残りのポイントで回せる分を全て注ぎ込んだ。



運動神経が決して良いとは言えない自分には武器や装備を使いこなせるイメージが湧かなかった。

でも、スキルなら自分でも使えるかもしれないと思ったのだ。攻撃系でも補助系でもRランクさえ出ればそれはすごく心強くなるだろう。




家族を連れてセーブポイントに戻れれば、、。





それさえ可能にしてくれるスキルさえ出れば、、。

そう願い回したガチャは天に嘲笑われるかのようにことごとくノーマルスキルしか出てこなかった。

、、、俺は賭けに負けたのか、、。





跳躍力アップスキル

脚力アップスキル

幸運力アップスキル

聴力アップスキル





ノーマルスキルなだけあってほんの少しアップする。その程度のものだった。強化するポイントすらもう残っていない、、、。






絶望感が襲ったが落ち込む時間も無いと自分を奮い立たせ、通常ショップでツルハシと大きなスコップを購入した。





モンスター対専用の武器も装備もスキルもなく手に入れたスキルはあまり意味が無く、頼りになるのはツルハシとスコップ、あとはマップスキルと探索、検索スキルのみ、、。




それでも、、それでも行く。

ただそれだけだった。

空が白んできた事を確認するとすぐに1階に移動をし、マップでモンスターが付近にいない事を確認し車に乗り込んだのだ。それだけの事が1人なだけでとても恐ろしく心臓がドッドッドッと鳴っているのが分かる。

移動用燃料をタップし使用ボタンを押すと車のガソリンメーターが貯まった。



落ち着かせるように深呼吸を深く1回してからエンジンをかけ汗ばむ手でハンドルを握り発進させた。






「絵里子、、葉月、、柚月、、無事でいてくれ、、、。」






車のアクセルを踏み込み朝日が昇ったばかりの誰もいない道をマップでモンスターを確認しつつ自宅へと向かった。







セーブポイントから自宅までは何もなければおよそ30分もあれば着くだろう。

幸いマップ、探索、検索スキルをMAXにしていた為モンスターを避けて最短の距離で迎えている。

自宅まであと少し、あと少しで家が見える距離まで来た。





「、、無事に来れた!」





家の屋根が見えた途端気が緩んだ。モンスターを示すマップ上の赤い点をすっかり見落としていた。




家の近くに車を停めようと速度を緩めたその時だった。




ドォンッ!!




「!?!」




車の左側から大きな衝撃を受ける。

どこかにぶつけた!と思い慌ててサイドミラーで確認すると、セーブポイントの近くで見たあの黒い狼が車に体当たりしていた。マップにはダークウルフと表示されているのが目に入った。すぐに脳裏にあの時殺された二人組の姿が浮かんだ。





「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!!!!!」





パニックになり大声で叫ぶ。停めようとしていた車のアクセルを思いっきり踏み込みダークウルフから逃げようとするが、もう1匹ダークウルフが前から現れ車のフロントに体当たりを喰らう。

フロントの窓ガラスにヒビが入る。前と左!咄嗟にハンドルを切り真横の塀にダークウルフを叩きつけるように斜めに車ごと突っ込んだ。




「ギャインッ!!!」




正面にいたダークウルフは電信柱と車体に、左側にいたダークウルフは塀と車体に挟まれ動かなくなった。

自分の身体も衝撃でズキズキと痛んだ。




二匹のダークウルフが動かなくなった事を確認すると、ふう、ふぅと息を吐きながら車を降りようとするがドアが歪になってなかなか開かない。

助手席に置いてあったツルハシで窓ガラスを割りなんとか這い出るように車から降りた。




「ううう、、、。」




車のバンパーは外れ車体もバキバキ、もう動かないかもしれない、、、。




急いで自宅に入ろうとするが鍵が空いていることに気づく。

まさか、、家の中にダークウルフやゴブリンが入ったのか、、、?マップには赤い点が家の中には示されていないが、ゴクリと唾を飲み込みツルハシをギュッと握りしめて家の中に入る。



「、、、、、何だ、これ、、、、。」




リビングに入って言葉を失った。



カーテンはズタズタに裂かれて庭に繋がる窓ガラスは割れてしまっている。冷蔵庫の中身は床に散乱してめちゃくちゃに荒されているしテーブルの上にあった皿やコップも落ちてバラバラになっていた。




キョロキョロと部屋を見渡すが誰もいない。

マップには確かにここに家族がいると示している。

、、2階にいるんだ。




2階に移動しようと階段に行くと




「何だこれ、、、。」




上に行けないように箪笥や本棚、椅子など2階の家具のありとあらゆるものが階段へと落とされていた。

試しに押してみるがびくともしない。




「これじゃあ上に行けない、、。」




一度庭に出て2階の窓の様子を伺うもカーテンさえ閉めてあり中が全く見えなかった。




雨樋の柱に手をかけ2階の窓へよじ登る。なんとか上に上がるもバルコニーまでは手が届かなかった。

思いっきり体を捩り手を伸ばしツルハシの先端をバルコニーの端に引っかける。

ぐいっと思いっきり体を浮かし跳躍力スキルを発動、なんとか上がる事が出来た。





バルコニーの窓をコンコンと叩いてみるが中から何の応答も無い。仕方無くツルハシの先で窓の鍵付近を割り、鍵を開けた。カラカラと窓を開けて中に入るが誰もいない。





「、、、、絵里子?葉月?柚月?」




そっと呟くように名前を呼ぶと部屋の奥のウォークインクローゼットからガタンっ!と音が響いた。




「、、翔吾?!」




ウォークインクローゼットの扉が開き中から最愛の奥さんが飛び出した。





「!絵里子!!!!」




「翔吾!!」




何も言わず2人ともただただ強くお互いを抱きしめ合う。

口付けを交わしお互いが生きている事を確認しあった。

生きてた!無事だった!!生きてた!!

ボロボロと流れる涙は止まらなかった。

しばらく2人で泣きながら抱きしめあい続けた。




「、、子供達は無事か?」




「ここでまだ寝てるわ、、。無事よ、、。」





「、、あああっ!」





クローゼットの中でブランケットに包まりながらまだ寝息をたてている娘たちの姿を見て安堵の息を漏らす。

もう2度と会えないかもしれないとまで思っていた、、。

自分の宝物達がここにいる、、、。

その場にしゃがみ込み何度も何度もその愛くるしい娘達の顔を覗き込む。

その様子を微笑みながら見ていた絵里子が俺の横に座り、ぽつりぽつりと話してくれた。




「、、、何がなんだか分からなかったの、、、。3日前、翔吾が朝早く出社して、、私も幼稚園に葉月送りながら柚月を実家に置いて職場に行こうとしてたんだけど、、、。」





聞けばあの日、幼稚園の支度を終えてさぁ行こうとなった時に葉月がお腹の痛みを訴えてトイレにいったそうだ。

お腹を冷やしたのか下痢になってしまっていて、仕方無く幼稚園をお休みさせることにした。職場に少し遅れるかもしれないと説明したところ今日は有給を使って休んで良いと上司の方が言ってくれたそうだ。




それで3人でのんびりとTVを見ていたらお昼に急に窓ガラスを割って大きな狼が入ってきた。子供達を急いで抱えて2階に避難。すぐに追いかけて来た狼が恐ろしくて2階にある机を階段に落としたそうだ。それでもガリガリと爪で机を壊して上がってきそうな狼に椅子や本棚などのありとあらゆるかくを無我夢中に全部階段に落としたのだと、、。





狼の気配が1階から消えても、逆に階段に落とした家具が自分では動かせなくなってしまい出られなくなってしまった。

電話で警察や俺を呼ぼうとしたけれどどこにも繋がらず。

窓から外を確認するも、近隣の人達も狼に追われ、襲われているところを見てしまい助けも呼べなくなってしまった。




只事では無いと思い救助を待ちながらここに籠城していたのだった。




憔悴しきった絵里子の顔はげっそりとしており青白く血の気も引いてしまっていた。




「、、1階ならともかく、、2階に食べれる物がほとんど無くて、、葉月がたまたま抱えてたスナック菓子1袋でなんとか凌いでたの、、、でも2日目には子供達お腹すいたって泣くから部屋中探したんだけど飴くらいしか無くて、、、水もなんにも無いから、、トイレタンクの溜め水を飲んでたの、、、。」





その言葉を聞いて涙が止まらなかった。

少しでも子供たちの飢えを凌ごうと自分は何も食べずに全て子供達にあげていた事。トイレタンクの水を飲んで生き延びようとしていた事。そしてそんな事も知らず呑気にラーメンを食べていた昨日の自分が何より申し訳無かった。






「絵里子ぉ、、ごめんなぁ、、、肝心な時に居なくて、、守ってやれなくて、、本当ごめんなぁ、、、、。」





涙と鼻水でぐしゃくしゃな顔を絵里子はハンカチで優しく拭ってくれた。




「、、、いいのよ、翔吾。、、今、来てくれたじゃない、、、。生きてて、、会えて、、本当に良かったわ、、、。」





「絵里子ぉ、、、、。」





ニコッと微笑む絵里子がそのまま床に倒れ込んだ。




「絵里子?!」




「、、三日間なにも食べてないからくらっとしちゃった。、、大丈夫よ、、。」





「!」




ハッとして自分のアイテムBOXから購入しておいた食料や水を出して絵里子の前に並べた。





「、、、翔吾?これ今どこから出したの?!」





「説明は後でするよ、とりあえずまずは食べて飲んで休んでくれよ、顔が真っ青だ!」





1番近くにあったおにぎりを開けて絵里子に渡す。絵里子はコクンと頷いておにぎりを1口かじり、ペットボトルの水をゴクゴクと飲みだした。





「美味しい、、美味しいよ、、翔吾、ありがとう、、。」




泣きながらおにぎりを食べる絵里子を、うんうんと頷きながら背中をさすり続けた。





おにぎりを3つ食べ水も沢山補給した絵里子は大分顔色が良くなってきた。子供達も起こしご飯を食べさせる。空腹だった2人は夢中になってご飯やパンをぱくぱくと食べる。






「パパ!美味しい!ありがとう!!!ご飯だぁ!ご飯だぁ!!」




「パパ!あんと!!」





「どんどん食べな!好きなだけ食べていいんだ。」





そう言ってアイテムBOXからどんどん食料を取り出して見せた。愛しい子供達の笑顔が何より嬉しくて気付けばまた泣いていた。




外が完全に明るくなってからだいぶ経過した。時刻もお昼になろうとしている。

絵里子と子供達はお腹が満たされ安心した顔で俺にくっついていた。




「パーパ!好きー!今日はお休みなの?」




「うん、今日はお休み。ずっと一緒にいられるよ。」




「やったぁ、パパいなくてね葉月寂しかったんだけどね、我慢したんだよ。」




「ゆーも!ゆーも!」




「ごめんね、今日からはずっと一緒にいるから、皆が怖くないようにパパ頑張るからな。」




そう言うと2人は満足そうに笑ってままごと遊びをはじめた。








「、、翔吾、、そろそろ教えてくれる?何があったか、、何が起きてるのか、、。私、聞く覚悟なら出来たわ、、。」




体重を俺にかけて休んでいる絵里子が優しく微笑みそう呟いた。俺は、自分が分かる範囲のことを全部ゆっくりと時間をかけて説明した。




会社がモンスターに襲われたこと。



社内に立てこもっていたこと。



一ノ瀬さんの奥さんが助けに来たこと。



特殊イベントのゴブリンキングのこと。



セーブポイントであったこと。



ここに1人で来てしまったこと。




「、、、車でさ、みんな連れてセーブポイントに戻ろうと思って来たんだ。、、でもボコボコになっちゃって、、動くかも分からない、、、。」




「うん、、。」




「俺、バカだよな、、何にも出来ないのに、、結局助けに来たのに何にも助けになってない、、、。」






「そんな事ないよ、、。」





「昔から主役になれない男なんだよ、、、。クラスの人気者の横にいるようなモブキャラで、、突発した特技も何も無くて、、、!」





「、、翔吾、、。」





「一ノ瀬さん達みたくカッコ良くモンスター討伐なんて、俺には無理だよ、、、本当はゴブリンキングの時だってRランクの武器とか手に入らなくても心の中ではラッキーだと思ってた、、。戦わなくて済むって、、!一ノ瀬さんや内田が大怪我した時も、ああ、自分じゃなくて良かったって、、!そう思ってた!!!」






話してしまえば終わりだと思っていた醜い感情が止まらなかった。情けなくて情けなくて、悔しくて、みっともなくて、大事な人達でさえ助けられない自分が、、、虚しくて、、、。





「翔吾。」




絵里子はそっと俺の顔を両手で包むと、そっと抱きしめた。





「、、私ね、泣き続ける子供達2人抱えてどうなっちゃうんだろうってずっと不安だったの、、。それこそ気が狂いそうなくらい、、もう駄目だって思ったわ、、。でも、翔吾の声を聞いたらそんな気持ち吹っ飛んだの。」





「絵里子、、、。」





「、、来てくれたじゃない、、。危険を承知で、それこそ命をかけて、ここに来てくれたじゃない、、。」





「絵里子、、、、。」





「誰がなんと言おうと私が選んだ旦那様はカッコ良いよ!そりゃ運動神経は確かに悪いかもしれない、クラスの人気者では無かったかもしれない、、でもね?翔吾にはとても優しい心を持っている事を私や子供は知ってるの。他の誰でも無い、あなたが私達には必要なの。私にとってはあなたがヒーローに見えるわ。」





涙が出てとまらない。次から次へと溢れて落ちて、、、。






「ここから動けないとしても、、最後まで諦めないで皆で生きましょう?大丈夫、一緒にいれば怖くなんかないわ。」





「、、絵里子、、。」





「あー!パパ泣いてるー!なんでー?」




「、、嬉しくて、、ママがパパを褒めてくれた事が嬉しくて幸せで泣いてるんだよ、、。」




「パパは泣き虫ねー。」




葉月の言葉に絵里子がクスリと笑う。





「そーね、パパは泣き虫ねー!もうちょっとしっかりしてくれないとだよねー!家族がまた増えるんだしー!」





「え??」




絵里子は自分のお腹に手を当てて愛おしそうに撫でる。




「、、産婦人科でまだ調べてもらってないから100%じゃないけど、、1週間前検査薬が陽性だったの。多分いるよ。」




「マジか!、、やったぁ!すごいぞ絵里子!」




思わず万歳した俺を絵里子はニッコリと笑って抱きしめる。




「こんな状況だから言うか悩んだんだけど、こんな状況だから言っちゃった、、、。」




「言ってくれてありがとう、、。生きよう。生きないと。」




落ち込んでる暇も、泣いている暇も無い。

しっかりしろ自分。大丈夫、俺には絵里子も葉月も柚月も新しい生命も皆ついてる。

自分を奮い立たせ考える。

どうしたら安全な場所まで無事に辿りつけるのか、、。

乗ってきた車はもう駄目だろう、、。





何か、何かあるはず、、。

自分のウィンドウ画面を開くとすぐにギルドメッセージに気づいた。



一ノ瀬(起きたので一ノ瀬一家は先に飯食いに行ってきますー。)



荻野(今さっき起きてシャワー浴びたところ、すぐに内田と2階に行きます。)




内田(おはようございます。移動します。)



太田(起きました、山梨どこにいるー??)



一ノ瀬(山梨、どこだ?メッセージ読んだら返事頼む。)



一ノ瀬葵(山梨さん、返事下さい。)



荻野(山梨ー!)、



内田(山梨さーん??)





「、、、皆、俺を探してくれてる、。」



メッセージを読んだ瞬間、新しいメッセージが表示された。




荻野(既読ついたって事は生きてるな?)



内田(怪我してませんか?無事ですか?)



太田(黙っていなくなるの今後はやめてくださいね。)



一ノ瀬(今、お前自宅だな?)




「、、、、。」




きっと皆んな怒ってる。車を無断で盗ったんだ、、。

自分だけの都合で、、分けてもらったポイントも何の相談もせずに使ってしまった。更に車まで駄目にして、、合わせる顔が無い、、、。




下を向いて何も出来ない俺を見て絵里子が代わりに画面をタップした。




山梨(皆さん、夫がご迷惑をおかけしました。絵里子です。子供達2人も無事です。)




一ノ瀬葵(絵里子ちゃん!無事だったんだね!良かった!!)



山梨(葵ちゃん!葵ちゃんたちも無事で何より!話は翔吾から聞かせてもらいました。車を無断で拝借してしまいすみませんでした。)




一ノ瀬葵(絵里子ちゃん達が無事なら車なんでいくらでも貸すよ!)




一ノ瀬(山梨は大丈夫?)





絵里子が俺の顔を覗き込み頷く。




「大丈夫。あなたの責任は私の責任でもある。1人で自分だけを責めないで?ほら、返事くらい自分でも書き込みなさい。」




「、、、、。」




震える指で画面をタップする。




山梨(俺です。無断でいなくなりすいませんでした。車もすいません、、、駄目にしてしまいました。)




荻野(今度から一言言ってからいなくなってくれ。全フロアを確認したんだからな。)




太田(そうですよ、俺起きて1人だったから焦りましたよ。




一ノ瀬葵(車は今後弁償してもらうんで大丈夫です。)




一ノ瀬(それで今お前自宅にいるんだな?)




山梨(そうです。自宅の2階にいます。)




一ノ瀬(じゃあ迎えに行くから待ってろ。)





画面を見ながらまた涙が出てくる。怒ってなじって貶しても良いくらいの事を俺はしたはずなのに、、。

俺を迎えに来てくれるって、、。





「、、会社で良い人達に囲まれてお仕事してるんだね。これは翔吾の人柄で作られた友人関係だよね。それに今救われようとしてるんだよ?」




「、、、俺ちゃんと会って謝りたい、、。」




「うん、私も一緒に謝るよ、、。」




泣きながらメッセージを送った。




山梨(ありがとうございます。よろしくお願いします。)











♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢









太田くんが山梨さんがいないと慌てて2階フロアに来た時、私達はすぐにウィンドウ画面を開き検索で山梨さんの現在地を確認した。





「ここにはもういない。どこか別のところへ移動したみたい。」




「、、ここ山梨の家だよな。」




「メッセージ入れておきますね!」




「あいつ、よく1人で行ったな。」




「車乗ってったとはいえ1人で行くとか、言えば良いのに、、。」




「言う事すら頭に浮かばなかったんじゃないですかね?あいつすぐに1つの事しか考えれなくなるから。」




「いざと言う時の行動力がでかいんだよな。」




皆んなでやいのやいの言いつつ、誰も山梨さんを非難する声は無かった。ウィンドウ画面に映る皆んなのメッセージに山梨さんの既読マークがついた。




「!今読んだみたい!」



「!嫁さんと子供いるって!」



「絵里子ちゃん。無事だった!よかったぁあ、、。」



「、、車駄目らしいぞ?、、どうやって迎えに行く?」





「どっちにしろあの車じゃもうこれ以上乗せれないんだから別に良いだろ。」




「山梨さん家族だけでも4人だよね、こっちは大人6人の子供2人。全員だと12人、、。これだけ乗れる車ってある?」





「ミニバスか、マイクロバスだな。2階の車売り場で見かけたけど、すげぇ高かったよな。持ってるポイントだけじゃ絶対買えないし、、。」




「ここで買うんじゃなくて、移動用燃料があるから、近くにレンタカー屋さんとか有ればそこから拝借出来ないかな、、?」





「なるほど!そんな手が、!」





「そのレンタカー屋さんに行くまでの道はどうするんだよ。鍵とか手に入らなかったら行き損だぞ。そのリスクは怖くないか?」




「山梨達を助けたあとはここにまた戻るのか?それによって荷物とかも変わらないか?」




なかなか意見がまとまらない、少しでも皆んなで知恵を出し合って最善の道を探して行く。




話し合った結果、まず特殊アイテムショップでHP回復薬とMP回復薬、ハイポーション、ミドルポーション、ポーション、それと万能薬などを買い揃えた。特に私のマザーテレサ

と荻野さんのアベル用のMP回復薬は多めに購入した。




それから何の能力もない太田くんはポイントを使いRランクの物を購入した。端から端までチェックして本人が納得した物を購入。Rランク武器ディバインライフル。

木属性の弾を繰り出すライフルで命中するとダメージを与える他、弾から蔦が発生し目標にからまるという代物だ。



モンスターをこれで足止めさせ他のメンバーで確実にトドメをさす!という狙いと私のマザーテレサ発動の中から遠くの敵を仕留められるんじゃないかという狙いである。

そして残りのポイントで武器を強化。そしてSRにまで進化させた。SRのレベル3まで上げて太田くんのポイントは終わった。




スピードシューズの装備を持つ内田君も色々と考えた末選んだのはRランクスキル アイアンハンマー。身体のどこでも鉄のように硬くさせる事が出来るスキルだ。これで足を鋼鉄化しスピードシューズの速さで蹴りをいれるというダブルコンポが可能となる。

そしてスピードシューとアイアンハンマーを強化、SRに進化させたところでこちらもポイントが終わった。




そしてパパもRランクのパワーグローブを強化、進化させるのにポイントを注ぎ込んだ。力が飛躍的に上がり、握力を利用すれば壁も楽々と登れるだろう。

モンスターも投げ飛ばせるくらいは簡単なはずだ。




そして話し合いはまたどうやって山梨さんのところまで行くかという所になる。車を買おうにもポイントが足りないのだ。




「、、4階の職業変更ポイントで職業変更したらポイント更に貰えたりしないのかな?ゲームとかだとボーナスポイント入ったりするパターンもあるんだけど、、。」




「たしかに!忘れてましたね!行ってみましょう!」




パパの言葉に皆んな賛成して4階に移動。昨日泊まる部屋に移動する前に見た青いサッカーボールくらいの球体いくつも浮かんでいる所に集まった。





「、、、これをどうするのか、、。」




「アベルを出してみるよ。1番安心して聞けるし。アベル。」




MPポーションを飲んでMPを全回復した荻野さんがアベルを召喚した。




「ホウ。主人よ無事怪我人の回復とMPの回復が出来たのだな。」




アベルは嬉しそうに荻野さんの頭の上をくるくると優雅に舞うとふぁさっとまた肩にとまった。




「ああ、なんとかなった。アベルのおかげだ、ありがとう。」



主人に褒められたアベルは嬉しそうに目を細めると首をクルクルとまわした。




「それで次に聞きたいのはこの球体の事なんだけど、、、これ何?これで職業変更が出来るの?」




「ホウ。ここで職業を変更出来るが、個々の能力や装備、スキルにより出てくる職業が大いに異なる。そして選択した職業によりHPやMPの上限量が変わる。」



「、、えーとつまり、この球体に触って出てくる職業一覧はあくまで各々自身の選択可能な職業であって、皆同じではないと、、。」



「ホウ。そうである。そして職業変更はセーブポイントでしか出来ない。」



「なんか、ひどい設定だな。、、こう意地でも場所移動させようとしてるみたいだ。」




、、それが目的なのかもしれない。少しでも一定箇所から動かせてモンスターに接触させたいのかもしれない、、。普通のゲームならプレイヤーは喜んで外を駆け回りモンスターを倒しまくるだろう。でもここは現実世界だ。どう考えても籠城する人の方が多いに決まってる。そんな人達はゲームに有利になる職業を選ぶ事すらさせて貰えないのだ、、。




「ホウ。球体に手をかざすとそれぞれ選択可能な職業が出てくる。職業により様々なスキルが加算されるが、種類が膨大な為私も完全には知らない。」




「とりあえずやるしかないか、、。」



とりあえず皆一人一人が球体の前に移動し、手を触れてみた。





「ポイントは?職業変更でもポイントがもらえるの?!」




「ホウ。与えられる。初の変更に限り1人につきいくらかはもらえるはずだが、、。」






私はごくりと唾を飲み込んで球体の方を見ると、すっと自分の手をそこにかざした。



球体が淡く光り、反応する。

自動的に自身のウィンドウ画面が現れレベルの箇所が変わっていく。パパを助けに来るまでとゴブリンキングの特殊イベント、更にここに来るまでに倒したモンスター数はかなりの数のはず、、。おかげでレベルもそこそこあがっている。

そしてSSRスキルとSR武器も所持している。



お願い、少しは強そうな頼れるような職業選択出てきて、、、。





「おおおお??」




球体の光りがスゥッと広がり自分の前に職業が現れた。



          選択可能職業


    スーパー主婦  短時間で一定のレベルアップ

            一定のポイント数利用クリア

            の専業主婦のみが獲得出来る。



、、、んんん???





選択職業一個だけって、、選びようが無いじゃんよ。

しかもスーパー主婦って、、、。あ、でも意外と獲得出来る基準が厳しそうだならこれってもしかしてレアな職業なんじゃないかな!



そう思い スーパー主婦をタップし、スキルを確認してみる。


            

             特殊スキル

    スーパー主婦  ポイント獲得30%アップ

            ポイント購入30%オフ

            幸運 +30

             

             


って、、、おおおお!!!!

これ、戦闘とかには全然不向きな職業だけど、主婦っぽくポイントお得にゲット!と、買い物割引き出来るんじゃん?!?  しかも、運も良くなるならガチャも有利!?





私はスーパー主婦を迷わず自分の職業に選択した。






葵 イチノセアオイ

職業 スーパー主婦

女 33歳

レベル 12

HP 150

MP 200


スキル

SR絶対安心空間マザーテレサレベル3

マップ レベル10

検索  レベル10

通話  レベル10

探索(特殊イベント探索可能) レベル10


職業特殊スキル

ポイント獲得30%アップ 

ポイント購入30%オフ

幸運 +30



武器 夢幻槌(フライパン返し)

   レベル10 サブスキルA 無し


ポイント 126558





画面を見て一瞬見間違えじゃないかな?と目を擦る。




「HPもMPの上限もすごい増えてる!しかもポイントが12万も増えてる!100000ポイントももらえるんだ!!」





「!そんなに!?まじで!?やってみようぜ!」




私の画面を覗き込んでパパや荻野さん、太田君や内田君が一斉に球体に手をかざす。それを見て凛や蓮や静江さんも手をかざしはじめた。

そして各々が自分の職業を選択する。





一ノ瀬竜  イチノセリュウ

職業 戦士

男 37歳

レベル 8

HP 300

MP 120


スキル  

マップ レベル 1

検索  レベル 1

通話  レベル 1

探索 レベル1


職業特殊スキル

攻撃力+10%

防御力+10%



武器 SRパワーグローブ レベル8


ポイント 10313





内田祐介   ウチダユウスケ

職業 韋駄天

男 25歳

レベル 5

HP 200

MP 70


スキル

マップ レベル 1

検索  レベル 1

通話  レベル 1

探索 レベル1


職業特殊スキル

速さ+20%

俊敏+20%


武器   なし

装備   SRスピードシューズ レベル1

スキル  SRアイアンハンマー レベル1

ポイント 50873






太田陽太 オオタヨウタ

職業 狙撃手

男 32歳

レベル1

HP 150

MP 120


スキル

マップ レベル 1

検索  レベル 1

通話  レベル 1

探索 レベル1


職業特殊スキル

命中度 +20%


武器 SRディバインライフル レベル3


ポイント 10390





荻野潤 オギノジュン

職業 知恵者

男 37歳

レベル 3

HP 80

MP 250

スキル マップ レベル 1

検索  レベル 1

通話  レベル 1

探索 レベル1


職業特殊スキル

頭脳+20

遠目


スキル SR叡智の書アベル レベル10

ポイント 100823





「おおおお!本当にポイント入ってる!、、でも、俺と太田はポイント+10000だけど、内田の50000、荻野と葵は100000ポイントなのはなんでた??」




「多分職業のレア度、、だと思う。俺の知恵者はスキルによる知恵が他の人よりかなり多い場合に選択出来る職業みたいだし、、内田の韋駄天もあれだろ?速さの職業だろ?葵ちゃんのも結構稀な確率でしか現れないんじゃないかな?」



「多分俺の韋駄天も少しレアなんだと思います。速さ+一定期間内のモンスター討伐数で選べる職業と出てましたから。」




「なるほど、俺の戦士とか太田の狙撃者はけっこうノーマル職業なんだろうな。いや、でもポイントもらえるだけかなりありがたいな!!」




喜んで騒ぐ皆。これだけポイントがあればなんとかなるかもしれない。





ちなみに静江さんと凛と蓮ももちろんレベルアップも何も無かった為職業一覧には何にも現れなかった。





「これでポイント皆の合わせたら車買えないかな??」




「!おおおっ!!買えるかも!!2階に見に行ってみようか!」




全員でまた2階に移動する。凛と蓮は2階に移動すれば何かまた買ってもらえると思っているらしく2階フロアに着いた途端に静江さんの手を引っ張り、またおもちゃショップへ移動して行った。




「母さん、おもちゃはもう充分あるんだからもう買うなよ!?」




「分かってるわよー!アイテムBOXから出して遊ばせるから大丈夫よ。」




「ばぁばー!こっち、こっちー!」



「はいはい、凛ちゃん今日は一個しか買えないからねー。」




、、、それでもまだ買うのかい、、。まぁ子供達見ててもらえるなら助かるしいいか、、。


子供達を静江さんに任せて皆んなで車のショップに移動して片っ端から画面を確認していく。



「15人以上乗れて移動出来るやつで、、。」



「マイクロバスとか、ミニバスか?やっぱり、、。」



「子供達もいるからなぁ、、。」



「ここを拠点にして2組に分かれるとかは?そしたら通常の車でも行けないか?」



「うーん、、ここって誰でも入れる施設だろ?中にはなりふり構わず食料とか他人から奪おうとする奴が来たりしたらモンスター並みに危険じゃないか?」



「あ、そうだね、、こんな状況だもの、、。そう考えるとやっぱり全員一緒に移動したい、、。」




「、、!あ、これはどうですか?」




太田君が何か良い物を見つけたらしく画面を指差して私達を呼ぶ。車は大体値段順に左から並んでいるみたいだが、太田君がいるところはだいぶ右側、つまり高額ゾーンとなる。




「、、おおお!」




太田君が見つけたのは大型のキャンピングカーだった。




「キャンピングカー!使ったことも見たこともあんまりないから発想に出てこなかった!」




「これ、でかいな!そんで中がすごい、運転席の上がベットになってるのか、、。両側にソファと真ん中に机、キッチンとトイレもあって、、家じゃん!」



「うーわー!お金持ちが乗ってるやつじゃん!!」




パパや太田君、内田君、荻野さんは車内の画像を見て大興奮している。

キャンピングカー、、確かにこれならかなり広い!子供達がいてもベットやソファで寝かせられる事も出来るし広いスペースで遊ばせることも出来る!何よりトイレとキッチン付きは魅力的だった。寝るときはソファや空いてるスペースに布団をひけば皆寝れるだろう。




「これなら、皆乗れるけど価格は?」



「えっと、、120000ポイント っすね。」



「じゅっ、、、、、!?」




、、、つまり、現実価格に置き換えると1千2百万!?!

マジかー、、、、、、

、、、まぁ、移動する家と思えばそれくらいするよね、、。




「あ、でもポイント出し合えば買えるな!」



「、、、ここは買うべきか、貯めとくべきか、、。」




ポイントを貯めて安全な家とか建物を買うって事も考えたけれど今はやはり移動手段が無いとどうにもならないし、、、

子供達に不便な思いはさせたくない。山梨さんたちと合流すれば子供は一気に4人になるのだから、、。

それに山梨さんたちを助けたら次は荻野さんや内田君の奥さん達や太田君のお母さんも探しに行くんだ。






「、、、買おう!!」




「、、そうだね!またレベルアップしてポイントを貯めて家も買おう。その為にもまず全員が乗れるやつ買おう。」




「俺はあまりポイント無いからそんなに貢献出来ないけど、今後頑張って貯めますんで!!」




皆んなの意見が一致したところでポイントをまたギルド特典で交換移動し悩みまくって1番良さそうな大型キャンピングカーを購入しようとしたところ、私が画面を触ると価格が変動された。



120000→84000





「!あ、私の職業の特殊スキルのお買い物30%オフが適応されるみたいです!値下がりします!」




「何!?そんなスキル持ちの職業だったの!?すげぇな!スーパー主婦職業!」




「これで大分ポイント浮きますね!」




皆で喜びはしゃいだ。30%オフはかなりでかいしありがたい!、、がそれでも840万の買い物じゃんか、、、怖っ、、、、。私は震える手で高額のお買い物をした。



「うわぁ、、アイテムBOXに大型キャンピングカーって表示されたよぉおお。なんか怖い。」



何故か私が預かることになりアイテムBOXの表示にビビる。

ポイント購入したという事はこのキャンピングカーもアイテムBOXに出したりしまったり出来ると言う事なのだろうか。




★一ノ瀬葵      66558   主婦

一ノ瀬静江      993 主婦

一ノ瀬竜       10313 会社員

一ノ瀬凛       10

一ノ瀬蓮 10

内田祐介       46873 会社員

太田陽太       10390 会社員

荻野純        60823 会社員

山梨翔吾       1830 会社員




皆んなでポイントを出してキャンピングカーを購入した為、使用後はこうなった。




「よし!じゃああとは残ったポイントでまた食料とか必要なものを購入したり各自スキルや武器とか強化して準備が終わったら今日中に山梨んとこ行こう!」




時刻は午後2時。暗くなる前に合流したい。




「、、あっ!荻野さん!少しだけアベルを貸してっていうのも変だけど、アベルを使わせてもらえませんか?」




「ん?葵ちゃんが何かアベルに用があるって。」



「ホウ。主人の恩人が私に何の用だ?」



「えっと聞きたいことと確認したい事とかがあって。」



「なら、アベルしばらく葵ちゃんといてくれるか?俺色々と必要ない物買ってくるから。」




「ホウ。了解した。」




荻野さんはそう言って他のショップの方に移動して行った。

アベルは私の肩に止まるとクルクルと首をまわして私を見る。




「ホウ。それで私に聞きたい事はなんだ?」




「あのね、、。」








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