イベント お昼ご飯は黄金チャーハン
はぁー、、マジで意味ないじゃん。どうしたら良いわけ?」
途方にくれた私、時計を見ればもう11時だった。
「マーマ、凛お腹すいたんだけど??」
遊びに飽きた凛が私のところにやってきてお腹が空きましたとお腹に手を当ててアピールする。幼稚園の園服をまだ着たままだった事に気付き脱がせる。
「、、ちょっと早いけどお昼にしようか。チャーハンならすぐ出来るからチャーハンでも良い?」
「いいよー!早くしてね、お腹ぺこぺこなので!」
さっきじゃがりこも食べてたじゃん、、と思いつつマッハでチャーハンを作る。
冷凍ご飯をチンしてボールに移し、そこに卵とダシの素、醤油を少し入れて混ざる。熱したフライパンに油をひき、そこにボールの中身を入れて炒める炒める。
お米を切るようにささっと混ぜるのがコツ。
所要時間5分、主婦の味方、チャーハン最高。
「はいよー!熱いから気をつけてねー!」
子供用のお皿と自分用のお皿にそれぞれ取り分けてテーブルに並べる。
「いっただっきまーす!!」
凛は元気よく手を合わせるとスプーンでチャーハンをすくい食べ始めた。ニッコニコ食べとる。うちの娘可愛い。
「っま!っま!」
こっちにも寄越せと蓮が口を開けて私の方を見ている。こちらも可愛すぎか。
はい、あーんとスプーンでチャーハンを蓮の口元に運んでやるとモグモグとひたすらに食べはじめる。
あー、、可愛い。マジでうちの子達可愛い。親バカ万歳。
2人の面倒を見つつ、自分の分のチャーハンも口に運ぶ。
子持ちになってからというもの早食いが身についてしまってあっという間に皿を空にする。
自分の食事時間5分、子供達に20分といったところだ。
3人とか4人とかお子さんをお持ちのお母さん、ほんと尊敬するわ、、、。
「ごちそーさーまーでーしたー!!!」
凛が手を合わせてご馳走様をすると真似するように蓮が手を合わせた。蓮、顔中米粒だらけじゃん、何で食べさせてるのに顔に米粒そんなにくっつけれんの?
お腹が膨れたからか蓮は、ふわぁと欠伸をした。
「蓮君、おねむかな?ちょっと早いけどお昼寝しとこっか?」
抱っこ紐を装着し、蓮を抱っこするとすぐに蓮は私にスリスリしながらコテッと眠りについた。
「凛ちゃん、蓮君寝たからお昼寝中は静かに遊んでてね?」
「分かった、じゃあ塗り絵でもしてようかな。」
凛は引き出しから塗り絵帳と色鉛筆を出すとテーブルで静かに塗り始めた。
時計を見るとちょうどお昼の12時を指す頃だった。
突然唱えていないのにステータス画面が目の前に現れた。
「?!」
「ママ、また出てきたよこれ。」
見ると凛の目の前にも出てきている。
ただ今よりイベントが始まります。
モンスターが出現します。
倒してポイントをゲットしましょう。
特殊ボーナスイベントが発生します。
マップスキルを取得してボーナス
ポイントを探してイベントをクリア
しましょう。イベント期間中はモンスター
撃破時に取得出来る経験値が通常の3倍
となります。
イベント中 残168時間
「、、、モンスター、、特殊ボーナスイベント、、?」
理解が追いつかないけど、とにかくイベントが始まると言うことだけは分かった。
とにかく考えるより早く私は マザーテレサを発動させた。私を中心に3メートルの範囲が淡く光っている。
「凛、ママがいいって言うまでこの光っているところから外に出ちゃダメだからね?」
「えー?分かったけど、トイレとかはどうすれば良いの??」
「トイレの時はママもついてくから、出そうなら言って。」
「分かったー。」
全く危機感の無い凛と爆睡中の蓮を抱えて私はリビングのカーテンを少し開けて外を覗き込む。
「、、、あ、、?」
慌ててバッとカーテンを閉めると、また確認の為ちょっとだけカーテンを開けて外を見てみる。
、、、、、、いる。
漫画やアニメとかでしか見たことないような、、モンスターが外にいる、、。
凛が塗り絵に夢中で良かった。気づいたら泣くかもしれない。いわゆる、ゴブリン、、だろうか。
5〜6くらいの子供と同じような身長で頭には角。髪はぐちゃぐちゃになっており、見るからに不潔そうだ。灰色の肌色をしで目がギョロっとしている。腰に巻きつけてあるボロボロの布以外に身につけているものは小さな小刀みたいな危なっかしい刃物。
刃物!!
恐ろしくて外に出れない。
マザーグースで安全だとしてもとてもじゃないけど無理。ましてや倒そうなどとも思えない。
「無理無理無理無理!」
私は慌ててステータス画面を開くと身の安全の為に今買えるスキルを全部買うことに決めた。
確かさっきマップスキルがどうとかこうとか、、もう探索スキルもこの際買っちゃおう!
一ノ瀬葵 イチノセアオイ
職業 主婦
女 33歳
レベル 1
HP 10
MP 10
特殊スキル SSR絶対安心空間レベル1
マップ レベル1
検索 レベル1
通話 レベル1
探索 レベル1
ポイント 9975
少しでも心強くなるようにしておきたい。まじで怖い。
マップをタップすると周辺の地図が表示された。
更に探索をタップすると地図の上に赤い点がポツポツと表示された。、、、庭のゴブリンと位置が一致するからこれはおそらくモンスターの点在位置。
特殊イベント位置を探索しますか?
イベント探索スキル 30
別途ポイントがかかります。
はい いいえ
まだポイント取るんかい!!どんだけ課金させる気満々なのよ!!と思いつつもポイント30を払ってスキルを取得した。
探索レベルが急に5まで上がった。
一ノ瀬葵 イチノセアオイ
女 33歳
レベル 1
HP 10
MP 10
特殊スキル SSR絶対安心空間レベル1
マップ レベル1
検索 レベル1
通話 レベル1
探索(特殊イベント探索可能) レベル5
ポイント 9945
よし、これで、、、
バタン!!!ガチャリ!!突然玄関の開く音がして心臓がひっくり返る!
「葵さん!!!庭のあれ!何あれ何あれ!!?!警察呼んでちょうだい!私の携帯壊れたみたいで全く使えないのよ!!」
「!!静江さん!しぃー!!しぃー!!」
私は慌てて静江さんの口を両手で塞いだ。
そして必死で目で合図する。
蓮、寝てる。起こすな。
凛、外のアレに気づかせるな。
大声だすな、アレが来たらどうする。
鬼の形相で無言で訴える私に静江さんもようやく、ふーっ!ふーっ!とした息を沈めて頷く。
「、、、落ち着きました?落ち着いてください?良いですか?大声やめましょうね?」
コクコクと頷く静江さんを確認してからそっと口を押さえていた両手を離す。
「、、、ごめんなさいね、私気が動転してしまって、、、、。」
「ばぁば、どうしたの?塗り絵やる?一緒に遊んで?」
「凛ちゃん、、そうねばぁばと塗り絵しようか。」
凛の横の椅子に座った静江さんにお茶を出し、私はとりあえずいま私が知りうる全ての事を説明した。
何もかもがまだ謎だらけなので10分もかからなかったけれど、、、、
静江さんは私の話を聞いて、まさか、、信じられない、嘘でしょと時々呟いていた。
しかし庭のゴブリンを見てしまった今信じるしか無いといった顔で私を見る。
「つまり、、あれなの?漫画やゲームみたいな世界になってしまった、、?みたいな事なの、、?とても理解が出来ないけれど、、、、。」
蓮を起こさないようにユラユラと揺れながらわたしも話す。
「今のところ、そうだとしか、、、私もとても信じられないですけど、、実際、、庭にいますし、、、、。」
「でも、あれでしょ?葵さんの能力でここにいれば安心なのよね?!動かないで救助を待ちましょうよ。子供もいるんだし。きっと自衛隊や警察隊がすぐに来てくれるわよ!」
「、、、そうでしょうか?移動手段の車が動かないんですよ?どうやって救助に来るんです?それに私が読んだ漫画やアニメとかでは自衛隊や警察隊がすぐに助けに来てくれるパターンなんか一個も無かったです、、。」
「漫画は漫画!アニメはアニメでしょう?!これはいま現実なんだから、来るかもしれないじゃない。」
「落ち着いて下さい。静江さん。パニックになっちゃダメです。子供たちが怖がりますから、、、。」
私の言葉にハッとして静江さんが凛を見つめる。
「そう、、そうね、、。まずはこの子達の安全を第一に考えましょう。、、、私はゲームも漫画も全く知らないし、、葵さんに任せるわ。どうしたら良いのか指示してちょうだい。」
そう言われても、私も漫画やゲームの知識は有るけれどそれを実践なんてゆう勇気は無い。まずモンスターは倒したくないし、近づきたくない。でもこのままここにいても何にもならないのだけは分かる。
「、、特殊イベントボーナスっていうのを調べてみます。モンスターは倒せなくても何とか出来るイベントだったらどうにかなるかもしれません。私はまだ能力がある事で有利なので、、。」
「分かったわ、凛ちゃんは私が見ておくから調べてちょうだい、、、、、、竜は、、大丈夫かしら、、、?」
この場にいないパパの事がすごい気になるけれど連絡も出来ない今の状態では何も出来ない、、。
私はとりあえず探索スキルをタップ、続いて特殊ボーナスイベントをタップした。
特殊ボーナスイベント
特殊ボーナスイベントが地点が地図
に表示されます。
ぱっと地図上に赤い点の他に黄色い三角のマークが現れた。
「、、、あれ?家にマークがありますけど。」
間違いなく自宅、ここに三角のマークがある。恐る恐る三角マークをタップすると
特殊イベントボーナスが
発生しますがよろしいですか?
はい いいえ
「静江さん、私試しにやってみますね、、?」
「、、、分かったわ。やりましょう。」
私は画面上の はい をタップした。
姑と4歳、2歳の子どもと平凡な主婦。4人で特殊イベントボーナスに挑むことになったのだ。
、、、守ってみせる。ママが。
部屋の中が急に暗くなり怪しい煙が立ち込める。
凛が怖くなり横にいた静江さんにしがみつく。静江さんは凛を抱きしめて、大丈夫、大丈夫と必死に宥める。
煙の中からヌゥっと現れたのは2メートルは越えるバカもだった。顔は牛だが頭から山羊のような角が2本生え、肌は黒く筋肉が盛り上がった体には怪しげな紋様が浮かび上がっている。
「ママー!!怖いよおおおおお!!」
凛は静江さんにしがみつきながら必死に私を呼ぶ。私は蓮を抱えたまま、2人のところへ急いで移動すると2人を隠すように前に立った。
「、、あ、、葵さん、、これは大丈夫なのかしら、、、。ああ、、あの世のおじいさん、私達を守って、、、、。」
心臓が飛び跳ねそうなくらいドキドキしている。
怖くて怖くて鳥肌が立ち、上手く息が吸えない。
牛の化け物は私達を見下ろしと煙の中から何かをずるりと取り出して置いた。
「、、、、ルーレット、、、?」
TVとかでよく見る回して止まったところの罰ゲームを受けるみたいな、あのルーレット。
牛の化け物はこくりと頷くと喋り出した。
「特殊ボーナスイベントにようこそ。ルールは簡単!人数分ルーレットを回して当たった項目がもらえる。」
さもお得だろうぅ、すごいだろぉとドヤ顔で牛顔がこちらを見下ろしてくる。
「、、、、ルール、、、それだけ?」
「そうだ、ただし当たった項目は必ずもらわなくてはないない。拒否は出来ない。」
、、話うますぎじゃない?怪しんでルーレットに近づき確認する。ルーレットの中にはそれぞれ文字が書いてある。
ポイント100
ガチャ券10枚
能力付与 1
レベル上げ 1
ポイント-100
モンスター10匹
火の玉100発
剣の雨100本
などなどなど
「、、このルーレット半分はこちらに被害が来るものばかりだけど、、、。」
「得だけするイベントがあると思うのか?」
牛の化け物はニタリと笑う。まるでこちらが傷つくことを期待しているように。
「そうよね、、何個か確認しても良いかしら?」
「、、、何だ?」
「今私たちに起こっていることってなんなの?特殊イベントボーナスって何?外にいるモンスターは私達人間でも倒せるの?SSR能力ってどれくらいの確率で出る物なの?あなたのカテゴリーはモンスターで良いの?ルーレットを無事終わらせたら部屋は元通りになるの?
あと、回すのここにいる人数分って言ったけれど私の子供達まだ小さいし静江さんはご年配だから全員分私が回しても良いかしら?」
「、、、、は?」
牛の化け物は予期せぬ質問に戸惑った。
「質問に答えるサービスとかはないの?」
「、、、、、答えられる問いにだけ答えてやろう。
私はモンスターだ。ルーレットを終えたら戻れる。全員分お前が回すのは可能だ。」
「、、、それだけ?それだけしか教えてくれないの?」
「知りたければ自分で調べるんだな。」
結局何も教えてくれないのか、この牛は、、、、
少しでもこの世界に今何が起きてるか知りたかった、、、。
「分かった、、、ありがとう。じゃあ静江さん私4回、まわしてくるからその間蓮と凛のお願い出来ます?」
抱っこ紐を解きそのまま静江さんに蓮ごと渡す。
「、、、ママ、、?」
凛が不安そうな顔でこちらを見てくる。
「大丈夫よ、凛。ママね実はとっても強いの!それにルーレット回すだけだから大丈夫。凛は静江さんと蓮くん見ててくれる?」
「、、、分かった、、。」
凛は静江さんにしがみつき、静江さんはその場から動かないように凛を抱きしめた。
私はルーレットの前に立ちゆっくりと深呼吸をする。
大丈夫、大丈夫。私にはSSR能力がある。ルーレット項目を全部チェックしたし、あの牛はモンスターカテゴリーって分かったからマザーテレサで全て防げるはず。
今はとにかくパパを助けに行けるように少しでも私が何か手に入れないと!!
心を決めグッとルーレットを回す。
カラカラカラカラ、、、、
ルーレットが勢いよくまわりそして止まる。
1回目 ポイント100
2回目 ポイント50
3回目 ガチャ券10
「よし!!!1番の目当てだったガチャ券がきた!!」
私は大喜びでガッツポーズをした!今日の私ついてる!!マジで!!!
「ほほぅ、、3回連続で当たりマスを引くとは強運だな。
しかし気をつけろよ、4回目で死ぬやつが多いからな。」
牛の化け物はニタニタと笑っている。、、はじめから3回は当たりを引ける事は決まってたのかもしれない。最後に地獄を味わわせるのが悪魔っぽいし、、、。
そして4回目を回す。
カラカラカラカラ、、、
ピタっと不自然に止まったルーレットは案の定マイナスマスだった。
刃の雨100本
「アーハッハッハッハッハッハアァ!!!残念だったな人間!!欲張るからだ!死ねぇぇぇえ!!!」
牛の高笑いが聞こえる。
私は万が一に備えみんなのところまで駆け寄るとぎゅっと抱き抱えた。マザーテレサの発動を確認して目を閉じる。
空から光る刃が光ながら降り注いでくる。
私は凛の目と耳を塞いで見えないようにした。子供心にトラウマになるのは絶対に嫌だ。
刃が私達の上に降ってきてはマザーテレサに弾き飛ばされ粉塵となり消えていく。まるでスノードームの中にいるかのようにキラキラと光り幻想的だ。
これがまさか恐ろしい刃の攻撃を受けているとはとても思えない。
5分経った頃には刃は尽き何も降って来なくなった。
分かってた。
分かってたけど、SSR能力やばぁ
うわぁ、やばぁ。とゆうかかの能力じゃなかったら私達ここで死んでたのね、本当にこの能力でよかったぁ、、、。
牛の化け物は無傷な私を見て絶句している。
「、、、何で、、、。」
「、、私SSR能力持ってるの。」
「、、、、何で、、?」
牛の化け物の顔は何でお前みたいなやつがSSR能力をって顔だった。悪かったわね、平凡な主婦がSSR能力持ってて!
何か言ったやろうとしたけれどピロンとステータス画面に文字が現れた。
特殊ボーナスイベントクリア
特殊ボーナスイベントをクリア
しました。自動的に特殊イベントが
終了されます。
最後まで納得出来ない、という標準をしたままスゥっと牛の化け物が怪しい煙が魔法のように消えるといつもの自宅のリビングに戻った。
私は安堵感から、はぁーっ、、と息を吐いてその場に座り込んだ。
「、、葵さん、やったわね、、、本当にお疲れ様、、。」
静江さんが泣きながら背中をさすってくれた。
私も思わず涙が出て泣いてしまった。
「怖かったぁ、、、。」
「ママ泣かないで?」
凛が私に抱きつき頭をヨシヨシしてくれた。
ギュウっと抱きしめてほっぺたにチュウーとキスをかます。
無事で良かった。
蓮も静江さんの腕の中で何も知らずにまだスヤスヤとお昼寝中だ。
「、、とりあえず、あったかいお茶でも飲みながら話しましょうか、、、。」
一ノ瀬葵 イチノセアオイ
職業 主婦
女 33歳
レベル 1
HP 10
MP 8
特殊スキル SSR絶対安心空間レベル1
マップ レベル1
検索 レベル1
通話 レベル1
探索(特殊イベント探索可能) レベル5
ガチャ券10枚使用可能
ポイント 10095
自分のステータス画面を見ながら、静江さんが入れてくれた緑茶をずずっと飲む。
「、、それでこれからどうしましょうか、、。竜もどうなったか分からないし、、、。」
「先程のイベントで手に入れたポイントとガチャ券で何か使えるものが手に入れば良いのですが、、、。あと私の能力1時間でMP1使うみたいです。今午後2時なので使えるのはあと8時間ですね、、、。SSR能力を手に入れたのも、特殊イベントポイントがまさかの自宅だった事も全部たまたまのたまたま、運が良かったとして言えません。この先はやっぱりパパもいた方がいいと思うんです。」
このままだと夜の10時には能力が一度使えなくなる、、、。MPがどうしたら回復するのかまだわからない。できれば夜の為に温存したい。
私はマップでモンスター位置を確認し、庭にいたモンスターが移動した事を視認してから一度マザーテレサの発動を切った。
「私の能力は籠城するには最強ですが、モンスター相手に対して攻撃などは一切出来ないんですよね、、、。」
「自衛用の武器が欲しいところねぇ、、。」
静江さんの言葉に頷いて私はポイントをタップする。
ポイント交換
食料品一覧
日用品一覧
武器一覧
能力一覧
ガチャ券交換
武器一覧をタップするとズラッと武器が出てくる。
ナイフやら槍やら剣やら、、、
いやいやいや、これら買ったとして至近距離でモンスター倒すの?無理無理無理、出来れば近寄らせずに倒したい。
こう、、マザーグース発動してそこから飛び道具で何とか出来ないのか、、、。
そう思い武器一覧をみていると飛び道具も出てきた。
弓、クロスボウ、銃、、、、、
弓って何の練習も無く上手く飛ばせるもの??
クロスボウなら、、ボウガン?セットして飛ばすだけなら何とかなるかな、、、銃とか、無理無理ここは日本人ですわ。
恐ろしくて撃てない。子供が下手して触ったらどうすんのよ、、、、。
私は悩んだ末にボウガンとボウガンの矢をセットで購入した。ポイントは30ほど、、毎回思うけど高いわ。初期設定ポイント10でしょ、普通なら買えないでしょうが!
アイテムボックスからそれを出すと静江さんに渡す。
「何があるか分かりませんし、これはとりあえず静江さんが持ってて下さい。私はまた買うので。アイテムボックスに入れていつでも出せるようにしておいて下さい。」
静江さんにステータス画面を出させてそこにクロスボウをのせると、画面に吸い込まれるようにクロスボウが消え、アイテムボックスに1/100と表示された。確認するとちゃんとそこにクロスボウが記録されていた。
「、、ほんとにゲームみたいね、、。恐ろしいわ。自衛用とはいえ使わないに越した事ないしとにかく化け物たちがこっちに来ないと助かるわ、、、。」
「そうですね、、、子供達だけでもなんとか安全な場所に避難出来れば、、、。」
マップでは赤い点が所々に散っている。
街中いたるところにモンスターが徘徊しているのだろう。
ここは幸い田舎だから見通しも良いし、カーテンや扉を閉めてしまえば、まず見つからないだろう。扉や窓を破られたら終わりだが、、、、、
私は画面上のガチャ券10枚をタップしてみる。
ガチャ券10枚を使用しますか?
はい いいえ
はいをタップすると画面上に10個の宝箱が現れた。1つだけでも当たり的な何か、、どうかお願いします!!
大丈夫!今日の私はつきまくってる!むしろ今日じゃないともう当たらない気がする!!!!
パンパンパンと宝箱が次々と開き中身が表示される。
緊急応急処置セットを獲得しました。
緊急食料セットを獲得しました。
移動用燃料を獲得しました。
緊急食料セットを獲得しました。
緊急食料セットを獲得しました。
武器付属用サブスキルAを獲得しました。
緊急食料セットを獲得しました。
SR武器 夢幻槌を獲得しました。
緊急食料セットを獲得しました。
緊急食料セットを獲得しました。
「出た!!SR!!よっしゃ!!!」
というか緊急食料セット多っ!!!10個のガチャの内、6個は食料セットって何なん!?!
唯一出たSRは待望の武器だけど、、、槌かぁ、、、、トンカチみたいな?
モンスター、、こう、潰すかんじ、、?私が、、?
嫌だなぁ、、、嫌だなぁ、、、、
とりあえずアイテムボックスの中にある武器をタップしてみる。
SR 夢幻槌
使い手に合わせてその形をもっとも
使いやすい型に変化させる槌。
使用者の攻撃力を格段上げる。
、、、ほう。とりあえずタップして画面からだしてみる。危ないので凛と蓮から少し離れたキッチンで。
出てきた槌は見るからに変哲ないただの黒いだけのトンカチに見える。
「、、頼むよぉSR...」
恐る恐る触るとグニャリと変形を始めた。
、、、私に使いやすい型、、、、どんな槌になるのか、、、、。
グニャリグニャリとまるで私の手の中で悩んでいるように動く物体はやがて私の手にしっくりと馴染むように姿形を変えて現れた。
「、、、、これは、、、ふ、、フライパン返し、、、?」
通常の10倍はあるであろう大きさの黒い塗装のフライパン返し、、、、、、、、待ち手は可愛い私の好きなミントグリーンカラー♪
いや!確かに私には使いやすい型だろうけども!!!!!!!!
これトンカチとかハンマーって言うよりこう、パァン!ってなる張り手みたいな攻撃になるんじゃないの???
これ背中に担いで戦うの??ぶっちゃけ格好悪くない??もっと漫画とかアニメとかだとみんなカッコ良い武器とか素敵な武器使ってるじゃーん!!
何でフライパン返し??!すごい持ちやすいし軽いけども!!!!巨大なパンケーキでも焼けと!??!
これでモンスター倒せるの?!?
夢幻槌も困ったんじゃないの??こんな型になるなんて夢にも思わなかったでしょおねえええええ!!!!
「、、、静江さん、こんな武器出ましたけど、、。」
「あっらぁ!大きなフライパン返しねぇ!、、、、これ武器になるの??」
「、、とりあえずSRなので多分、、いやきっと、強いとは思いますが、、、、。」
「、、、な、なんというか、、可愛らしい武器ね。危なくなりそうで持ってても安心じゃない?子供達が触っても怪我しなそうだし、あと、ほら大きなホットケーキ焼けそう。」
ですよねええええええ!!
まぁ、このサイズのフライパン返し使うとなるとそれはもう更に大きなフライパンも必要になりますけどねぇぇぇえ!!!!無駄なお気遣いありがとうございますぅ!!!
一ノ瀬葵 イチノセアオイ
職業 主婦
女 33歳
レベル 1
HP 10
MP 8
特殊スキル SSR絶対安心空間レベル1
マップ レベル1
検索 レベル1
通話 レベル1
探索(特殊イベント探索可能) レベル5
武器 夢幻槌 フライパン返し
ポイント 10065
、、、何かステータスだけ見るとすごい強そうというか何というか、、、フライパン返しって思いっきり書かれてるし、、、!
とにかくワケがわからんキャラみたいになってる、、、。職業もさ、こうカッコ良くなんか他のになったりしないのかねえ??
でもこれで武器もとりあえず手に入った事だし、
さっき移動用燃料もガチャで手に入れたからもしかしたら車を動かすことも出来るかもしれない、、、、。
、、、子供達と静江さんを守りながら、車でパパの会社まで行く、、?マザーテレサ能力でモンスターを防ぎつつフライパン返しで叩きのめして進んで、会社でパパを探して助けて、、連れて帰る、、、
、、、、成功するビジョンが見えない、、、。
やれるかな、、、。
「、、静江さん、私正直自信無いです、、。ポイントはまだまだあるからこの家の中でずっと暮らしていく事は出来ると思います。でも、、パパが無事かどうかも分からないまま、このままただ家の中で待ってるなんて、私には出来ません。
でも子供達を連れてわざわざモンスターのいる中移動するなんて、どうなんでしょうか、、?でも一緒にいないと能力で守れないし置いていくなんてそれこそ出来ません、、、、。」
パパが何のスキルも持ってなくてポイントも10のままで武器も何も無かったら、、、それこそ日数が経つにつれ生存確率が減るように思えて、怖い。
子供達と同じくらい、パパが、竜さんが私には何よりも大事な存在なんだ。
静江さんはコクリと頷いた。
「竜は私の息子だから、私も何より心配よ、大丈夫!行きましょう。子供達は私が見るわ!車での移動はともかく、それ以外は蓮君は抱っこ紐で、凛ちゃんをベビーカーに乗せて行けばいいんじゃないかしら?」
「、、、一緒に来て頂けますか、、?」
「家族だもの。もちろん行くわ。お嫁さんにばかり苦労させるわけにはいかないわ。大丈夫よ!私はまだまだ足腰元気ですからね!モンスターは倒せないかもしれないけれど、葵さんの足を引っ張らないように頑張って付いていくことくらいなら出来るわ!」
私は腹をくくった。
そうだよ、私の能力は家族を守るためにあるんだもの。誰一人欠けるなんて許さない。
絶対パパに会う、皆んなで絶対帰ってくる。
強く決意した。弱気になるな!
私はママで奥さんで、強くないと、皆んなを守るのは私だ!
職業 主婦上等!!
やれるとこまでやってやる、、、!
パパ、待っててね!
私と静江さんはさっそく支度に取り掛かった。
子供達はずっとおもちゃ部屋で呑気に遊んでいたけれど、何にも分からないまま、きゃっきゃっとはしゃぐところを見るだけで心が救われた気がした。