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やがて最強の転生者 ~超速レベリング理論を構築した男、第二の人生で無双する~  作者: 絢乃
四章:夏祭り

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039 夏祭り

「君たち普段はどこで活動してるの?」


「クランは入ってる? よかったらウチのクランに入らない?」


「いやいや、ウチにおいでよ。福利厚生がしっかりしているよ」


 龍斗たちは数百の冒険者に囲まれ、クランに勧誘されていた。


(浪速バスターズを思い出すな……)


 ほんまにすごいでセキュリティーズの登場といい、何かと既視感を抱く龍斗。


 勧誘に対する彼の返事も前回と同じだった。


「すまないがクランに所属する気はないんだ」


 前世から続く野望を叶えるのに、クランは邪魔な存在でしかなかった。


 ◇


 リザードマンの襲来によって、海は一時的に閉鎖されることとなった。


 閉鎖は数時間で終わるとのことだったが、龍斗たちはそれまで待てなかった。騒ぎを聞きつけてやってきたマスコミや野次馬たちと仲良く待っているなど苦痛でしかなかったのだ。


 そこで、少し離れたスーパー銭湯へ行って汗を流すことにした。ついでにマッサージ機で疲労を飛ばしておく。


 そうこうしている間にも時間は過ぎていき、日が暮れた。


 夜のイベント〈夏祭り〉の始まりだ。


 浴衣に着替えた龍斗たちは、有名な神社で行われる祭りに参加していた。


「すごい混み具合だねー!」


 先頭を歩く麻衣は、左右に並ぶ屋台を舐めるように眺める。


「ポポロ、迷子になったら駄目だからねー」


「はいなのです!」


 その後ろに続く仁美とポポロは、手を繋いで歩いている。


「龍斗君は祭りとかよく来るの?」


「いいや、全然。人生初だよ」


「人生初!? 今年初じゃなくて!?」


「うむ。こういうのもたまには悪くないな」


 龍斗と愛果は最後尾だ。


「仁美さん、ポポロちゃん、リンゴ飴あるよリンゴ飴!」


「金魚すくいもあるのです!」


「いいねいいねー! 行こう行こう! ほら、仁美さん早く早く!」


 麻衣は仁美たちを引っ張ってずかずか先へ進んでいく。


 一方、愛果の動きはいつもより遅い。それに合わせる形で龍斗も遅れていた。


 仁美は、そういうことね、と思いつつ黙って従った。


(ありがとう、麻衣。私、頑張るよ!)


 愛果はこの祭りで龍斗に告白するつもりでいた。


 麻衣が仁美たちを引っ張って離れていくのは、愛果と龍斗を二人きりにするためだ。


「もう少し速く歩かないとはぐれちゃうよ」


 何も知らない龍斗。


「大丈夫、はぐれても先で合流できるから」


 事前に考えていたセリフを言う愛果。


「それもそっか。仁美もいるし問題ないな」


「そうだよ」


 これで二人きりになった。全ては麻衣と愛果の計算通りだ。


「龍斗君って、彼女とかいる?」


 視線を屋台のほうに向けながらさりげなく尋ねる。


「彼女? いないいない。俺にいるわけないじゃん」


「えっ、なんで?」


「だって中卒の冒険者だぜ? 底辺の中の底辺だからな」


「そんなことないよ」


「あるある」


 龍斗は嘲笑気味に笑った。


「だって逆の立場なら嫌だもん。中卒の冒険者と付き合うとか。だからまぁ、モテないのは無理もないさ」


「そん――」


 そこで愛果の言葉が遮られた。


「それより愛果はどうなの? 彼氏」


 龍斗が質問してきたのだ。


「私もいないよ。でも、いいなって思う人はいる」


「おー、そいつは幸せな奴だなぁ」


「そ、そうかな?」


「愛果に好かれるなんて、男なら誰でも喜ぶと思うよ。自分でも他の女子に比べて容姿が秀でているって自覚あるでしょ?」


 答えづらい質問だ。


 愛果は「ま、まぁ」と濁す感じで肯定した。


 実際、麻衣や愛果は非常にモテる。二人のルックスはアイドルに匹敵すると言っても過言ではなかった。告白された回数は数え切れない。


「で、愛果が好きな男ってどんな感じなの? よかったら教えてよ」


 何気ない龍斗の一言。


 それに対して、愛果は言った。


「龍斗君……だよ」


「えっ」


 驚く龍斗。


 その時、大きな打ち上げ花火が上がった。周囲の人々は立ち止まり、上がっていく一筋の光に目を向ける。


 地面を揺るがすような音が響き、上空に火の花が咲いた。


 その音に合わせて、愛果は龍斗の耳元で囁く。


「私が好きなのは龍斗君だよ」


 花火が鎮まり、再び動き出す。


 龍斗と愛果だけはその場に立ち止まったままだ。


「龍斗君はどうかな? 私が彼女じゃ、駄目?」


 顔を真っ赤にして尋ねる愛果。


 恥ずかしさや緊張から、自然と右手が胸元を握っている。


「俺は……」


 予想だにしなかった告白に驚きつつ、龍斗はしっかり考えた。


 そして、結論を出した。


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