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027 ジャイアントサンドワーム

 龍斗のジャイアントサンドワーム対策は実に単純だった。


「本当にこれで大丈夫なの!?」


「俺が落ちない限りは大丈夫だ」


「落ちたらどうなるの?」


「当然、俺は死ぬ。仁美は死なないから安心しろ」


「安心できないってのー!」


 改めてボートの操縦席に座る仁美。


 龍斗は後ろの空きスペースに立ち、目の前にキャノン砲を設置した。彼の代名詞たる〈チャージキャノン〉だ。


「次は本番だ。敵を仕留めるから撮影を頼む」


「わ、分かりました」


 クルーたちがヘリに乗り込む。


 ヘリが一定の高さまで上昇すると、クルーから準備完了の合図が出た。


「さぁ俺の理論を証明する時だ――行け! 仁美!」


「どうなっても知らないからね!」


 仁美がボートを発進させる。先ほどと同じ要領で砂の上を駆け抜けていく。既にジャイアントサンドワームは砂中に潜っている為、視界には砂だけが広がっていた。


「そろそろだな」


「そうね」


 短いやり取りを交わす。


「グォオオオオオオオオオオオオオ!」


 呼応するようにサンドワームが姿を現した。


「一撃で仕留めたい! 仁美、可能な限り直線状に逃げろ!」


「大丈夫なの!? 捕まるんじゃ」


「いや、アイツよりこのボートの方が速度は上だ。アイツはデカイだけでスピードは全然だから、ボートが故障しない限りは負けない」


「その言葉、信じるわよ!」


 仁美は龍斗のオーダーを遂行するよう心がけながら走行する。運転に必死で後ろを振り返る余裕がない。怖くて仕方なかった。


「お前の弱点は唯一の攻撃手段でもあるその口だ」


 龍斗はキャノン砲の照準を慎重に定めていく。だが、これまでの敵とは違い、砲門の角度をどこにするのが最適か分からなかった。移動砲台として戦った経験がないのに加え、上下にグネグネ動く敵を相手にした経験もなかったのだ。


「まぁ細かく狙う必要はないか。ハズれたら二射目・三射目で仕留めればいい」


 自分にそう言い聞かせて、龍斗は砲門を適当な角度に調整した。仮にサンドワームの口を捉えずとも胴体に命中する、そんな位置に決めた。


「チャージは完了した、いくぜ――発射ァ!」


 彼が攻撃を決断したのと同じタイミングで、仁美が叫んだ。


「曲がるよ!」


 キャノン砲から放たれるレーザービーム。


 急なハンドリングで横に向くボート。


 この二つが重なったことで、砲門が右から左に大きく動いた。それと同時に龍斗の体が舞い、砂漠の上に放り出されてしまう。


「龍斗!」


 仁美は慌ててボートを反転させ、龍斗の回収に向かう。


「来るな! 逃げろ! 逃げるんだ仁美!」


 龍斗は鬼の形相で叫んだ。


 ――だが、その必要はなかった。


「グォオオ……」


 龍斗の前でサンドワームが崩落する。胴体はレーザービームで焼き払われて消え失せていた。それから間もなく、残っていた頭部が蒸発して消える。


「死にやがった」


 そう、龍斗の攻撃によってサンドワームは死んだのだ。狙っていた部分には当たらなかったが、それでも死に至らしめるには十分な破壊力だった。


「えーっと、私って逃げればいいのかなぁ?」


 ニヤニヤしながら尋ねる仁美。


「馬鹿野郎、俺を乗せて帰るんだよ」


 安堵の笑みを浮かべる龍斗。


「ジャイアントサンドワームをあっさり倒しやがった……」


「それも一撃で……」


「信じられん……」


 上空で戦いを撮影していたクルーたちは、衝撃のあまり目が点になっていた。

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