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010 車内の会話

 龍斗、仁美、ポポロは手短に自己紹介を済ませると、PTを組んだ。


「エルフを生で見るのは初めてだ。本当に俺とは1歳しか差がないのか?」


「本当なのです。ポポロは現在14歳。もうじき小学校が始まるのです」


「そうか、エルフの小学校はその年齢ぐらいからスタートなんだったな。たしかエルフって、人間の10倍以上の寿命なんだっけ」


「はいなのです。老化速度も人間より遅いのです」


 仁美が運転する車の中で、龍斗とポポロは会話を楽しむ。ポポロは助手席で、龍斗は後部座席に座っていた。


「私はあんたにびっくりしたよ。15歳で冒険者ってのも珍しいけど、なによりその歳でレベル50って凄くない? 筋金入りのエリート様だね」


「よく言うだろ? 若者は恐れ知らずって。まさにそれさ」


「その口調、とても15歳とは思えないね。お姉さんなんて24でこの調子だよ」


 仁美が陽気に笑う。


「仁美のほうこそ24の女で冒険者って珍しくないか?」


「そうかな? 最近は増えてるよー」


「不景気だからか?」


「それもあるけど、やっぱり楽に稼ぎたいからだろうね。冒険者って危険だけど、ヤバイ敵を避けたらわりかし安全じゃん? 月30~40万くらいなら私みたいな人間でも稼げちゃうわけだし」


「仁美がどういう女かは知らないが、まぁその通りだな。月に30万程度ならレベル20もあれば十分に稼げる」


「でしょー。だから今は冒険者になる子って多いよ。特に女は職場の大きさがステータスにならないしね」


「そんな風に言っているけど、仁美ってレベル40なんだろ?」


「まぁね」と言って、仁美がハンドルを切る。目的地が近づいてきた。


「だったらかなりやる気がある方だろ。適性レベルを大きく下回るような雑魚は、いくら狩ってもレベルが上がらないわけだからな。それなりの敵を倒してきたはずだ」


「私は月に100万くらい稼ぎたいからね」


「お金に困っているのか?」


「困ってはいないよ。ただ、早くリタイアしたいんだよね。働くってことから」


「アーリーリタイアってやつか」


「そっそ。ちょっと贅沢することも考えたら3億から4億かな。そのくらい稼げたらスパッと辞めて残りの人生を遊んで暮らすつもり」


「なるほど」


「ポポロは小学校が始まるまでの自由時間を目一杯楽しみたいのです。小学校が始まったら結界の外にこうして出ることはできなくなるのです」


「エルフ族の小学校って全寮制だっけか」


「そうなのです。学校の敷地内にあるのです。卒業するまでの50年間、学校の敷地から出ることができないのです」


「50年間の拘束……凄いな」


 仁美とポポロは冒険者稼業を長々と続けるつもりがない。そういう考えをしている者は他にも多くいる。


「話はおしまい、到着したよ。ここからは危険だから徒歩でいくよー」


 八王子城跡まで約1キロメートルの駐車場で車を停める仁美。


「さぁ俺の理論を証明する時間だ」


 龍斗は意気揚々と車から降り立った。

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