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寒い春に、君は。  作者: 春村秋
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私を振った

命の描写と、最低な行為の描写があります。

苦手な方はご遠慮ください。

これは最後まで幸せになれなかった馬鹿な女の話。


あなたを望んだその日から、全てが絶望に変わった私の話



きっと最初は全て暖かい春の日だった。

彼は春のように柔らかく、優しく、私だけを特別大切にしてくれて、私も彼に特別愛しいという感情を抱いていた。


彼の名前は、春としよう。

私の名前は、秋としよう。



季節が桜を蹴散らして、太陽がギラつく前のある季節に私は陰性の機械(陽性の妊娠検査薬)を大学のゴミ箱に放り投げた。


彼と別れたのが十日前の日曜日。

泣いて好きだと縋ったが、なんの意味も無かったあの日を境に私はほとんど物を口にしていない。愛してるからではなくてつわりだったとは、昨日の私なら夢にも思わなかっただろう。


私は、数ヶ月前に同じ経験をして家出中の親友に文字を打つ。

〝妊娠してた〟

この1文の破壊力と今後の未来に、目眩がする。たぶんこの目眩は物を口にしていないからでもあるけれど…


もう1人、彼の友達にも連絡を入れるし、口止めもしおく。

別れたなら、私が産もうがくたばろうが元彼(クソ男)には関係ない


でも、相談に乗ってくれた彼の友達には、一言必要だろうから


クソみたいな連絡を入れたあと、鬼のように着信とLINEをくれる親友に泣きついて縋ったが、やはり意味はなく、言葉は虚空に消えていく…


彼の友達からも同じように着信が来たが、残念。泣き腫らした声と目でバイトに行く時間だから3分しかあげられない。

私はとりあえず白白しく聞いてみる

「どうしたの?」

「妊娠したってほんと?絶対、春に言った方がいいよ」

そんな当たり前の言葉が言いたくて来たのなら、お生憎様。十日前の振られる前に言ってくれ

「分かってるけど、振られた身で今更なにを?」

「絶対言えよ!やぁばいって〜!なぁ!?」

語気強く言われ、気付いた。こいつ、だいぶ酔っ払っている。

「シラフだったら、聞いてたかもね。じゃあ、バイトだからごめん。切るわ」

電話を切って、一息つくまもなく私は業務に追われた。気が楽で紛れる。空腹感を感じなくなってから、睡眠欲がなくなってから、バイトか涙を流すかの2択で生きている私はもう元の生活に戻れないのではないだろうか

バイト終わりに、Instagramのアーカイブに残ったままの、お揃いのホーム画面のままの彼から連絡が来ていた。

「大丈夫?」「どうするの?」

「会いたい」「話合おう」「連絡待ってる」

急に焦ったように送られるLINEに、ふと笑ってしまう

「大丈夫だよ。堕ろすから…そこまで保身に走らなくてもいいのに……笑」

画面に呟いて涙が溢れる。

私は、私への愛情で連絡が欲しかった。なりふり構わず会いに来て欲しかったし、愛して欲しかったのだから

〝産まないから大丈夫〟

春がそばにいないなら、私に産む選択肢はない。

だから、大丈夫…お願いだよ

。私が産まないと言って、春の安堵する顔も見たくないんだ。


それから程なくして私たちは話し合いという名目で数分会うことになる。なぜ数分かと言うと、中絶の費用が20〜30万もするせいで、私の労働時間が跳ね上がったからだ。


駅には先について待っていた春がいる

「大丈夫?秋、痩せたね…食べてる?」

今朝、コーヒーを飲み干したから大丈夫。

私は、言わなければならない。

「産まないから、大丈夫。安心して」

お願いだから、産んでと言って…責任とるからと言って……愛してると言って

いくら心が叫んでいても私は別の言葉を紡ぐ

「それに、もう関係のないことでしょう?」

何故か泣きそうな顔をしている春は、私の手を握って言う

「秋の…支えになりたい」

違う違う…違うの。そんなあやふやな曖昧な言葉で私の心を溶かさないで…。

ずっと前から壊れそうな心は、彼を見た時から折れかけていて、生かすも殺すも春次第だった。

彼の手を振りほどいて言う

「貴方は、私の手をあの時取らなかった…少し考えさせて」

そう言い残して、私はその場を去った。


途中ですが、頑張ってあげていきます。


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