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私と影と、幻の翼。

作者: 朱雪藍

崖の上。

背中から、翼が生えて、

空を飛ぶ。

自由に、孤独に。


こんなこと、

空想にすぎない。


でも今私は

ここにいて、

暗ーい底を、

眺めてる。


夢だ夢だと

言い聞かせ、

それでもやっぱり

想いは強く。


一羽の影が、

助走をした。


私もつられて

走り出す。


一羽の影が、

翼を広げた。


私の背からも、

翼が生えた。


一羽の影が、

空へと、空へと、

飛んで行った。


けれどこの鳥は

まぼろしで、


私の翼も

まぼろしで。


ああ、

影が、

一羽の影が、

まぼろしが、


落ちていく。

落ちていく。

どこまで?

ドコマデモ。


暗ーい底には、

何も。

命のぬくもりも、

生きている証も。

なあーんにも、




ない。


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