やはりアイテムは有効利用しなければ!
肩の力を抜いてゆったり読んで下さい。
「えーーーーーーーーーー」
ハテナの声が草原に響き渡る。その声に反応し、「っ、うっせえよ」と舌打ち混じりにその言葉を吐き出すと、音無はポケットから携帯を取り出す。
そんな音無をよそに、ハテナは呆然とそこに立ち尽くした。
空白がその場を支配する。
そして、その空白を破ったのは、その空白を作り出した張本人である、音無だった。
「第一、お前が女神だという確証が持てない。そして、俺が勇者をやる義務も利点もねえよ」
その言葉を聞くと、ハテナは我に帰り、首をブルブルと振った。そして、
「あなたは唯一の、勇者の才能を持った人間なのですよ?人として、困っている人間を救ってあげようと思わないのですか⁉︎」
ハテナは半分発狂しながら、音無に語り掛ける。
しかし、その叫びも音無の心には届かず、音無は携帯をいじり、「くそっ、Wi-Fi飛んでねえし!」と、ぶつくさ文句を言っている。
「聞いてるんですか!」
ハテナは綺麗な碧眼をうるうると潤ませ、音無に抗議の視線を向ける。
「え…あぁ、聞いてなかった」
「聞いて下さいよ!」
音無は携帯をパーカーのポケットの中に突っ込むと、自分の手首についたブレスレットを触った。
「これなに?」
脈絡もない話の切り替えに呆れたハテナは、ため息混じりに説明を開始する。
「それはですね、最新式グロフィッカーといって、音声認識式の、まあ今持っているアイテムや自分のステータスなどを簡単に見ることのできる装置です。
試しにブートと唱えて見て下さい」
その説明を聞き終えた音無は、グロフィッカーに目を落とし、
「ブート」
瞬間、自分の視界内に画面が広がる。
「無事起動できたんですね」
ハテナはそう言うと、先程の続きなのかペラペラと説明を開始する。
「その画面の左に映っているのがあなたのステータスです。右にあるのはメニュー欄。上からアイテム欄、地図、連絡用ツールの順でとりあえず配置してあるはずです…って聞いてます?」
得意げに説明するハテナをよそに、音無は画面をいじり始める。
「ちょっと、聞いて下さいってば!」
ハテナはプンスカ怒りながら、音無の近くで騒ぎ立てている。
それを今まで無視していた音無は、急に口を開いた。
「なあ、これ何?」
音無はアイテム画面に表示されていたアイテムをタップすると、それが現実に現れる。
青色の結晶が集まり、少しずつ形を成していく。
それは、銀色をした首輪。
ハテナは「なんですかこのデジャブ…」と呟くと、また説明を始める。
「それは勇者の才能がある者だけが使うことのできる契約の首輪。自分よりレベルの低いモンスターに首輪を着けることで、そのモンスターと契約し、ある程度の命令をすることができるようになります」
「解除方法とかあんの?」
「一応あるにはあります。契約した側が自分から切ることができるものと、鍵になる言葉を決めて、契約させられたものがその言葉を言うこと…ですが、モンスターは基本喋れませんので、主には自分から契約を切ることですかね」
ハテナがそう一通り説明を終えると、音無は目を閉じて考え込む。そして、ハテナの方をジッと見つめる。
「どうかしたんですか?」
ハテナは頭の上にハテナマークを浮かべていると、音無は何か閃いたように手を叩き、ハテナに向かい、こっちこっちと手招きをする。
「?」
ハテナは手招きされるがままに音無に近づく。
そんなハテナに、音無は満面の笑みを浮かべると、
ガチャ
ハテナの首に、銀色に輝く首輪を着けたのだった。
読んでいただき、ありがとうございました。これからも頑張っていきます!
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