始まりの夜
ずっと前に書いてたやつです、読んでいただけたら幸いです
ある夏の日の夜、僕は間抜けなことにも階段につまづいて転落し、頭を強打し、死んだ....はずだった。
気がつくと、僕は同じ場所で夏の珍しく晴れた夜空を仰いでいた。僕は本当に死んだのか、死んでないのか、そんな事を考えていた時、夜空が黒い何かに遮られた。
「やっほー、おはようじゃなくてこんばんは〜!」
な、何だ⁈一体何が起きてるんだ?
「どなたでしょうか?」
すると、正体不明の黒い何が高らかとこう言った。
「通りすがりの吸血鬼だ!よく覚えとけ!」
「吸血鬼?あの〜頭大丈夫ですか?」
すると、自称吸血鬼はそんなに気に食わなかったのか、物凄く不機嫌そうな顔をしていた。
「だ〜ったらみしてやんよ〜!俺が紛れもない吸血鬼だってことを!!」
「あ〜はいはいそうですか。」
そんな事を言われても困るんだけど?そもそも、僕は死んだのか?それとも、運良く死ななかったのか?いや、まさか…ね。
そんな事を考えていると、その吸血鬼は月夜の空に浮かんでいた。
「え、ええええええええええ!!!!」
「どーよ!参ったか!」
いや、参ったかって言われても困るんだけどな〜。
「と言うより、君の言っている事が本当なら、僕は吸血鬼になったってことだよね?」
すると吸血鬼は待ってましたとばかりに手を叩いた。
「その言葉を待っていた〜!!!!」
そして、吸血鬼は一呼吸置いてこう言った。「お前の能力は…」
「お前の能力は…。」
「能力は…?」
「まだ、特に無いかな〜!(爆笑)」
「ええええええええええ!!!ないの?」
「ないよ」
「な、なんで?」
すると、吸血鬼はやれやれと言った顔をした。
「お前なぁ、吸血鬼になったからっていきなり超人になれると思ってんのか?」
「え?そうなの?」
吸血鬼は呆れ返ってしまったようで、深々とため息をついた。
「あのな、俺も修行したからこんなだけど、吸血鬼だって最初は能力ないんだぜ?ましてやお前は人間から吸血鬼に成り上がったんだから、生き返っただけ感謝しろよな?」
「それより、何で僕は生き返ったの?」
「それはな〜」
「それはな〜、俺がお前の血を吸ったから〜!」
「いや、それは分かってるけど、何で僕の血なんか吸ったのさ?」
すると、吸血鬼はあ〜それはな〜と手を目の前で合わせてこう言った。
「俺さぁ〜いわゆる知事みたいなもんなのよね?ほら、魔界から地方に派遣されたっていうさ、それで夜の巡回してたらちょうどお前が頭から血〜流してぶっ倒れてたからさ、もったいねぇな〜って訳で、」
「それで、何で倒れてると血を吸うんだ?」
「いやぁ、人間の血なんて滅多に吸えるもんじゃないからさ〜、な?わかるだろ?そーゆー気持ち、な?」
そんな事を言われても僕は吸血鬼じゃないから、あれ?今は吸血鬼なんだっけ?そんな事を考えていると、吸血鬼は、何かを取り出した。
「な、何それ?」
「ん?これはな〜、要するに、吸血鬼の正装と言うか、吸血鬼が着る服かな〜」
何と無く、この先に起こることが予測できてしまうのは何でだろう?