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『12月23日』
この作品は、フィクションです。 作中に登場する人物等の固有名詞は、現実世界のものとは関 係を一切持ちません。
また、複数の某ゲームに似た作品になったと後々思いました が、パクリは一切ありません。
『12月23日』
人の都合などお構いなし、暫しも待つことなしに、歳月は過ぎ去っていく。
主のいない部屋も何一つ変わるものはなかった。
昼間に開けられたままの窓は冷たい風を迎い入れ、机とベッド、本棚にクロゼットと、一層に温みをなくし――。
机の上に広げられた大学ノートは、ぱらぱらと音をたて、撒くられては所狭しと角のとれた字と角張った字が交互に誌面を転がった。
部屋の四方の白い壁は、何よりもの勲章とするかのように、一本のカレンダーを西日に晒しては、茜色に染める。
隙間の空いた戸は、きいきいと蝶番を小さく鳴かせて、廊下へ抜ける風を見送った。
そして、大学ノートに書かれていた日付『12月23日』も残光に照らされて――、間もなく影を潜めていった。