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Burst・Error ~鬼~  作者: みどー
エピローグ
16/16

しあわせな時間

 麗らかな日の陽射しが差し込む庭園で、子供たちは楽しそうに笑っている。

 ある子供は、他の子と冗談を言い合いながら笑い、また、ある子供は数人の子供たちと追いかけっこをしながら、楽しそうな笑顔をもらす。

 そして、また、ある子供は、独り本を読み耽っていたり、独り遊びをしていたりしている。

 だが、どの子も笑顔であることに違いはない。どの子も幸せそうにその時間を過ごしている。


 そんな彼らを微笑みながら眺める女性がいる。

 名は真藤怜奈。旧姓は一ノ宮。

 

 子供たちの中の一人の少年が彼女の存在に気づき、彼女に駆け寄ってくる。


「ねぇ、ママ!ママも一緒に遊ぼー!」

「え?私も?」

「うん!ママと一緒に遊びたい1」

「う~ん、そうねぇ。分かった、いいわよ。

 でも、ママだけじゃなくて、パパもお仲間に入れてもらえるかな?」

「え?パパも?でも、パパはお家の中だよ?」

「ママが呼んでくるから。ね?いいでしょ?」

「う~ん、どうしようかなー。

 ねー!パパも混じってもだいじょーぶかなー?」


 少年は振り返り、他の子供たちに大声で呼びかけ、問いかけた。


「いいんじゃない!」

「いいよー。」

「わー!パパも一緒なの?私も混じるー!」

「みんなで遊ぼー!」


 少年の問いかけに、次々と了承の声が返ってくる。


「だってさ。」


 少年は怜奈に向き直り、笑顔で答えた。


「ありがとう。それじゃあ、パパを呼んでくるから、それまで、みんなで遊んでおいてね。」

「うん!」


 少年は駆け出し、子供たちの輪の中に戻っていった。

 怜奈はそれを見届けると、大きな屋敷の中へと入っていく。







「あなたー!子供たちが呼んでるわよー!

 一緒に遊ぼうですって。」

「ああ、分かっているよ。聞こえてたから。

 準備して出るから、待っててくれー。」


 僕は怜奈の呼びかけに応じて、手探りで、杖とサングラスを見つけだした後、椅子から立ち上がり、庭の方へとゆっくりと向かった。


 庭に出ると、屋敷の中でも聞こえていた子供たちの声がハッキリと聞こえてきた。

 子供たちの楽しそうな笑い声が聞こえてくる。

 この声は本当に楽しくて、嬉しくて、幸せな時の声だ。

 声だけで、子供たちが幸せな時間を過ごしているのだと、僕には分かる。

 そう―――僕はまだ幸せな方だ。子供たちのこんな幸せそうな声を聞くことができるのだから。

 僕は自信の力を引き渡した事で、光を失った。その代わりに、大切な存在たちを取り戻すことが出来た。

 だから、決して自分の事を不幸だと思ったことはない。

 だって、こんな幸せそうな声で笑う子供たちに囲まれて過ごしているのだから。

 それに、あの施設で子供たち一人一人の顔を見て、脳裏に焼き付けている。だから、誰がどの子かもすぐに分かる。



 ただ―――それでも、子供たちの笑い声を聞くと思うことがある。

 もし眼が見えていたなら、あの子供たちの笑顔を見ることができるのに―――と。

 その笑顔を見ることができないのが、心残りだ。



「パパだー!そんな所でぼーっとしてないで、早くおいでよー!」


 子供たちの一人が僕に気づき、大声で呼びかけくる。


「ああ!分かっているよ。今すぐ行くよ。」


 僕もそれに応じて、大声で返事をした。



 それでも、今はそんなことはどうでもいい。

 子供たちが幸せで笑っていられるなら、それで僕も幸せなのだから。

 だから、この幸せの時間を取り戻すことができた自分の行いを決して間違いだと思わない。僕たちは色々な過ちを犯してきたかもしれないけれど、これだけは正しいと胸を張れる。


 そうだろ―――?怜奈―――。





 僕は子供たちの声が聞こえてくる方へとゆっくりと歩き出す。

 今、『しあわせ』なこの時間を噛みしめながら。



 Burst・Error ~鬼~   完

ここまで読んで頂きありがとうございました!

遂に完結しました!

いかがでしたでしょうか?


本作は現在連載中の「旋風と衝撃の狭間で」のプロトタイプストーリーに加筆修正を加えたものです。

それにより、「旋風と衝撃の狭間で」とはまったくの別のストーリーとなりました。

それでも、本作と「旋風と衝撃の狭間で」は密接に関係していたりします。

それはそのうち「旋風と衝撃の狭間で」の方で語っていきたいと思います。

ですので、「旋風と衝撃の狭間で」の方もどうかよろしくお願いします!


感想、評価など頂ければ、大変嬉しく思います。よろしくお願いします。


最後に、ここまで読んで頂けた読者の皆様、本当にありがとうございました!

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