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煉獄の声
熱い。熱い。熱い。
体が焼けるようだ。
ここはどこだろう?
どうしてここにいるのか。
どうして、こんなにイタイのか。
わからない。
『わが子よ。よく聞きなさい。』
誰かいる。すぐ側に誰かいる。苦しがってる。とても辛そうだ。
『わが子よ。強く生きなさい。』
え?何?よく聞こえない。
『他人に優しく、自分に厳しく生きなさい。』
待って。よく聞こえないよ。
『困っている人を見かけたら助けてあげなさい。』
うん。分かった。だから、そんな悲しそうな顔しないで。
『そして、もし大切な人ができたなら、その人を命を懸けて守りなさい。例え、それが人の道から外れるとしても。』
うん。うん。分かったから、もう泣かないで。
『あなたはこの世界のすべて。あなたが守りたいと願うなら、それがどんな人でも許される。だって、あなたは……』
な~に?どうしたの?よく聞こえないよ。
『わが子よ。強く生きなさい。』
どうしたのだろう?
もう、苦しくないのかな?
もう、悲しくないのかな?
その人はとても穏やかな顔をして眠っている。