FILE7:訪れ
「何で? どうして? Why? 」
トーナメント受付ではこんな声が飛び交っていた。
もちろん俺のメンバーでも特にやる気のあった人たちはその罵声に混じって暴れださんと腕まくり。
この二人は仲良くやっていけるんじゃないか?
オーラが似ている気がする。
その腕まくりをしているながやんとメロンちゃんの頭越しに見える電光板にはこう書かれていた。
諸事情によりトーナメントは中止します。
それだけ。
俺はいまだにこの諸事情という意味をうまく捉えることが出来ないんだが。
「アツシぃ〜何て書いてあるの? 」
背の低い俺の妹はなぜかえへらっとした笑みを浮かべている。
トーナメント中止だとよ。
「ふぅん……へ? 中止? なんで? 」
こっちが聞きたいくらいだ。
そんな騒ぎの中突如周りの空気が変わった。…様な気がした。
ふと空を見上げた俺の視界に何か黒い物が写った。
何だ?
黒い……鳥?
何処かで聞いたような。
「あ,アツシぃなんか発表あるみたいだよ」
妹が腕を引っ張ったので俺は現実に意識を戻した。
どうやら代表者による諸事情とやらの説明があるらしい。
「どこのどんなどいつがトーナメントを潰したって言うの? さぁ出てきなさい! 」
既に興奮状態のメロンちゃん。
なんか人格変わってませんかぁ?
「トーナメント中止の件についてご報告します。率直に言うと禁止地区のフィンブルの森の中枢サーバが何者かによって侵入されました」
フィンブルの森? 確か一般プレイヤーは入れないんじゃなかったか?
「原因は現在調査中ですが,その間イベントはサーバがダウンしてしまっているために行えません。報告は以上です」
なるほどね。
なんとなくだが言いたいことはわかった。
けど,いったいどんな奴が?
「アツシ! ついに来たな俺の,いや俺たちの時代が! 」
いきなり顔を近づけてきたながやんは何故か意気揚々と,輝いた目で俺を見てきた。
なんだ俺たちの時代って。
「鈍いなぁ。そんなんだから彼女の一人や二人や三人出来ないんだっ。俺たちでそいつ見つけてサクっと仕留めちゃおうぜ」
彼女の一人や二人や三人出来なくて悪かったな。
というかそんなにいたら浮気だ。ついでにお前も人の事いえないだろうが。
そんでもって仕留めるって,誰かも分からないのにか?
「燃えるわね! ながやん! 」
そして何賛同してるんだ,メロンちゃん。
この二人は何なんだ?
そしてながやんというセリフがどうも滑稽だ。
ところで,さっき見た黒い鳥のような影。
確か俺たちが助けられた魔道士のようなジョブの人が言ってた。
俺たちが大蛇と戦ったエリアで,このエリアで黒い鳥を見なかったかって。
なんとなく理解できた気がする。
きっと黒幕はその黒い鳥でその人はきっとなんかのシステム管理者みたいな人でウイルスとなるその鳥を追っていた。
とか。
そんな推理を一人で勝手に進めていると誰かに肩を叩かれた。
不意だったので何か変な声を発したと思うが。
その人物を見たときにまた同じような声を出してしまったかもしれない。
「こんにちは。大蛇戦以来ですね」
目の前にその人がいるのだから。




