FILE6:猫
防具屋の前にいる俺とながやん。
そして目の前にいる二人の女性キャラ。
猫耳娘と導師がいて,そのうちの猫耳娘のほうは特に見覚えがある。
「お前がここにいるのは分かってたけどさ,なんでそんな格好なわけ? そういう隠れ趣味か? 」
猫耳娘は俺が幻覚でも見ていない限り,俺の妹だ。
それで横にいるのは確かお友達のようちゃんだっけ?
「こんにちは〜あいちゃんのお兄さん! あ,私ここではメロンちゃんなのでよろしくぅ! 」
相変わらずテンポのいい子だな。
で,そのメロンちゃんはいいとして。
「ぅう〜なんでこういうタイミングで敦が出てくるのよ……人生の汚点」
こういうタイミングって。
俺のほうが焦るわ。
いきなり目の前にいる妹が猫耳。
一部のコアなファンなら飛びつくような容姿だが,あいにく俺には猫耳属性は無い。
「なかなかお似合いじゃん! アツシの妹さんっ! ん〜まぁ,意外な組み合わせではあるけど」
確かに俺の妹がこんな姿でいるとは思わなかった。
「私は好んでこんな姿でいるわけではなくて,キャラエディットの時に勝手にこうなってて……不可抗力の依存型の低迷を……」
意味分からん。
少し前までは俺の後ろをちょこまかと付いて来た妹がなんだか遠くなってしまったような。
「とにかくっ!! 好んでやったんじゃないの! ん〜もうっ! 」
頬を膨らませていじけている妹。
「アイちゃんはこんなんでもお兄ちゃんの事いつも考えてるから困るよねぇ。なぁんてねっ」
そしてメロンちゃんの追撃。
いつも考えてるって……どうやって朝起こそうか考えてるだけとかだったりしないだろうな。
「あ! そだそだお二人さんさぁ良かったら俺たちとトーナメント出ない? 人数的にも戦闘役3人,回復1人でぴったりだしさぁ! それに回復役が女の子と来た! これは実にいいぞ! 」
ながやんが俺の肩越しに提案しだした。
しかも顔が近い。離れろ。
大体,こんなひ弱そうな二人がトーナメントになんか出るわけ……
「本当にっ!? 私たちもちょうどメンバー探してたんだぁ! しかもアイちゃんのお兄さんと,そのお友達なら頼りになれそうだし。よし決定! いいわよね? アイちゃん? うん。決定! 」
まだ何も答えてない妹,そして俺を置いて勝手に二人で商談を済ませてしまったながやんとメロンちゃんだったが,確かに人数的にはぴったりだ。
しっかし初対面でここまで息が合うこの二人は何者だ。新手のグルか?
「じゃあ私たちはアイ兄のメンバーに入れば良いわよね。私たちまだチームとしては組んでないから。えっと……握手だよね。んじゃよろしくっ! 」
なんか流れるように決まったこのメンバー。
妹も投げやり気味になっていたが,知らない人と組むよりは気が楽かもしれない。
女性陣二人の腕にもサンセットの腕輪が装着されメンバーがそろった。
「アイちゃんのお兄さんはHNアツシなんだ。兄弟そろって本名をカタカナ表示にするだけなんて仲いいなぁ。羨ましいぞっ」
こういうときだけ俺はやたらと妹と気が合うのだ。
朝の洗面所の時間や風呂のタイミングなど。
「えぇ? アイちゃんもメロンちゃんもレベル24!? 俺たちと一緒って……相当レベル上げしてるんだねぇ」
ながやんが驚いていたが俺はその言葉を一瞬疑った。
この二人も俺たちと同レベル?
どれだけやってんだよお前らは。
「メロンちゃんがすっごい張り切っちゃって,私は付いて行って出てきた敵をぽかぽか殴ってたら勝手に……」
俺は猫耳の妹が敵を殴っている姿がなんとも滑稽に思えるのだが,とりあえず即戦力にはなりそうだ。
「だって私はトーナメント優勝バリバリ目指してるんだからっさ! あ,アイちゃんのお兄ちゃんもせっかくHNあるんだし,アツシって呼んじゃって良いかな? お友達はながやん。やっぱ上下関係は気にしたほうがよろしいでしょうか? 」
メロンちゃんは現実でもこんな性格だ。
別に良いよアツシで。
「了解了解っ! よぉし,じゃあアツシ率いるサンセット,トーナメント優勝に向けて前進開始っ! 」
偶然なのか運命なのかは神にでも聞かなきゃ分からないが,俺とながやんそしてメロンちゃんに俺の妹ことアイを加えたサンセットはトーナメントの受付をしにエルポアの中央広場に向かうことにした。




