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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

ショートショート

TAKUMIの1分クッキング

掲載日:2026/05/11


 都内の中心部にある有名なスクランブル交差点。そこに建つビルの壁一面には巨大なディスプレイがあり、日々様々な広告が映し出されている。


 ある春の日のこと。そこに、とある料理サイトの広告が打ち出された。


 それは今流行りのヴァーチャルアバターの男性が料理をするという内容だった。

 甘いマスクに輝く笑顔。心地よい声で紡ぎ出される解説は大変わかりやすく、確かな技術で裏打ちされた鮮烈なパフォーマンスが女性達を魅了する。

 彼は瞬く間に人気となり、スクランブル交差点には、広告を一目見ようとする女性達が殺到した。

 そして、そんな女性達にモテようと料理を趣味にする男性が急増。自らの腕前を武器に出会いを求め、交差点には益々人が集まった。




「夏ど真ん中! 今日は、夏バテに効くガツンとした簡単な肉料理を紹介します」


 あまりの人気に、新作広告が次々と打ち出され、気づけば4ヶ月もの間ディスプレイをジャックし続けていた。


「まず、熱々の鉄板を用意しましょう。暑ければ暑いほどいいですね」


 新作公開のこの日は休日とあって、車道にもたくさんの車が行き交い、いつもより多くの人々が交差点へと詰めかけた。歩道という歩道にみっちりと人が詰まっている。


「次にこちらの新鮮なお肉を、粗挽きにしていきます」


 押し出された人々が車道に溢れ出す。

 歩行者信号は赤。


「しっかりと焼き色が付くまで焼いてくださいね」


 炎天下の屋外、よく磨かれたアスファルトは灼熱だ。


「軽くスパイスを振ったら、鉄板からワイルドにいただきましょう」




 この日のスクランブル交差点は、特に騒がしかった。


 これが、ヴァーチャル料理研究家TAKUMI最後の動画である。

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