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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。

【BL】名前すら、正しく覚えられていなかった。それでも僕は、貴方を師と呼び、ヴィヴィと焦がれる

作者: 宮田朋枝
掲載日:2026/01/23



評価有難うございます。段階的にはR18になりそうなので、その時はムーンライトノベルズ?ノベル?にでも登録して投稿します。


続きをAIに読ませたら、サイコ・ホラーと言われましたし。解せぬ。




 眼鏡のレンズがキラリと光る。


 長い睫毛、憂いを帯びたせいかいしょくの瞳。


 僕の師匠、僕の憧れ、今すぐ貴方を手に入れたい――。



 国立魔法学園、そこで講師をしている天才魔術師がいる。


 未来の若者のためにと国に請われ、きょうべんを執る彼だが、本意ではないらしく、いつも淡々と授業をこなしている。


 彼の名前は、ヴィンセント・ヴァレンティア――。


 長い銀髪を後ろにひとくくり。見目を気にしない彼は、それでも僕の目に映る姿は、あでやかだ――。


「ヴィンセント先生」


「ん、ああ、君か。たしか⋯⋯シリウスだったかな?――なにか質問か?」


「はい、今日学んだこの部分なのですが、ここの術式をもう少し突き詰めたくて⋯⋯」


 僕は、書き留めたものを見せ、指を差して先生――師匠に見せるように寄り添う。


 『僕』なんて、言ってるが十分大人の身体つき。

 銀髪の君よりも背も高い。僕は、見下ろすように、師匠を見る。


「ああ、それなら――」覗き込むように師匠が軽く俯く。


 後ろに無造作に一括りした髪から数本、束になってサラリと肩に落ちる。


 その瞬間――、


 フワリと爽やかだが甘い香りが微かにかおる。


(ああ⋯⋯、ヴィヴィの香りだ⋯⋯)


 彼から放たれる香りに、どうしようもなく、ある一点が刺激される。


 たまらない、触れたい。


 熱くなる息遣いをこらえ、僕は、聞き分けの良い優等生の仮面を被る。


 ふと、上目遣いで、冷たくも見える青灰色の瞳が僕を見た。


「ど⋯⋯、しましたか?」


 動揺が声に出る。――大丈夫。バレてはいない筈だ。


 下腹部が、緊張で急速に萎える。


 上目遣いの目線が、今度は顔ごと僕に向く。緩く顔にかかる銀髪が、サラリと肌を撫でていく。


「いや、毎日色々と質問してくるが――その、熱心だな、と思ってな」


(⋯⋯あ、この距離、あと少し首を傾げばキスできそう⋯⋯)


 つい、湧き上がる不埒な考えを、追いやる。


「あ、せ、先生の授業は、面白くて、とても興味深いので⋯⋯」


 しどろもどろに答えてしまった。


 そんな僕の答えを聞いたのか、ふっ、と師匠の口角が上がる。

 

「そうか⋯⋯?ふふ、そんな事言ってくれるのは、君ぐらいと思うが。私の講義は退屈で、決まった生徒何人かは、毎度居眠りをしている。まあ、私も起こそうという気は、特に無いが」


(⋯⋯ッ!⋯⋯ヴィヴィが笑った⋯⋯!僕の言葉で⋯⋯!可愛い⋯⋯!)


 歓喜に胸が震える。


「――質問は、以上か?」


「は、はい⋯⋯!ありがとうございます!」


 師匠が教室から出ていく。僕はその姿が見えなくなるまで、瞬きもせず、見送った。


 一人になった教室――。誰もいない。


「ああ⋯⋯ヴィヴィ⋯⋯!ヴィヴィ⋯⋯!なんて可愛い⋯⋯!いつか貴方の名前を呼べたらどんなに良いか。唇を許してくれたら⋯⋯どんなに⋯⋯。ああ、僕は召されそうだよ⋯⋯!」


 ヴィヴィ、ヴィヴィ⋯⋯!

 僕の師匠、僕の愛しい人⋯⋯!



 再び穏やかな優等生の仮面を被ると、僕は教室を出た。


 今日の授業は、師匠の授業で最後だったから、もう校舎に残っている生徒もまばらだ。


 僕は廊下を歩く。お決まりは師匠がいる部屋。特別に招かれている講師だからと、資料部屋として個室が充てがわれている。


 その部屋の前の廊下で、歩調を緩めて通り過ぎ、寮へと戻るのが僕の日課なのだ。


 もし、出くわした場合は、『質問がまだありました!』と、個室へと入る機会を得られる!


 ⋯⋯まだ、そのチャンスは得られてはいないけど。


 

 師匠の部屋の前には、まだたどり着かない。あの角を曲がって真っ直ぐ、それからまた角を⋯⋯



 遠く、見慣れた銀髪が見えた。


(――えっ!?)


 見間違うはずがない。さっきも食い入るように見届けた。


 僕の歩調が早まる。後ろ姿を逃してはならない!


 あの髪、あの背格好、間違いない――!


「ヴィ⋯⋯ン」「ヴィヴィ!」


(――え?)


 僕のずいぶん前を歩いていた背の高い男が、小走りで師匠に追いつく。


「ヴィヴィ!!おい、ヴィヴィ聞いてんのか!」


「聞こえてる。うるさい、なんだ貴様は。何しにここに来た」


 師匠は、立ち止まると、目指す道だけを見て男を見ない。


 もう⋯⋯すぐそこは、先生の、部屋だからだ。


(だれ⋯⋯?ヴィヴィと話してる⋯⋯?なんでヴィヴィって⋯⋯)


 遠くで愛しい人に近づいて馴れ馴れしく喋る、アイツは誰だ?


「いや、何度も呼んでるのに無視して行くからさ」


「私は、用がないからな」


 立ち止まって、やりとりしている。僕はどんどん後ろ姿の彼らに近づいていく。


 僕は指先を耳のそばへと近付けると術式を描く。強化魔法。


 二人の声が鮮やかに聞こえだす。


「ひで!なぁ、お前の部屋寄って良いだろ?」


「良くない」男を置いて、去ろうとする師匠。


「なあ、頼むよ。俺とお前の仲だろ?」


 そういうと、男は、師匠の腰をぐいと、掴むと自分に抱き寄せ、僕の師匠のあのさらりとした銀髪を、空いた手でかき上げると、耳元で―――


「ヴィヴィ?」と、囁いた。


 吐息まで聞こえるようなゾクリとする声。


「⋯⋯少しだけだぞ」観念したように師匠は、ため息を吐く。


 扉の取っ手に先生は手をかけた。


(やめて、やめて!ヴィヴィ!開けないで⋯⋯!)



「ん、わりぃな」



 悪びれる素振りもなく男はそう言うと、二人は扉の奥へと消えていった――。




続編は18禁なのでムーンライトへと投稿開始しました

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