【BL】名前すら、正しく覚えられていなかった。それでも僕は、貴方を師と呼び、ヴィヴィと焦がれる
評価有難うございます。段階的にはR18になりそうなので、その時はムーンライトノベルズ?ノベル?にでも登録して投稿します。
続きをAIに読ませたら、サイコ・ホラーと言われましたし。解せぬ。
眼鏡のレンズがキラリと光る。
長い睫毛、憂いを帯びた青灰色の瞳。
僕の師匠、僕の憧れ、今すぐ貴方を手に入れたい――。
国立魔法学園、そこで講師をしている天才魔術師がいる。
未来の若者のためにと国に請われ、教鞭を執る彼だが、本意ではないらしく、いつも淡々と授業をこなしている。
彼の名前は、ヴィンセント・ヴァレンティア――。
長い銀髪を後ろに一括り。見目を気にしない彼は、それでも僕の目に映る姿は、艶やかだ――。
「ヴィンセント先生」
「ん、ああ、君か。たしか⋯⋯シリウスだったかな?――なにか質問か?」
「はい、今日学んだこの部分なのですが、ここの術式をもう少し突き詰めたくて⋯⋯」
僕は、書き留めたものを見せ、指を差して先生――師匠に見せるように寄り添う。
『僕』なんて、言ってるが十分大人の身体つき。
銀髪の君よりも背も高い。僕は、見下ろすように、師匠を見る。
「ああ、それなら――」覗き込むように師匠が軽く俯く。
後ろに無造作に一括りした髪から数本、束になってサラリと肩に落ちる。
その瞬間――、
フワリと爽やかだが甘い香りが微かに芳る。
(ああ⋯⋯、ヴィヴィの香りだ⋯⋯)
彼から放たれる香りに、どうしようもなく、ある一点が刺激される。
たまらない、触れたい。
熱くなる息遣いを堪え、僕は、聞き分けの良い優等生の仮面を被る。
ふと、上目遣いで、冷たくも見える青灰色の瞳が僕を見た。
「ど⋯⋯、しましたか?」
動揺が声に出る。――大丈夫。バレてはいない筈だ。
下腹部が、緊張で急速に萎える。
上目遣いの目線が、今度は顔ごと僕に向く。緩く顔にかかる銀髪が、サラリと肌を撫でていく。
「いや、毎日色々と質問してくるが――その、熱心だな、と思ってな」
(⋯⋯あ、この距離、あと少し首を傾げばキスできそう⋯⋯)
つい、湧き上がる不埒な考えを、追いやる。
「あ、せ、先生の授業は、面白くて、とても興味深いので⋯⋯」
しどろもどろに答えてしまった。
そんな僕の答えを聞いたのか、ふっ、と師匠の口角が上がる。
「そうか⋯⋯?ふふ、そんな事言ってくれるのは、君ぐらいと思うが。私の講義は退屈で、決まった生徒何人かは、毎度居眠りをしている。まあ、私も起こそうという気は、特に無いが」
(⋯⋯ッ!⋯⋯ヴィヴィが笑った⋯⋯!僕の言葉で⋯⋯!可愛い⋯⋯!)
歓喜に胸が震える。
「――質問は、以上か?」
「は、はい⋯⋯!ありがとうございます!」
師匠が教室から出ていく。僕はその姿が見えなくなるまで、瞬きもせず、見送った。
一人になった教室――。誰もいない。
「ああ⋯⋯ヴィヴィ⋯⋯!ヴィヴィ⋯⋯!なんて可愛い⋯⋯!いつか貴方の名前を呼べたらどんなに良いか。唇を許してくれたら⋯⋯どんなに⋯⋯。ああ、僕は召されそうだよ⋯⋯!」
ヴィヴィ、ヴィヴィ⋯⋯!
僕の師匠、僕の愛しい人⋯⋯!
再び穏やかな優等生の仮面を被ると、僕は教室を出た。
今日の授業は、師匠の授業で最後だったから、もう校舎に残っている生徒もまばらだ。
僕は廊下を歩く。お決まりは師匠がいる部屋。特別に招かれている講師だからと、資料部屋として個室が充てがわれている。
その部屋の前の廊下で、歩調を緩めて通り過ぎ、寮へと戻るのが僕の日課なのだ。
もし、出くわした場合は、『質問がまだありました!』と、個室へと入る機会を得られる!
⋯⋯まだ、そのチャンスは得られてはいないけど。
師匠の部屋の前には、まだたどり着かない。あの角を曲がって真っ直ぐ、それからまた角を⋯⋯
遠く、見慣れた銀髪が見えた。
(――えっ!?)
見間違うはずがない。さっきも食い入るように見届けた。
僕の歩調が早まる。後ろ姿を逃してはならない!
あの髪、あの背格好、間違いない――!
「ヴィ⋯⋯ン」「ヴィヴィ!」
(――え?)
僕のずいぶん前を歩いていた背の高い男が、小走りで師匠に追いつく。
「ヴィヴィ!!おい、ヴィヴィ聞いてんのか!」
「聞こえてる。うるさい、なんだ貴様は。何しにここに来た」
師匠は、立ち止まると、目指す道だけを見て男を見ない。
もう⋯⋯すぐそこは、先生の、部屋だからだ。
(だれ⋯⋯?ヴィヴィと話してる⋯⋯?なんでヴィヴィって⋯⋯)
遠くで愛しい人に近づいて馴れ馴れしく喋る、アイツは誰だ?
「いや、何度も呼んでるのに無視して行くからさ」
「私は、用がないからな」
立ち止まって、やりとりしている。僕はどんどん後ろ姿の彼らに近づいていく。
僕は指先を耳のそばへと近付けると術式を描く。強化魔法。
二人の声が鮮やかに聞こえだす。
「ひで!なぁ、お前の部屋寄って良いだろ?」
「良くない」男を置いて、去ろうとする師匠。
「なあ、頼むよ。俺とお前の仲だろ?」
そういうと、男は、師匠の腰をぐいと、掴むと自分に抱き寄せ、僕の師匠のあのさらりとした銀髪を、空いた手でかき上げると、耳元で―――
「ヴィヴィ?」と、囁いた。
吐息まで聞こえるようなゾクリとする声。
「⋯⋯少しだけだぞ」観念したように師匠は、ため息を吐く。
扉の取っ手に先生は手をかけた。
(やめて、やめて!ヴィヴィ!開けないで⋯⋯!)
「ん、わりぃな」
悪びれる素振りもなく男はそう言うと、二人は扉の奥へと消えていった――。
続編は18禁なのでムーンライトへと投稿開始しました




