りーいん・かーねーしょん?夫を追いかけて前世からやってきました!愛してるんですもの♡
カミラの視点。振り向いて貰えないのはつらいむ。
あなたは私の光だったのよ。
幼い頃から私はダイアナと共に育った。従姉妹。年も近く容姿も似ているとよく言われた。でも誰よりも違う存在だった。昔から明るく闊達で誰にでも笑いかけて、すべてを追い風に変える人。私はただその背を見つめていた。
あなたに焦がれて焦がれて会いたくて私は生まれてきたの。
馬車に撥ねられそうになった彼女が突然わけのわからないことを叫んだ日。「俺、前世、男だった!?」その瞬間、私は確信した。
“ああ、この人は思い出したのね”
私の前世の夫。三番目の妻だった私はずっと彼の背を追っていた。彼が笑うたびに私の心は揺れ、彼が誰かに微笑むたびに胸が締めつけられた。彼は自由を愛した。女を渡り歩き、気ままに旅を続け、最後は誰にも看取られずに死んだ。でも私はそれでも愛していた。愛してしまっていたのだ。
そして転生した。従姉妹という立場で彼のそばに生まれた。名前も違う。性も違う。けれど魂の匂いは間違えようもなかった。
チャールズ――今の彼女の中にあの人がいる。
彼女は次第に私を避け始めた。昔のようには笑わなくなり、時折私に対して“恐れ”すら向けるようになった。
私は何もしていない。ただ、そばにいたかった。ただ、また同じように背中を見ていたかった。
「気味が悪い」「執着しないで」そう言われた時、私は初めて、自分が彼女にとって“呪い”であると知った。
でも私はどうしても手放せなかった。だって、忘れられるくらいなら、嫌われる方がいい。
彼女は都に出ていき、私は取り残された。そのうち彼女は騎士団の男と結婚した。幸せそうだった。私では届かなかった場所に彼女はいた。
それでも私は彼女を見ていた。遠くから、近くから、時に仮面を被って。結婚式の日、私は礼拝堂の柱の陰から彼女を見た。ヴェールの下の微笑みは私の記憶のどの顔よりも美しかった。
悔しかった。羨ましかった。けれど何よりも――嬉しかった。
彼女が笑っている。それが私のすべてだった。
私は結婚しなかった。できなかった。誰といても彼女の声が、表情が、脳裏から消えなかったから。
人は私を「行かず後家」と笑った。けれど私にとって、それはただの選択だった。他の誰かと生きるくらいなら一人でいい。誰にも心を渡さなかったわけじゃない。ただ渡す気になれなかっただけ。
「また手紙が届いている」
そう言って彼女は眉をしかめる。封の裏には私の名前はない。ただひとこと。
《私はここにいるわ。今もずっと》
誰よりも近くて、誰よりも遠い。私の愛はもはや呪いと呼ばれても仕方ないのだろう。それでも私は祈っている。次に生まれる世界でも、またあの人の傍にいられるように。
あなたの瞳に私が映らなくてもいい。ただ――ただもう一度だけ、声を聞きたい。
「おかえり、って言ってくれた日が、忘れられないのよ。チャールズ……」
一応、男女の恋愛枠のつもりです〜。