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振り返るとあなたが居た

作者: しろかえで

今日は季節外れです(^^;)




 中二の頃、初めて男の子を目で追ったけど……

 初恋は実らなかった。


 初めて男の子と付き合ったのは高二の6月


 校舎と校舎の間にある中庭に呼び出されて

「梅原さんの事が好きです!!」って

 いきなり言われた。


 ただのクラスメイト同士だと思っていた山下くんからの告白は……モワッ!とする雨上がりの草木のにおいと相まって私をクラクラさせた。

 そんな私の様子に物凄く動揺した山下くんは「ゴメン!! 今のはナシ!! ホンット!ゴメン!!」と前言撤回をしたのだが、そのオロオロした様子に私はしゃがみ込んだまま吹き出してしまって……何となくお付き合いが始まった。


 そんな山下くんとは苗字を呼び合う仲のままで終わった。

 もちろん()()()()()()()


 そうなってしまったのは……

 私が春樹に一目惚れしてしまったからで……

 結局、私は丸5年!!

 春樹にとっての“三番目の女”止まりだった。


 大学卒業と共にようやくこの腐れ縁を断ち切って……私は波風を“立てない”“立てさせられない”フラットな女になろうとした。

 だって、私はどうしようもないポンコツなのだから!!

『危うきには近寄らず』だ!

 もちろん“君子”なんて者じゃないけどね。


 そうやって同僚とは適度な距離を保ちつつ、合コンなどのイベント事は、卒なく切り抜けて早3年……「彩美って……どうやらカレシはいるらしいんだよね」ってイメージ作りに成功した。

 本当はドラマやアニメやマンガが“カレシ”なんだけどね!


 これらのストーリーを頭の中で組み合わせて、想像のカレシを創り上げた。


 そしてそのイメージを補完するのに持って来たのが山下くんとの思い出だった。


 でも実際の山下くんは……きっと素敵なカノジョさんが居て、ひょっとしたら結婚しているのかもしれない。

 あんな()()()を、周りの女子が放って置く訳ないもん!


 ハハ、『いい子』は無いよね!

 カレだってもう……『いい大人』なのだから。



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 今度、親会社から出向でやって来る新しい上司は、私と同じ入社年次にも拘わらず、親会社でも一番の出世頭との専らの噂だ。

『イケメンの独身で彼女も居ない!!』らしいので、同僚の女子達は色めき立っていたが……“まかり間違ってお見合いででも結婚できたら幸い”とのスタンスの私は

「私と同い年の人が上司になるのか……」との感慨しか持てなかった。


 けれど、さっき会社を出る前に聞いた『新しい上司は山下主任だよ』って言葉に胸がトクン!とした。


 これはきっと『もう山下くんを材料にして妄想するのは止めなさい!!』って啓示だ!

 そうだよね……

 ただでさえ私は……山下くんにあんなに失礼な事をしたのに!!

 何やってんだか!!

 第一!今は!!

 仕事中じゃん!

 まあ……上がったサンプルを得意先へ届けるって……

 お使いみたいなもんだけどさぁ……

 ああ、梅雨空から雨が落ちる。

 ジューンブライドとはまるきり無縁の……

 私の肩を濡らす。

 そして頬も……

 うん!これは涙じゃないから!!

 でもこれ以上降るとヤバいから

 公園を抜けてショートカットしよう!!



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 急ぎ足で会社に戻って

「やっぱり梅雨ねぇ~公園抜けて来たんだけど草木のにおいがモワッ!としてさ……」

 なんて、いつものノリで同僚に話していると……

 背中に人の気配がした。


「ひょっとして、梅原さん?!」


 その声にびっくりして振り返ったら……


 そこにはあなたが居た。





彩美さんはジューンブライドになれるかな?(#^.^#)



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