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色彩の大陸2~隠された策謀  作者: 谷島修一
軍法会議
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ムラブイェフの作戦

 大陸歴1658年5月3日・帝国首都アリーグラード


 私は弁護士パーベル・ムラブイェフとの面会でかなり長い時間話をした。

 途中、昼食も挟んで時間は午後となった。気温も上がり地下牢は徐々に蒸し暑くなってきた。


 私はズーデハーフェンシュタットで、ソローキンを排除する作戦を皇帝からの命令を受けたところから、首都での滞在や帝国と公国の国境での戦い、そして、再び首都へ戻り、新たな命令を受け出発し、偽の命令書でモルデンを掌握した後、共和国派と合流、最後に第五旅団の司令官ルツコイに投降し、皇帝に謁見したところまで、これまでの経緯を細かく話した。


 その話の後、何度もムラブイェフに質問を受けたので、この打ち合わせは、結局、夕方ごろまで掛かった。その間、ムラブイェフは私の話や、途中質問をし、その回答の内容を丁寧にメモを取っていた。

 ムラブイェフは、根気よく付き合ってくれる。


 ムラブイェフからの最後の質問があり、それに対する私の長い話が終わるとムラブイェフは言った。

「ありがとうございます。これまでの経緯はよくわかりました。今、話していただいた内容に基づいて、法廷でどう戦うか作戦を考えたいと思います」。

「よろしくお願いします」。

 話し疲れたし、のども乾いた。私は、大きく一つため息をついた。

 その様子を見てムラブイェフは話しかけた。

「疲れましたか?」

「はい。こんなにたくさん話すことは滅多にないので」。

 私は、気になっている質問を一つする。

「ところで、この裁判に勝ち目はありますか?」

 この質問にムラブイェフは改めて私に向き直り言った。

「あまり期待をさせても申し訳ないので、はっきり言いますが、勝敗は分かりません」。

「そうですか」。

「でも、法廷で無罪を勝ち取れるような筋書きを考えます」。

 そう言うと、ムラブイェフは立ち上がり、力強く私の肩を叩いた。

「一点確認ですが、ルツコイ司令官に投降した時、あなたは自分が共和国派であると言ったのですね?」

「はい、言いました」。

「そのあたりが、ネックになりそうですね…。まあ、何とか、考えてみます」

「よろしくお願いします」。


 ムラブイェフは大量のメモを鞄に詰め込むと立ち上がった。私も彼を見送るために立ち上がる。

 私は頭を下げると、ムラブイェフは右手を挙げて“さよなら”を合図をすると、外の衛兵に声かけ鍵を開けてもらい部屋を出て行った。外側から衛兵が再び鍵を掛ける音が聞こえた。

 私は、それを見送って、ベッドに横たわった。

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