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色彩の大陸2~隠された策謀  作者: 谷島修一
共和国派の内紛
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内紛

 大陸歴1658年4月22日・モルデン


 プロブストは馬を急がせ、戦闘があったという北西の門に向かった。

 そこには多くの兵士が集まっていたが、城門は閉じられたままだった。

 

 プロブストは近くにいる兵士に声を掛けた。

「戦闘があったと聞いたが?」

「街道で敵と衝突したそうです」

「今、状況は?」

「敵が我々の部隊を撃退して向かっているとのことです」

「撃退された部隊の者達は?」

「ほとんどがここに戻ってきました」

 逃げてきた部隊の者を街の中に入れて門を閉めたのか。

「それで、指揮を執っていた遊撃部隊の者はどうした?」

「姿が見えません」

「なんだと」

 プロブストは辺りを見回す。遊撃部隊の者であれは制服ですぐに見つけることが出来すだろうが、見つけることができなかった。まさか、やられてしまったのか?


 そうしていると街壁の上から兵士の一人が大声で叫ぶ声が聞こえた。

「敵だ!」

 プロブストは急いで馬を降り、街壁の上へ階段を駆け上がる。

 正面を見ると街道の先、遠くに街に向かってくる部隊が見えた。


 見たところ帝国軍の制服を着ている者は居ないようだ。その数は見たところ千人程度。

 あれはベルグブリックに居たという共和国派ではないのか?

 プロブストは目を凝らしてみるが、正体を判別することが現状できないので、当面は警戒をすることにした。

 数少ない弓兵と、遊撃部隊の魔術師数名を街壁の上に立たせ、近付けば少しでもけん制できるように命令をする。

 それを察知してか敵の部隊は近づくのを止め、遠くで待機をしている。


 膠着状態のまま数時間経っただろうか。街の西側の城門が開けられ、進撃を開始したと情報が入った。しばらくして、正面で待機していた部隊の側面からモルデンの共和国派が攻撃を開始するのが見えた。

 北西の門で待機をしていたプロブストは怒声を上げた。

「出撃命令を出したのは誰だ?」

 プロブストは再び街壁に上がり正面遠くを見つめた。

 戦闘が起こっているあたりに土埃が激しく立ち込めていた。時折、魔術によるものであろう炎と稲妻が見ることが出来た。

「どうしますか?」

 兵士の一人がプロブストに声を掛けた。

「待機だ」

 プロブストは諦めたように静かに言った。


 一時間程度で戦闘に決着が付いた。

 モルデンから出撃した共和国派の勝利に終わったようだ。

 プロブスト城門を開けさせ、少数の手勢を率いて戦闘のあったところに向かった。モルデンからの共和国派は敵の数倍の数で出撃したようだ。


 プロブストは戦場を見回した。

 モルデン共和国派を指揮していた者を捜す。

 遊撃部隊のメンバーが居たので声を掛けた。

「おい! 誰が出撃命令を出した?」

 声を掛けられた隊員は驚いて答える。

「クーラさんです。コフさんから直接命令を受けたと言っておりましたので、従うしかありませんでした」

「何を言う、指揮官は私だ!」

 プロブストは怒りに任せて叫んだ。しかし、それ以上言うのを止めた。戦闘にも勝利し、もう済んだことだ、どうすることもできない。しかし、今後の事もあるのでコフには一言言っておいた方がいいだろう。


 そして、プロブストは改めて戦場を見回した。斬られて横たわっている数多くの遺体を見下ろした。

 遺体は明らかに帝国軍の兵士ではないようだっだ。そうなると、ベルグブリックにいた共和国派の可能性が高い。まさか我々は同士討ちをしたということか。

 プロブストは慌てて城にいるコフのもとへ馬を急がせた。


 城内に入り、コフがいると思われる作戦室に向かう。

 プロブストは作戦室の扉を勢い良く開けた。

「どういうことですか?」

 作戦室の中に居たのはコフ、はじめ数名が居た。プロブストがいきなり飛び込んできたので、だれもが驚いたようだった。

 コフは立ち上がった。

「なんのことだ?」

「ここに向かっている部隊に攻撃命令を出したことです。倒した相手は仲間です」

「命令を出したのはクーラだ。私は知らん」

「彼はどこですか?」

「すぐに探させる」

 プロブストはその言葉を聞いて、いら立ちを何とか抑えなが、作戦室を後にした。


 そして、戦場に戻り、遺体の埋葬などの指示を出したあと、本来の持ち場である街壁の北東の門に戻った。


 街壁の上から帝国軍のルツコイの陣を確認した。幸い、帝国軍には動きは無いようだ。こちらの混乱ぶりが、帝国軍に伝わっていなければよいが。

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