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色彩の大陸2~隠された策謀  作者: 谷島修一
謎めいた指令
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合流

 大陸歴1658年3月13日・帝国ヤチメゴロド近郊


 早朝、我々はズードヴァイフェル川付近での野営地を撤収し、進軍を開始した。

 夕刻には、ヤチメゴロド近郊で野営地を設置する予定だ。


 私は、昨日から今回の作戦について考え続けていた。

 進軍中は、隊員たちの様子を見る以外には、これと言ってやることがないので、思いもよらず考え事をしてしまう。

 今回の指令の謎についてだ。

 皇帝が、私の知らない参謀を新しく傍に置いて、今回の作戦を考えた、ということも考えられる。そういうことであれば、首都に着いた時、皇帝に謁見して聞いてみるのもいいだろう。いずれにせよ、あと数日でこの疑問は解消できるかも知れない。


 夕刻、我々は予定通りにヤチメゴロド近郊で野営地を設置した。

 私がいつも通り指令室のテントで椅子に座っていると、ほぼ予定通りの時間にマリア・リヒターが歩哨に連れられて到着した。彼女はテントに入ると敬礼した。

「ご苦労様」。

 私も敬礼をし返す。

「どうでした?」

「手荒い歓迎を受けましたが、手紙を渡すことができました」。

「そうでしたか。ケガはなかったですか?」

「大丈夫です」。

 それを聞いて少し安心した。私も初めてホルツに出会った時、手荒い歓迎を受けた。

「それは良かった」。

「それで、彼は、『手紙に内容は了解した、また何かあれば連絡をくれ』、と言われました」。

「彼らが公国とつながりがあるという話はどうだった?」

「彼らは“繋がりはない”と言っておりました」。

 私は、わかった、と大きく頷いて見せた。

 この作戦が終了するまで、しばらくはホルツとは連絡を取るような動きはないだろう。ただ、今回の作戦の終結の時期の予想はつかない。

「君もフルッスシュタットで、次の連絡があるまで待っていてほしい」。

 マリアはそれを聞くと、少し前屈みになり、改めて話し出した。

「クリーガーさん、お願いがあるのですが」。

「なんでしょう?」

「今回の作戦に私も同行させてください」。

 予想外のお願いをされて、驚いて私は彼女を見返した。

 私の権限であれば、一人ぐらい編入させるのは簡単なことだ。しかし、彼女はなぜ同行したいのであろうか?私は少し考えてから言った。

「なぜ?」

「帝国軍の様子を見てみたいのです。それに、クリーガーさんの部隊を見ていると、ちょっと軍に居た頃を思い出して、その何というか…」。

「血が騒いだ、とか?」。

 私は彼女の言葉を継いで言った。

「そんなところです」。

 戦いが好きでたまらないというタイプはいる。遊撃部隊にも少なからずいる。しかし、彼女がそのタイプだったとは、ちょっと意外な感じがした。彼女の今の言葉は、嘘かもしれないが。

「店は良いのか?」

「マスターには、しばらく休むと言ってあります」。

「わかった、同行を許そう。ただし、他の隊員と同じように徒歩で進軍してもらう。作戦が終わるまで馬は預かる」。

「わかりました」。

「では、女性の隊員達が使っているテントまで案内しよう」。

 私とマリアは指令室のテントを出た。しばらく歩いて、女性隊員のテントに着くと、ソフィアを呼び出した。マリアが部隊に加わると伝え、テントを使わせるように指示した。また部隊が使う装備品なども彼女に分け与える様に指示した。

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