表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/198

第二十一話

「この先に組長がいるわけだが……準備はいいか?」


 紅蓮が尋ねてきた。

 

「いや、少しだけ心を落ち着ける時間をくれないか?」


 さすがに到着していきなり会うのは緊張する。

 話を聞く限り、気難しい人みたいだし。

 

「おーい、組長ぉー! ウチだけど、入ってもいいか?」


 紅蓮はドアをノックしながら大声で言った。

 はぁ……やると思った。

 なら最初から聞くなよ。

 というかそんな口の利き方してもいいのか?

 相手は組長だろ?

 

「どうぞ」


 硬い女性の声が聞こえてきた。

 うわっ、恐そう。

 

「失礼しまーす!」


 大きな声を上げながら扉を開ける紅蓮。

 俺とありすさんは彼女のあとについて行く。

 

 なかに入ると、かなり狭い部屋だった。

 ベッドやタンス、本棚などがある。

 空いている空間はほとんどない。

 

 組長であろう一人のおばあさんは、正面の机に座っていた。

 長い白髪。

 眼鏡。

 顔はしわだらけ。

 みんなと同じ黒い軍服を着ている。

 

 本を読んでいるようだ。

 おばあさんはこちらを向いて口を開く。

 

「ありすに紅蓮。……それから、そっちの男の子は誰だったかね? ウチの軍服を着ている割に、あたしの記憶にはない顔だけど」

「組長。こいつはついさっき川で出会ったんだ。だからウチの組織の者じゃないぜ。軍服は滝の下の洞窟で拾ったんだとさ」


 紅蓮が答えた。

 

「そうかい」


 えっと。

 こういう時は、自分から挨拶をした方がいいかな。

 

「あの、朧月(おぼろづき)(れい)と申します。一応百年前の生き残りで、今まで冷凍保存されていたらしいです」

「へぇ、そうかい…………ん? お前さん今なんと言った?」

 

 あれ?

 聞こえなかったかな?

 

「えっと、百年前の生き残りで、今まで冷凍保存されていた──」

「──そこではない。もっと前だ」

 

 もっと前?

 となると名前のことかな?

 

「朧月零と申します」

「おぼろづき……れい。…………まさか」


 おばあさんは突然立ち上がり、こちらに向かってゆっくりと近づいてくる。

 

 えっ……。

 なんかおかしいこと言ったか?

 確かに俺の苗字はおかしいけどさ。

 て、うるせぇ。

 変な苗字で悪かったな。

 

「お前さん……本当に朧月零で間違いないのか?」

「ええ。まあ」


 本当にどうしたのだろう。

 

「確かに冷凍保存されたと聞いていたが……なるほど。そういえば生き残りたちが揃って、一人だけ目覚めなかった者がいたと言っておったな」

「おい、組長。こいつのこと知っているのか?」

「……ああ。話には聞いていたよ」


 なんかいまいち話が見えてこない。

 

「話に聞いていたとはどういうことですか?」


 そう尋ねてみると、おばあさんは俺の横を通り過ぎた。

 

「…………ちょっとついてきなさい。見せたいものがある」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンでただひたすらレベルを上げ続ける少年
主人公最強モノでとても爽快なストーリーとなっています。また書籍化もされている人気作品ですので興味のある方はぜひ!
上のタイトルを押すと作品ページに飛びます
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ