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第十七話

 表札の下にある機械の前に移動した。

 どうやら四桁を入れるらしい。

 あまり深く考えても仕方ない。

 さっさと間違えて紅蓮に開けてもらおう。

 どうせ当たりっこないのだから。

 

 よし、鈴の誕生日にするか。

 泡沫組と泡沫鈴の【泡沫】がかかっているわけだ。

 

 人差し指でボタンを押していく。

 

【0411】


 これで間違いない。

 よく覚えている。

 大好きだった子の誕生日を記憶していない男子は、この世に一人として存在しない。

 幼馴染で、昔からよく誕生日会をしたりしていたため、そもそも間違えるはずがない。

 鈴の誕生日は四月十一日。

 

 まあ、この建物のパスワードに関してはどうせ外れなんだけどな。

 とにかく。

 決定ボタンをポチっと。

 

 その瞬間、頑丈そうな扉が左右に開いた。

 

「「はっ!?」」

「……え?」


 なんで開いた?

 機械の故障?

 

「おい朧月。なんでお前がこの建物のパスワードを知ってんだよ」

「0411で当たってたのか?」

「ああ、正解だ。そうじゃねぇと扉は開かねぇよ」

「嘘だろ?」


 これ……偶然なのか?

 

「こんな面白くもなんともねぇ嘘ついて、誰が得すんだ。……ん、待てよ? お前さてはスパイじゃねぇのか? どこの組だ、おい。今は人間同士が争っている場合じゃねぇだろ。協力し合わねぇと」

「何の話だ! そんなわけないだろ」

「否定するところがまた怪しいな。そういえば、朧月が百年前の生き残りだという保証はどこにもないし」

「……じゃあどうしたらわかってくれるんだ?」


 下に着ている制服を見せれば証明できるか?

 あっ、そういえば。

 まだ制服の上にツタの紐を巻いている。

 あれを見られたら恥ずかしいな。

 

「問題。……昔日本で一番高かったタワーの名前はなんだ?」


 急にクイズが始まったぞ。

 まあこれで俺が百年前の生き残りだと証明できるなら、お安い御用だ。

 

「東京スカイツリー」

「? ……あ、ああ。…………正解だ」


 ん?

 なんか反応が妙だな。

 

「次だ。……問題。昔日本で一番高かった山の名前はなんだ?」

「富士山」


 正確には、かつて台湾を支配していた時の玉山なのだが、有名なほうを言えばいいだろ。


「? ……おう」

「昔日本で一番広かった県の名前は?」


 北海道だろ。

 さっきから問題が簡単すぎる。

 いや、待て!

 違う。

 北海道は県じゃねぇ。

 危ない危ない。

 凡ミスするところだった。


「岩手県」

「いわて? ……まあいいだろう。正解だ」


 なんか怪しい。

 ちょっと聞いてみるか。

 

「なぁ、さっきから答えを知らないのに問題を出してないか? なんか正解発表のたびに歯切れが悪いような気がするんだが」

「は? 誰に向かって言ってんだ、こら。ウチはこの基地きっての天才だぞ? 百年前の奴らがきて以降は目立たなくなっちまったがな」

「……」

「おいありす。……この基地で一番頭がいいのはウチだよな~?」

「えっ……一応成績ではわ──」

「──ウチだよなぁ~!」

 

 紅蓮がありすさんの肩に手を回した。

 

「……し、鎬」

「ほら見ろ朧月。ありすもこう言っているぞ?」

「無理矢理言わせただろ」

「うるせぇ、そんな細かいことはどうでもいいんだよ。さっさと最終問題に答えやがれ。次の問題を間違えた場合、お前をスパイとみなしてこの場で射殺する」

「そんな無茶苦茶な」


 横暴すぎる。

 そもそも三問正解した時点で充分だろ。

 100点満点中で考えたら75点だぞ?

 そこそこの大学に行ける点数じゃないか?

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