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第三話

 遠くから甲高い叫び声が聞こえてきた。

 一瞬魔獣かと思ったが、違う。

 さっきのは……間違いなくあれだ。

 ずっと俺が求め、出会いたいと思っていた、人間の声。

 

「嘘だろ?」


 声がしたということは、必ずその主がいるはず。

 かなり遠かったため、このまま川の側を進んでいればいずれ会えるだろう。

 マジか。

 嬉しい。

 嬉しすぎる。

 人はやはり俺だけじゃなかった。

 ここにきてから初めての人間。

 さっきの声からして、おそらく女の人だろう。


 一応俺が着ている軍服の主にはあったけど、骨だったし。

 あれはノーカウントだ。

 

 て、ちょっと待て。

 さっきの声……叫び声じゃなかったか?

 あの、ピンチの時とかびっくりした時によく上げるやつ。

 

「……えっ?」


 ということは。

 今、誰かが危ない状態ってこと?

 やばい!

 のんびりしている場合じゃない。

 助けに行かないとっ。

 

 俺は走り出した。

 せっかく人に会えるかもしれないのに。

 その人がまた死んでいるなんてことになったら嫌だ。

 もうこれ以上孤独にしないでくれ。

 

 少し走ると、金髪の少女が見えてきた。

 身長は俺よりも低い。

 目測で140cmってとこか。

 俺と同じような軍服を着ており、手にはハンドガンが握られている。

 

 彼女の後ろには……狼か?

 とにかく追いかけられているらしい。

 どうしよう。

 狼を撃ち抜けるか?

 チャンスがあるとすればすれ違いざま。

 それ以外は、あの少女に当たってしまうかもしれない。

 だから好機は一度きりだ。

 できるかじゃない。

 やらなきゃ。

 

 走りながら太もものホルダーに手を伸ばし、ハンドガンを取り出した。

 まだ距離はある。

 落ち着け。

 

 安全装置を【S】から【F】に変更。

 上部分をスライド。

 これで準備は万全だ。

 いつでも撃てる。

 あとは俺の腕次第。

 任せろ。

 俺は何でもこなせるんだ。

 きっと射的だって。

 

 距離が近づいてきた。

 もう少しだ。

 

「はぁ、はぁ……っ!?」


 少女はようやく俺の姿に気づいたらしく、目を開いた。

 そして何を思ったのか突然進行方向を横に変え、森の方に向かう。

 

「えっ!?」


 今森に入ったら不味いだろ。

 絶対逃げられない。

 俺を巻き込まないようにわざわざ逃げる方向を変えたのか?

 

 狼は一瞬立ち止まるも俺と少女を一瞥した後、すぐに少女のいる森に向かって走り出した。

 今しかない!

 

 急いでその場に立ち止まる。

 狼に銃を向け、トリガーを引いた。

 バァァァァン!! という発砲音。

 反動を両手で堪える。

 

「……」

 

 瞬きをしてしまった。

 当たったかどうかわからない。

 銃口の向きは完璧だったはず。

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