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第二話

 朝、目が覚めた俺は木から下りた。


 川で顔を洗う。

 冷たくて気持ちいい。

 

「よし、じゃあ行くか」


 そう声を出し、川に沿って上がり始めた。

 海とは真逆の方角。

 今まできた道を引き返すということだ。

 決して寝ぼけているわけではない。

 もちろん頭がおかしくなったわけでもない。

 えっ、元からおかしいからそれ以上は悪くならないって?

 うるせぇ。

 

 それはともかく。

 昨日寝る前に悩んだ結果、食料集めは止めることにした。

 一番優先すべきは人里を探すこと。

 それを思い出したからだ。

 

 正確に言えば、魚を捕る方法が思いつかなかったというだけなんだけどな。

 ま、それは内緒ということで。


 いや、だってさ。

 海で魚を捕まえるのって無理じゃない?

 釣竿を作ろうにも、時間がかかるだろうし。

 サバイバルナイフを使って銛を作ったとしても、捕まえられる自信がないし。

 手づかみなんてもってのほかだ。

 罠は、作り方がわからない。


 そうして悩んでいた際、ふと獣道のことを思い出したわけである。

 あの途中で探索を止めた場所。

 やはりあれが気がかりだ。

 あの時はいろいろと頭がこんがらがっていて、自分でもよくわからない思考になっていた。

 途中で探索を中断するのは、一番効率が悪い。

 何もわからないままなのだから。

 

 川を下り続けると海があるのはわかったため、今度は獣道のゴール地点を明確にしておきたい。

 可能性としては一番人里に近いと思う。

 あれが偶然できたとは思えない。


 幸いあの獣道から海まではびっくりするほど遠いわけではない。

 充分戻れる距離だ。

 

 川の近くにいれば、脱水症状などで死ぬことはない。

 だから安心して行こう。

 ペットボトルもあるわけだし、今度は絶対最後まで探索するからな。

 

 マジでなんで昨日、途中で引き返したんだろう。

 自分でもよく覚えていない。

 同じ景色のなか川の側を何日も歩き続けていたせいで、精神的に参っていたのは確かだ。

 だってただ歩いているだけで涙が出てきたほどだし。

 あんなのは生まれて初めてだった。

 

 そういえばいつの間にか治っていたな。

 ドームを見つけた時くらいからかな?

 おそらく、この世界が日本だったという衝撃的な事実を突きつけられたからだろう。

 そのお陰で、おかしくなっていた精神が上書きされたというか。

 まあ、脳科学に詳しくないから何とも言えないけど。

 何かが何かを起こして、何かになった。

 そういうことにしておこう。

 

 つまり今の俺は、正常だ。

 いずれ恋人にしてもらいたいのは、騎乗だ。

 

「……」


 やっぱり俺の頭は異常かもしれない。

 日本にいた頃の俺はもう少しまともだったぞ。

 

 

 

 

 割とのんびり歩くこと一時間半くらい。

 壊れたスタジアムに到着した。

 

 ここにはあまり良い思い出がない。

 早く通り過ぎてしまおう。

 

 少し歩く速度を上げる。

 機械蜘蛛……まだいるのかな?

 だとしたら俺は今、ものすごく危険な場所を歩いているわけだが。

 

 くるなよ。

 絶対くるなよ。

 いや、このノリ止めようぜ。

 碌なことにならないもん。

 

 まあ、まだ朝早いし。

 蜘蛛ちゃんもどうせまだ寝てるだろ。

 そのまま良い子におねんねしててね。

 ばいばい、蜘蛛ちゃん。

 またね!

 

 スタジアムを通り過ぎ、更に三十分ほど歩いた。


 体内時計が合っているのであれば、あと三十分ほどで到着するはず。

 

 そんなことを思いつつ歩いていた、その時!

 

「きゃあぁぁぁ!」

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