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第五話

 目が覚めた。

 そのまま床で眠っていたらしい。

 

「ふぁぁぁ……」


 どれくらい寝ていたのだろう。

 確認したいけど……。

 まあ無理だろうな。

 時計がないし。

 スマホも使えないんだから。

 

 カプセルから目覚めた時に比べて、意識がはっきりしている。


 頭痛と吐き気がなくなり、身体も軽い。

 まるで重りがなくなったみたいだ。

 記憶は戻ってないけどな。

 

「よし、さっそく外に出るか」


 ここはどこなのか。

 きっと外に出れば全てがわかるはず。

 

 その場に立ち上がって体を伸ばす。

 身体の調子は万全。

 いつも通りだ。

 

「忘れ物はないよな?」


 ズボンのポケットにそれぞれ両手を突っ込み、スマホとサバイバルナイフがあることを確認。


「この二つと、胸ポケットにある手紙……以上」


 実に心もとない。

 せめてカロリーメイトでもあれば安心なんだけど。

 ない物を願っても仕方ない。

 行くぞ。

 

 棚の隣に位置する扉の前へ移動した。

 この部屋唯一の扉。

 厳重にロックされているらしく、ドアノブの部分が海賊船のハンドルのような形をしている。

 

 目の前に立ち、一度「ゴクッ」と唾を飲み込む。

 できれば自宅の前に繋がっていてほしい。

 

 仮にドッキリの看板を持った番組のスタッフが外にいた場合。

 そのチャンネルのプロデューサーは訴えることにしよう。

 さすがにリアルすぎる。

 あんなわけのわからない手紙まで用意しやがって。

 

 ハンドルを握り、力を入れた。

 見た目とは裏腹に案外スムーズに開いていく。

 もっと力がいるかと思ったんだけどな。


 やがてカチッという音がしたため、扉を押す。

 だがいくら押しても扉はびくともしない。

 

「なるほど、押してだめなら引いてみなってか?」


 笑みを浮かべ、勢いよく引いた。

 しかし動く気配がない。

 ありゃ?

 なんでだ?


「あっ」


 まさかと思い、横へスライドさせてみると。

 めちゃくちゃあっさり開いた。


 同時に外の景色が視界へと入ってくる。

 

「……おい、嘘だろ」


 扉を開けるという選択は間違っていたのかもしれない。

 いや、部屋のなかに閉じこもっていれば、いずれ飢えて死んでしまう。

 だとすれば結局開けるしかなかったのだが……。

 

 根っこが剥き出しの木々。

 木と木の間に垂れているツタ。

 剣のような形の葉っぱ。

 ぐるぐる巻きに伸びているきのこ。

 苔が生えている石。

 

 目の前には、人工物と呼ばれるものが一切なかった。

Chapter 1【序章】 終

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