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第三十一話

 太陽の位置からして今は正午。

 

 俺は相変わらず川沿いを歩き続けていた。

 だんだんと景色が変わってきているため、そこまで退屈しない。

 

 植物の密度は今朝と同じなのだが、地面のでこぼこが激しくなってきた。

 川辺だけはなぜか無事だが、周囲のありさまがひどい。

 荒れ果てているけど植物が育っているというわけのわからない土地だ。


 なんかたまに地割れがあるしな。

 右を向いてみると、草木の間から微かに見える割れ目。

 植物のせいで見えにくいが、実際はかなり大きい。

 あそこに落ちたら二度と帰ってこれないような気がする。

 今後はむやみに森へ入らない方がいい。

 まあ迷子になりそうだし、入る予定はないけど。

 

 にしても。

 何が起こったらあそこまでパックリと割れるのだろうか。

 誰か魔法カードでも発動したのか?

 相手フィールド上に表側表示で存在する攻撃力が一番低いモンスターを一体破壊するあの緑色のカードな。


 俺はサンダー・ボルトが一番好きだけど。


「なんであれ禁止になったんだよ」


 フィールド上の敵を全て無条件破壊することの何が卑怯だというのかね。

 というか最近禁止じゃなくて制限カードとして復帰したらしいな。

 そんなことは今どうだっていいんだよ。

 

 今までは川が真っすぐ続いていたのだが、一時間ほど前からカーブがやたら増えてきている。

 これに関しては川沿いを歩いていれば進んでいる方向を見失うことはない。

 

「……それにしても。なんか嫌な予感がするんだよな」


 パッと見わかりづらいけど。

 川の流れが少しだけ速くなってきているような気がする。

 まあ、気のせいだったらそれまでなんだけどさ。

 どうにも速いような気がしてならない。

 

 そして。

 若干地面が傾いているような気もするんだよな。

 まあ、気のせいって可能性もあるけど。

 

「ちょっと状況を整理してみるか」


 川の流れがわずかに早くなっていて。

 地面が若干傾いているような気がする。

 

 つまり俺は順調に下っているんじゃないのか?

 このままいけば、近いうちに人里にたどり着けるかも。

 

「川の流れが速い=この先に滝と崖があるっていう想像を浮かべた俺は、きっとおかしいんだ」


 そんなはずはないだろ。

 命綱なしのバンジージャンプをする羽目になんてなるはずないって。

 ハハッ。

 

「……ならないよな?」


 あれ?

 なんかフラグ立ってない?

 大丈夫?

 

 

 

 

 今は夕方。

 オレンジ色の夕日が半分ほど水平線に沈んでいる。

 

「ああ、いい眺めだなぁ」


 見渡す限り、辺り一面に森が広がっている。

 水平線の彼方までずっと森だ。

 緑色の木。

 茶色の木。

 黄色の木。

 赤色の木など。

 たくさんの種類の色がある。

 人工物が一切ない森だけの光景は、見ていてとても圧巻である。

 

 真下に視線をやる。

 大きな湖がある。

 

 こうしていると、まるで高い場所から見下ろしているような気になるな。


「風が気持ちいい」


 足がぶるぶると震える。

 一歩後ろに下がった。

 

 か、風に当たり過ぎて寒くなっちゃったのかな?

 決して恐怖からじゃないよな?

 俺が崖の目の前にいて、滝が近くにあるからじゃないよな?

 

 もう一度一歩進み、真下を見てみる。

 湖がかなり遠くに見えた。

 

「……要するに俺はめちゃくちゃ高い位置にいる?」


 いや、違う。

 俺が高い場所にいるんじゃなくて。

 この先に見える湖とか森がめちゃくちゃ低い位置にあるだけだろ!

 

「て、どっちも一緒か」


 認めるしかないようだ。

 

「うん」


 俺は今、崖の目の前にいる。

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