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第十八話

 結局カンガルーがいなくなるまでに一時間以上かかったと思う。

 かなり長かった。

 途中木の上からサバイバルナイフを向けて大声を出してみたが、むしろシャドーボクシングの激しさが増した。

 完全に逆効果である。


 そんなこんなで長期戦になったわけだが、ついさっきカンガルーはどこかへ行った。

 多分諦めたんだと思う。

 

「けど……隠れて待ち伏せしている可能性もあるんだよな」


 怖くて下りられねぇ。

 仮に戦闘になった場合、俺は確実に負ける。

 つまり戦うという選択肢はないわけだが。

 

「ずっとこうしているわけにもいかないよな」


 もしかするとカンガルーが再び戻ってくるかもしれない。

 逃げるチャンスは今だけかも。

 

「よし、決めた」


 悩んでもしょうがない。

 こんな所で怯えていたら、永遠と言い訳が出そうだ。


「行こう!」


 周りを確認。

 特に音は聞こえてこない。

 魔獣の姿もなし。

 OK。

 

 なるべく静かに木から下りて、すぐ隣の川辺に移動。

 足が痛むけど耐えられないほどじゃない。

 普通に歩ける。

 走ることも可能だが、地面の小石の音が周りに響きそうだし静かに歩くことにする。

 魔獣がやってきた時に走り出せばいい。

 

 俺は川辺に沿って進んで行く。

 

 

 

 

 辺りがオレンジ色に染まり始めた。


「もう夕方か」


 幸いなことにあれから魔獣に出会うことはなかった。

 かなり長い時間歩いていたのにも関わらずカンガルーどころか狼の姿すら見ていない。

 運が良かったと言えるだろう。

 おかげで結構進んだ。

 今どの辺りなのかは全くわからないけど。

 

 まあ、川があればとりあえず方向に迷う心配はない。

 ゆえに確実に進歩しているはず。

 景色が全く変わらないため不安と言えば不安だが。

 

 なんにせよ。

 もう少し歩こう。

 紐があるおかげでいつでも木の上で眠れるし。

 日が暮れるまでにちょっとでも進んでおきたい。

 

「そういえば、水浴びとかしたいな」


 この世界にきてからまだ一度も体を洗っていない。

 髪もベタベタだ。

 一応すぐ近くに川がいるからいつでも洗えると言えば洗えるのだが……。

 

「危険だよな」


 川で水浴びをしている時に魔獣に見つかったら終わりだ。

 狼ならりんごピオーネを使えばなんとかなりそうだけど。

 カンガルーはやばい。

 

 そう考えると、水浴びをする前にカンガルーに出会えたのは幸運だったと言えるかもしれない。

 正直今日あいつに出会わなければ、俺は近いうちに裸で水浴びをしていただろう。

 りんごピオーネを近くに用意した状態でな。

 

「そんなことをしても、カンガルーがきたら何の意味もない」


 下手をしたら俺は死んでいたかも。

 先に気づけて本当によかった。

 だからカンガルーにはお礼を言わないと。

 

「カンガルー……ありがとな」


 そうつぶやいたのと同タイミング。

 ガサッという音が森の方から聞こえてきた。


 やばっ。

 俺はすぐに走り出す。

 

 狼か。

 それともカンガルーか。

 どちらにせよ逃げるが勝ちだ。

 

 少し先にあった大きめの木の上に登っていく。

 焦らないよう慎重に。

 だが素早く。

 

 かなり高い位置まで登り、大きめの枝に腰を下ろす。

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