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第十六話

 りんごピオーネの採取を終えた俺は、再び川沿いを歩いていた。


 りんごピオーネを食べながら採取していたため、今現在かなりお腹いっぱいである。

 そして右手に持っているかごのなかには溢れんばかりのりんごピオーネちゃん。

 詰め放題みたいなありさまだ。

 

「お腹いっぱいで、なおかつたくさんのりんごピオーネを所持している」


 こんなに恵まれていていいのだろうか。


 しかもりんごピオーネは狼を退けることができる可能性が高いため、安心感が半端ない。


 それもこれもりんごピオーネのおかげである。

 

「りんごピオーネたんマジ天使」


 略してRMT。


 て、なんか。

 りんごピオーネって言い過ぎてゲシュタルト崩壊してきた。

 

「とにかく……これだけりんごピオーネがあれば三日は持つな」


 正確な数を言えば十五個。

 重さはおそらく六キロくらいだと思う。

 結構重たい。

 

 そんなことを考えつつも小石の上を進んでいると。

 

「ん? あれは?」


 川のなかを泳いでいた一体の魚が視界に入ってきた。

 他の魚と比べてかなり大きい。

 赤い胴体。

 黄色のトサカ。

 

「コイキ〇グかっ!」


 色合いが似すぎだろ。

 一瞬ポケットモンスタ〇の世界かと思ったわ。


 あいつがいるということは進化系もいるってことか?

 

「いや、それはないか」


 もし仮にいたとしても。

 こんな小さい川を泳げるとは思えない。

 それはともかく。

 

「あれ……食べられるかな?」


 見た感じ泳ぎが鈍い。

 さすが戦闘になったら【はねる】しか使えないだけある。

 つまり捕まえやすいということ。

 一応メリットとデメリットを考えてみよう。

 

 まずはメリット。

 久しぶりに魚を食べることができる。

 

 次にデメリット。

 見た目からしてまずそう。

 捕まえるのに時間がかかる。

 捕まえるのに労力がかかる。

 捕まえる際に服や体が濡れる。

 仮にゲットできたとしても、火を起こさないと調理できない。

 そもそも火を起こせる自信がない。

 かと言ってあいつを生で食べるのはきつい。

 川に入って捕まえている間、狼に襲われる可能性も十分に考えられる。

 今現在、お腹が空いてない。

 そしてりんごピオーネとカロリーメイトを持っているため、食料に困っているというわけでもない。

 

「……やめとこう」


 明らかにデメリットの方が多い。

 というわけでコ〇キングを無視して進んで行く。

 

 

 

 

 それから五分ほど歩いた時だった。

 森の方からガサッという音が聞こえてきた。

 

「狼か!?」


 すぐさまりんごピオーネをひとつ手に取る。

 いくらりんごピオーネを持っているとは言え、緊張する。

 投げて果実に夢中になっているうちに、木の上に逃亡。

 できればりんごピオーネを使うことなく退散したい。

 行くぞ。

 

 なるべく音を立てないように走り出す。

 その瞬間、後ろから再び植物の音。

 少し遅れて小石のジャリッ! という音も聞こえた。

 やばい、逃げ遅れたか。

 

「キュー!」


 そんな声と同時にこちらへ向かってくるのがわかった。

 足音の感覚が俺よりも狭い。

 つまりいずれ追い付かれる。


 て、今の声は?

 狼じゃない。

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