第百三十七話
よっしゃぁ!
やっとだぜ。
早く手羽先が食べたい。
どうやら狩り班のみんなも、もう戻っているようだ。
紅蓮と大志がいつも通りの場所で食事をしている。
俺は行列に並び、好きな料理を取っていく。
手羽先。
串焼き。
この二つはもうレギュラーだ。
今後一生食べない日はないと思う。
あぁ、でも。
風邪を引いて体調が悪かったりしたら別だけどな。
あとはサラダも食べておこう。
ビタミンを取らないといけないからな。
更にコーンスープ。
ベーコンエッグ。
パン。
魚の塩焼き。
これくらいでいいか。
いつもの所に移動し、大志の横に座る。
「お疲れ、朧月。採集班の仕事はどうだった?」
大志が尋ねてきた。
やはり今日も串焼きを三本同時に食べている。
「大志もお疲れ。今日は釣りをしていたんだけど、結構釣れて楽しかったよ」
「あぁー、釣りか。そういえば長いこと海に行ってないし、俺も久しぶりにやりたいな」
手羽先を手に取り、一口齧る。
香ばしいタレとスパイシーな香り。
やっぱりうめぇ。
最高過ぎる。
コーラが欲しくなるな。
この世界にそんなのあるはずないけど。
いや、もしかしたら大規模組織の夜桜組って言ったっけ?
そこならあるかもしれない。
街みたいな基地らしいし。
どっちにしても。
現時点で確かめることは不可能だ。
「おい、ありす。今日は朧月と一緒で楽しかったか?」
「……」
紅蓮の質問に、俯くありすさん。
微妙に顔が赤くなっているような気がする。
「はぁ? なんだその反応。お前、なんか怪しいな。……朧月と何か良いことでもあったのか?」
「……」
ありすさんは首を左右に振る。
「嘘つけ。いつもと全然違うじゃねぇか」
「……何もない」
「チッ。じゃあ朧月、お前が答えろ。このありすの様子からして、最低でも手は繋いでいるだろ」
隠す意味もないし。
正直に言うか。
「いや。合計で三十秒くらいだったかな? ……ちょっと会話をしただけだぞ」
「ぷっ、三十秒って。……一日中同じ仕事をしていたくせに、なんだお前ら。そんなのただの挨拶じゃねぇか」
「うるせぇ。別にいいだろ」
「ははっ。……ま、おおかた大志と予想していた通りだったな」
「予想?」
大志が串焼きを食べつつ答える。
「そうなんだよ。今日、朧月と桜花さんが会話をするかどうかってことでちょっと鎬と話をしたんだ」
「おう。そしたら珍しく大志と意見が合ってな。……多少奥手な朧月はともかく、ありすは相当な恥ずかしがり屋だから絶対会話しねぇって」




