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第百十二話

「え……あっ、そっか。この基地にきてからずっと四人でご飯食べてるもんね。じゃあ知らないの私だけ? ……はぁ、なんか仲間外れの気分」

「そうだな」

「ちょっ、紅蓮ちゃん。そこは否定してよ~」

「チッ、ちゃん付けするなっていつも言ってるだろ。しつこいやつだな」

「紅蓮ちゃんは昔から紅蓮ちゃんじゃない。朝からそんなに怒るばかりしていたら美容に悪いわよ?」

「別にどうでもいい。……というかもう終わろうぜ。腹減ったんだけど」

「だめ! 打ち合わせどころかまだ新人くんの自己紹介も終わってないんだから」

「おい朧月。早く自己紹介しろ」


 相変わらず紅蓮は自己中なやつである。

 なんかもう慣れた。


「えっと……今日からお世話になる朧月零です。最初は迷惑をかけるかもしれないですけど、一生懸命頑張るのでよろしくお願いします」


 そう言って頭を下げた。

 パチパチという音が少しだけ聞こえる。


「うんうん。頑張ってね!」

「朧月、一緒の班になれてよかったな」


 華瑞樹班長の言葉に続いて、大志が言った。

 笑って返答する。


「おう。どこに配属されるのかちょっと不安だったけど、みんながいる所で安心したよ」

「だろうな。……まあ、これから仲良くしようぜ」

「ああ。よろしく!」

「何だお前ら。男同士の友情を見せつけてきやがって。……気持ちわりぃ」


 紅蓮が眉間にしわを寄せて言った。


「そんなこと言わないの、紅蓮ちゃん。仲がいいのは良いことなんだから」

「ちゃん付けするな! そして早く打ち合わせを始めろ」

「普段から騒がしいのに、お腹が空いている時の紅蓮ちゃんは手に負えないわ」

「うるせぇ」


 華瑞樹班長はため息をつく。


「はぁ……。さてと、そろそろ今日の打ち合わせを始めましょう。昨日強敵の討伐をしたせいで、食べられる魔獣の狩りが遅れ気味らしいから、今日はできるだけ狩り班へ応援を出してほしいってさ」

「おぉ狩りか。なら、ウチが出るぞ」

「そうね。紅蓮ちゃんは総合的な能力が高いから、出てもらうわ。東雲くんとありすちゃんも狩りをお願いね」


 紅蓮が眉を顰めた。

 

「じゃあ朧月はどうするんだ? こいつは新人だけど、旋風班長に模擬戦で勝てるくらいの実力があるぞ」

「それは私も聞いたからわかってる。けど、最初は基地内での仕事をしてもらいたいの。まだ組織自体に慣れてないだろうし」


 あぁ、確かに。

 常に緊張しているっていうのはあるな。

 

「だから、今日は私がいろいろと教えてあげる予定。……午前は門番で、午後からはまだ決まってないけど、門番をしている時に考えておくわ。朧月くんはそれでいい?」

「はい。何でも頑張ります」


 即座に返答した。

 そこで紅蓮がありすさんの肩を叩く。

 

「おい、ありす。華瑞樹班長が愛しの朧月くんを取ろうとしているぞ? 黙って見ていていいのか?」


 はぁ。

 また始まった。

 

「ちょっと……やめてよ」

「えっ、なに? ありすちゃんって朧月くんが好きなの?」


 華瑞樹班長が食いついた。

 

「……ち、違う。鎬が勝手に言ってるだけだもん」

「またまたぁ~、そんなに顔を赤くさせちゃって。……けど安心して。私は別に若い男の子を狙ったりしないから」

「……むぅ」


 頬を膨らませるありすさん。

 か、かわいい。

 

「あはは! ありすの反応はいつ見ても面白れぇな」

「……面白くない」

「ウチが面白いと言ったら面白いんだよ」

「……」


 ありすさんは無言で首を横に振った。

 動作全てがかわいい。

 というかもう、ありすさんがかわいい。

 

 そこで華瑞樹班長が手を叩いた。

 

「はい! 早く朝ごはんが食べたいし、そろそろおふざけはやめましょう」

「そうだぞありす。お前のせいで全然打ち合わせが進まないじゃねぇか」

「…………」


 いや、総合的に見れば紅蓮が悪いだろ。

 話がそれる時は、大概お前が絡んでるんだよ。

 

「紅蓮ちゃん、ありすちゃん、東雲くんの三人は6時45分にいつもの建物の外で狩り班と合流ね」

「おう!」

「了解です」

「……うん」

 

 三人はそれぞれ返事をした。


「朧月くんは6時45分までに軍服に着替えて、玄関前にいてくれる? 私も行くから」

「わかりました」

「私からは以上だけど、他に何か言っておきたいことはある?」

「ねぇよ。早く飯にしようぜ」


 紅蓮が言った。


「じゃあなさそうだし、終わりましょっか」


 こんな感じで打ち合わせが終わった。

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