第百十一話
次の日。
朝礼にて。
整列している俺たちを一瞥し、総長は口を開く。
「おはよう」
「「「「「おはようございます!!」」」」」
俺を含めたみんなが大声で挨拶を返した。
相変わらず全員声が大きい。
おそらく何人かは出していない人がいるんだろうけどな。
学校にも絶対そういうやつがいたし。
「今日の連絡事項だが。もう知っている者も多いだろうが、討伐隊の手柄により最近スタジアムに住み着いたとされている怪物が討伐された。死人を一人も出すことなく、よくやってくれたな。……続いて今日は会議等の予定はなし。最後に、新人の朧月零は前に出てきてくれ」
俺の名前が呼ばれた。
おそらく軍服の授与だろう。
「はい」
そう返事をし、数人をかき分けて前へと移動した。
総長は後ろの机に置いてあった黒い衣服の束を手に取る。
「ここに半袖シャツと上着とズボンがそれぞれ三つずつある。もう少ししたら暑くなってくるだろうから、自己判断で上着は着なくてもいい。現に何人か着てない者もいるしな。とにかく今後はこれらを着用して仕事を行うように」
そう言って差し出してきた。
「ありがとうございます」
て……あれ?
持ってみて思ったけど。
これめちゃくちゃ重いぞ。
総長この歳でよく持ち上げてたな。
すごいと思う。
「あとは鞄と革の水筒の支給があるが、さすがに持てないだろうから、またいつでも取りにくるといい。この机の上に置いておくからな」
「わかりました」
「次に配属先についてだが、朧月零はこれから華瑞樹班長率いる便利班に所属してもらう。……この朝礼の後に紅蓮たちのいる場所まで向かいなさい」
「わかりました」
「……さて、あたしからは以上だが。他に何か言っておきたい者はいるか?」
そう言って総長は辺りを見渡す。
特に口を開く者はいない。
「では各自、所属の班に分かれて打ち合わせを行ってくれ。それが終わり次第、いつも通り朝食だ。……以上」
その言葉と同時にみんなが動き出す。
よし、俺も行こう。
紅蓮たちはどこだろう……。
あ、いた。
すぐに見つかったな。
紅蓮、大志、ありすさん。
そして……あの人が華瑞樹班長か。
俺と同じくらいの身長。
若そうな見た目。
胸が小さくて、全体的に細い。
何というか。
美人ってこういう人のことを言うんだろうな。
便利班の場所へ移動した。
華瑞樹班長はにっこりと笑って、
「おはよう。君が今日から配属される新人くんだよね?」
「おはようございます。はい!」
「ふふっ、そんなに固くならなくてもいいよ」
とは言っても。
初対面だしな。
「よし、さっそくだけど自己紹介してくれる?」
「まあ華瑞樹班長以外は全員朧月のことを知っているけどな」
紅蓮が言った。




