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第十話

 気づくと、辺りはもうすっかり暗くなっていた。

 

「そろそろやめるか」


 もうかなり集まったし。

 なにより、周囲がよく見えない状況で地面にいるのは危険だろう。

 

 幹のでこぼこ部分を上手く使い、危なげなく木の上へ登る。

 そしてツタをたくさん集めている枝へ移動。


 この枝は他よりも大きくて安定感がある。

 ツタを集めている最中、何度か足踏みをしてみたが壊れる様子はなかった。


「まあ他より大きいとは言え、バランスを崩したら危ないんだけどな」


 平均台よりもちょっと太いくらいだろう。

 座れば多少安定するが、立って歩くのは難しい。

 

 俺は幹にもたれ掛かるようにして座る。

 

「……おっと」


 一瞬バランスを崩しそうになった。

 危ねぇ。

 落ち着け、俺。


「じゃあ紐を作るか」


 とは言ったものの。

 どうやって作るんだ?

 

 三つ編みにした方がいいかな?

 さすがにこのツタをそのまま使うわけにはいかないだろう。

 細すぎてすぐに千切れそうだ。


 就寝中にバランスを崩して落ちそうになった場合。

 助からないような気がする。


 だから太くしておきたい。

 ま、とりあえず三つ編みをやってみるか。

 

「只今を持ちまして、頑丈な紐の作成を開始致します」


 俺はツタを三本ずつ手に取って、地道に編んでいった。


 途中、大量に集めてきた過去の自分を呪った。

 絶対こんなにもいらないだろ。

 だけど捨てようにも捨てられず、結局全部使った。

 

 しばらくして。

 もうどれくらいツタを編み続けたのかわからない。

 

 目を閉じていても編めるようになった。

 将来は三つ編み専門店を経営できるレベルにまで達した自信がある。


 来店された女性客を三つ編みにし、代金をいただく。

 美しい女性の髪を存分にお触りして、なおかつお金がもらえるという理想の職業。


 あまりにもかわいい子がくると、お触りが髪だけじゃすまないかもしれない。

 ……うん。

 女性客じゃなくて警察官がご来店してきそうだ。

 

 その後、店は潰れて俺は刑務所へ。

 将来三つ編み専門店を作るのはやめておこう。

 

 そんなことを思いつつ、最後の部分を固く結ぶ。

 

「よっしゃ、できたぞ!」


 達成感半端ねぇ。

 もうしばらく三つ編みはしたくない。

 ツタも見たくない。

 

「手……川で洗いたいな」


 すごい植物臭くなった。


 怖いから行かないけどな。

 たまに狼の遠吠えが聞こえてくるんだよ。

 声の大きさからして、かなり遠くだとは思うけど。

 めちゃくちゃ怖い。

 もう嫌だ。

 

 というか気づいたら肌寒いな。

 昼間は普通に暖かかったのに。

 明日からは布団も欲しいところだ。


 そういえば、鞄も欲しいし。

 やることが多いな。

 

 とにかく今日はもう寝よう。

 疲れた。

 

 木の幹と自分の身体を紐で巻いていく。

 何重にもぐるぐるに。


 幹がかなり太いため、割と紐の長さを消費していく。

 長めに作っておいてよかった。

 ありがとう、過去の自分。


 にしても。

 こうして体に紐を巻き付けていると、SMクラブにいるみたいだな。

 一度も行ったことないけど。


 というか成人しても行く気ないわ。

 興味がない。

 やっぱりノーマルが一番。

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