第七十話
「ま、朧月の魔法使い事情については置いといて、遊ぼうぜ」
紅蓮がそんな提案をした。
「置いておくなよ。俺が変態だっていう結論で終わるじゃねぇか」
「実際変態だろ? そもそも男なんてみんなそんなもんだし。動物として何もおかしくはねぇ」
「……まあ」
そう言われたらそうだけど。
「朧月だけじゃなくて、ありすだって毎日部屋で発情しまくってるからな」
「ちょっ。違うも──」
「──というわけで鬼ごっこスタートだ! 最初の鬼はウチでいいか。……いくら角度的に総長の部屋の窓から見えないとは言っても、足音や声が大きかったらバレるからな。一応静かに走ったりするんだぞ? よし、今から三十秒経ったら追いかけるからな~」
そう言って目を閉じる紅蓮。
いきなりだし。
めちゃくちゃだし。
本当なんなんだよ。
とにかく始まった以上はやらないとな。
こう見えても鬼ごっこには自信があるんだ。
俺をなめるなよ。
音を立てないように軽い足取りで走り出す。
この屋上には隠れる場所がほとんどない。
行くとすれば……そうだな。
貯水タンクが二つ並んでいる場所だ。
あそこなら隠れることができるかもしれない。
なんにせよ。
一番気を付けないといけないのは、屋上から落ちないことだ。
この屋上にはフェンスが一切ない。
少し勢いをあやまれば、地面まで落下してしまう。
そうなれば当然、無事では済まないだろう。
「それだけは勘弁だ」
……というかさ。
ありすさんが部屋で、その。
一人でしているというのは、本当なのか?
正直イメージが沸かない。
純粋な感じがする。
実際ありすさんも否定しているし。
紅蓮がからかっているだけの可能性が高い。
並んでいる貯水タンクの間に到着した。
おっ、この下。
よく見たら空間がある。
入れそうだな。
隠れることができるぞ。
丸見えだろうけど、バレたら反対側へ転がって逃げればいい。
それでいこう。
地面を転がってタンクの下に入った。
少々服が汚れても問題ない。
どうせ夜に洗濯するし。
で、話を戻すけど。
ついさっき暴露された俺の話もさ。
あながち間違いではないんだよな。
つまり紅蓮は事実を大げさに話している可能性もある。
ということはだ。
ありすさんはそれっぽい行為を一人で行っている?
首を左右に振る。
やばい。
この想像はよくない。
予想以上に破壊力がある。
部屋にいるありすさんの姿を想像しただけでも危なかった。
一人でしているシーンなんてもってのほかだ。
R-18じゃ規制が足りない。
そもそも人類には早すぎるレベル。
鬼ごっこ中に大きくなったらさすがに誤魔化せないし。
考えるな、俺。
とそこで。
はしごの近くで待機していた紅蓮が動き出した。
こちらに向かってきている。
よし、結論を出そう。
一応予想としては紅蓮の冗談だとは思うけど。
仮に夜、何をしていようが、ありすさんはかわいい!
以上!




