第六十九話
窓の目の前へ移動する。
見下ろすと、屋上が広がっていた。
学校の屋上とは違い、フェンスが一切ない。
結構危なくないか?
ちょっと勢い余ったら落ちるだろ。
「お~い、早くこいよ!」
紅蓮はもう下に到着していた。
手招きしてきている。
下までは意外と近いな。
ま、四階の部屋から三階の屋上に行くわけだし。
そんなものか。
「今行く」
窓から身を乗り出した。
はしごに足を乗せてゆっくりと降り始める。
このはしご……。
意外と間隔が狭いぞ。
降りにくい。
子供サイズって感じだな。
問題なく降りられるけど。
到着すると、続いてありすさんが降り始めた。
なんとなくその様子を見つめる。
「…………」
なんかこうして見上げていると。
罪悪感があるというか。
軍服のコートとズボンで守られているとはいえ。
変な方に意識がいってしまう。
全く下着が見えないのにそんな感情になるのは、俺が変なのか?
目を横へ逸らす。
なんにせよ。
あまり見ない方がよさそうだ。
ありすさんにも申し訳ないし。
今見た光景は頭の奥底に保存……じゃなくて、削除しよう。
そしてあとでごみ箱から復元する、みたいな。
いや、しねぇよ。
とにかく!
自室で思い出して、変なことはしないから安心してくれ。
「なぁ、ありす。もっと早く降りたほうがいいぞ? 朧月がお前のお尻をガン見しているからな」
紅蓮さん?
今なんて言った?
おそるおそる上を見てみると。
ありすさんが顔を赤くしてこちらを見ていた。
まずい。
弁解しないと。
「いや、見てないから!」
「嘘付けお前。ついさっきまで見てたじゃねぇか。ウチの目をごまかせると思うなよ」
チッ、バレてたか。
「……えっと、その」
そうつぶやきつつ、再び視線を逸らす。
「あはは! やっぱりなんやかんや朧月も男なんだな。昨日の夜も、部屋でウチの匂いを嗅いで大きくしてたしな」
「なっ、おい! やめろ」
ありすさんの前だぞ。
変な誤解されるだろうが。
一応事実といえば事実なんだけど。
伝え方に悪意を感じる。
とそこでありすさんも到着した。
彼女は頬を赤く染めたまま紅蓮を見つめる。
「……お、朧月くんの部屋に行ったの?」
「おう、その通りだ。とは言っても朧月が勃ったのを見て身の危険を感じたから、すぐに逃げたけどな」
マジでやめてくれ。
一応否定したほうがいいか?
いやでも、言い訳にしか聞こえなさそうだ。
ありすさんは下を向く。
「……」
「おいおい、落ち込むなって。別に取ったりしねぇよ。ただ単に朧月をからかいに行っただけだから、安心しろって」
「……聞いてない」
「顔にそう書いてあんだよ。とにかく朧月はまだ新品だぜ? なんならそのまま三十代を迎えて魔法使いに転職するまである」
「さっきからうるさいな。魔法使いになろうがお前には関係ないだろ」
「おう、どうでもいい」
何だその言い方。
それはそれでムカつくな。




