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第六十六話

 現在、食堂を掃除している。

 俺と紅蓮がほうきでゴミを掃き。

 その後ろをありすさんがモップで拭いていく。

 単純な作業だが、割と汚れがあるため大変だ。

 

 学校の掃除時間では、ここまでゴミを掃くことはなかった。

 あれは基本的にほうきから落ちてくる埃しか取れないからな。

 終わる直前のちりとりの中身は、それはもう。

 恋人と別れた時くらいの寂しさがある。

 うむ。

 彼女いたことないからわからないけどな。

 じゃあ言うなよ。

 

 だけど。

 この食堂は全然違う。

 掃除のやり甲斐がありすぎる。

 

 とにかく土や砂が半端じゃない。

 俺も含めて土足で建物内を歩いているせいだろう。

 土足禁止にしてほしいよな。

 掃除する人の立場になってほしい。

 残さず掃くのがどれだけ大変か。

 これはマジでやったらわかると思う。

 

 掃いても掃いても、ほうきの間から逃げ延びる砂がいやがる。

 そいつらのせいでもう一度同じ場所を掃く羽目になるんだよ。

 紅蓮に関しては細かい砂は無視してるけど。

 俺は気になるタイプだ。

 

 というかさ……。

 この食堂広くない?

 これ全部俺たちで掃除するのか?

 

 しかも食堂だけでこれほど大変ときた。

 まだ廊下に玄関に別の部屋……。

 おい!

 無理だろ。

 

 はぁ。

 紅蓮が面倒くさがる理由がわかった気がする。

 

 そしてこの作業。

 まあまあ疲れるんだよな。

 筋肉痛の体に響いてきやがるぜ。

 

 けどそれに関しては思い込みで何とかすることにしよう。

 自分を思い込ませるのは得意だからな。

 きっと単純作業が楽しくなってくるに違いない。

 

 一見掃除をしているだけに見える作業。

 だがしかし。

 奥が深いんだよな、これ。

 深淵を覗くほど、闇が濃密になっていくみたいな。

 ちょっと何言ってるかわからないけど。

 

 この作業は、とにかくみんなのためになる。

 一日組織のために働いた組員の方々に、気持ちよく建物内に入ってきてもらう。

 また土足で入りやがってと思う人もいるかもしれないけど。

 俺はそうじゃない。

 掃除をする人というのは、汚す人がいてこそなんだよ。

 でないとそもそも仕事として成り立たないからだ。

 この世界で、安全に一日を過ごせるというのは非常にメリットとなる。

 新人でまだ何の役にも立てない俺だが。

 掃除に関しては貢献することが可能だ。

 つまり、組織において右も左もわからない新人にとって、これ以上みんなに貢献できて安全な仕事はない。

 

 そして何より。

 筋トレになる!

 生きるか死ぬかの世界でこれは大きい。

 このほうきを掃くという作業。

 とてつもなく大変で、案外腕が疲労してくる。

 いや、筋肉痛な今だからわかるけど。

 下半身や腹筋も結構使っているんだよな。

 

 俺ならば脱力して効率の良い掃き方をできるが。

 それでもなお、力をここまで使っているんだ。

 掃除を終えた後に得られる筋トレの効果は半端じゃないだろう。

 

 しかもただ筋トレをしているだけじゃない。

 みんなの役に立ち、なおかつ安全に一日を過ごせているんだ!

 

 断言しよう。

 この組織内で、これほど魅力的な仕事はない。

 ゆえに俺は自分から進んで掃除を行うこととする。

 

 ふむ。

 こんなところだろう。

 なんか掃除が大切に思えてきた。

 さすが俺。

 プラシーボ効果だと自覚していながら、それを実感させないほどの濃密なプレゼン。

 

 よ~し、頑張るぞ!

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