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第四十五話

「ほらありす。お前の特技も真似してもらえよ」

「えっ……わ、私はいいよ」


 突然の紅蓮の言葉に、ありすさんは首を左右に振った。

 

「いいじゃねぇか。どうせ誰にも真似できないだろうから、朧月に一泡吹かせてやりてぇんだよ」


 なんだと?


「……でも、恥ずかしい」

「ほら早くしろ。みんな待ってんだろ?」

「桜花さん。俺も久しぶりに見たいかも」と大志。


「…………わかった」


 えー、どんな特技なんだろう。

 すごく興味がある。

 かわいい系の技とかかな?

 

 ありすさんは無言で左の手首を持ち、少し動かした。

 すると、手首がプランッとなった。

 

「えっ……嘘だろ?」

「ははっ、驚いただろ! これがありすの特技。いつでも手首の関節を外すことができるという気持ちわりぃ得意技だ」


 なんで紅蓮が得意げなのかはわからないけど。

 すごすぎるだろ。


「指とかならともかく、手首って外れるものなのか?」

「知らねぇよ。けど、ありす以外にできる奴をウチは知らねぇ」


 俺はありすさんの方を向く。

 

「それ……痛くないの?」

「う……うん。昔からできてた」

「本当にすごいな」


 それ以外の感想が出てこない。

 

「おい朧月。お前早く真似してみろよ」

「いや、さすがに無理だろ」


 人間の構造的に不可能だ。

 できるビジョンが浮かばない。

 コツがどうこうという次元を超えている。

 

「はんっ。お前全然大したことねぇな」

「うるせぇ。少なくとも紅蓮の歯笛はできたぞ?」

「それだけじゃねぇか。おい、凡人。調子に乗ってすみませんって、ウチに土下座して謝れ」

「なんでだよ!? 絶対やらねぇ」

「ちっ、仕方ねぇ。じゃあ裸で逆立ちくらいで許してやるか」

「そもそもなんで俺が罰を受けないといけないんだよ」

「ウチの歯笛を真似したからに決まってるだろ」


 なんだその理由。

 めちゃくちゃじゃねぇか。

 よし、もう無視しよう。

 

「それでありすさん。手首……戻せるの?」


 ずっとそのままってことはないよな?

 まあ特技って言っているくらいだし。

 それはないか。

 

「……う、うん。こうやったら」


 ありすさんは再び手首を握る。

 すると、あら不思議。

 この通り元通りに……って!

 一瞬で戻りやがった。

 特に痛そうな感じもしなかったし。

 マジでどうなってんだ?

 

「すごいな……」


 何も言えねぇ。

 

「…………ありがと」


 小さい声でそんなつぶやきが聞こえた。

 あっ、今ありすさんがお礼を言ってくれた。

 なんか嬉しい。

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