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第四十四話

「面白れぇじゃん。……そうだな、じゃあ今からウチが特技を見せてやるから、真似してみろ」


 そう言って、紅蓮は顎に手を当てる。

 ん?

 顎を使った特技なのか?

 一応事前に知っておきたいし。

 聞いてみるか。

 

「何をするんだ?」

「ちょっと黙ってろ。今考える」

「決まってなかったのかよ」


 まあいいや。

 今のうちに食べ進めよう。

 

 野菜炒めをフォークでかき込んだ。

 お、おぉ!?

 これ……めっちゃ好みなんだけど。

 しょうゆが適度にかかっているのか。

 塩気がある。

 でも素材の味は死んでいない。

 胃にも優しいし、これいいな。

 気に入った。

 

「おし、まずはあれからだな。いくぞ?」


 紅蓮は口を微妙に開き、歯を少しだけ前に出す。

 そして、ピー! という甲高い音を鳴らした。

 

「おっ、すげぇ」

「はは、だろ?」

「口笛とは……違うのか。普通そんなに高い音は出ないしな」


 そもそも口の開け方が違った。

 

「これはウチが昔から得意なやつでな。歯笛って言うんだ。やってみろ」

 

 できるかな?

 まあ口笛と同じようなもんだろ。

 紅蓮と同じように口を開き、歯の出し方も真似する。

 そして、脱力して息を出した。

 しかし鳴らない。

 焦るな。

 息を当てる場所を探すんだ。

 

 いろいろと試していると、一瞬鳴った。

 あったぞ。

 歯の裏だ。

 もうできるな。

 

「よし、行くぞ」


 俺はそう宣言し、ピー! という音を出した。

 よし成功だ。

 結構綺麗に鳴ったぞ。

 どうやら舌の位置が重要らしい。

 

「……は? なんだてめぇ」


 紅蓮が睨んできた。

 

「ん? ……これじゃないのか?」

「合ってるよ! じゃなくて、さすがに習得が早すぎだろ」

「まあ確かに普通の人よりも早い自覚はあるけど、正直これならコツを掴めば誰でもたどり着けると思うぞ?」

「うるせぇな。……くそっこいつ、ウチの自慢の特技をほんの数秒で成功させやがった」


 その特技とかを習得するのが俺の特技なんだよ。

 自慢じゃないけど、この世で不可能なものはないとまで思っている。

 

「マジですごいな。俺なんて未だにできないってのに」


 そう言って大志は口を尖らせて息を出す。

 スーッという乾燥した音。

 紅蓮は馬鹿にしたような笑みを浮かべ、

 

「ははっ、大志は下手くそだな! お前何十年それやってんだよ」

「仕方ねぇだろ。全然やり方がわからねぇんだよ」

「朧月は数秒でわかったみたいだけどな」

「いや、さっきのはレベルが違うだろ。……なんにせよこれで朧月がすごいのはわかったな」

「気に食わねぇが、認めるしかないか」


 人に言われて改めて実感したけど。

 この能力ってすごいんだよな。

 俺からすると、コツを掴んでそれっぽくやっているだけ。

 大したことはしていない。

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