第一話
目が覚めた。
真っ白な天井。
自分の呼吸音。
首が固定されていて左右に動かない。
ここは……どこだ?
少なくとも俺の部屋じゃない。
とりあえず体を起こす。
ひどく重たい。
全身筋肉痛みたいだ。
いつもより呼吸がしにくい。
天井と同じく、真っ白な壁と床。
遠くに扉が見える。
その横には棚も。
誰もいない。
だがその代わりに、カプセルのようなものがたくさん並べられている。
人がちょうど一人寝転がれそうなサイズだ。
待てよ。
ふと疑問に思い、今座っている場所を確認する。
やはりそうだ。
俺もカプセルのなかにいるらしい。
なんでだ?
少なくともこんな場所は知らない。
「えっと、昨日は……うっ!?」
最後の記憶を探ろうと、脳を働かせた瞬間。
ものすごい頭痛が襲ってきた。
同時に吐き気も。
ひどく寒気がする。
風邪とはまた違う辛さ。
全体的に身体が重い。
初めて経験する感覚だ。
自分の体を見下ろす。
裸だ。
とにかく何か着ないと。
重い体を無理矢理動かして、カプセルから下りていく。
「うわっ」
上手く着地ができず、転んでしまった。
身体が思い通りに動かない。
それでもゆっくりと立ち上がる。
やばいな。
足がブルブルと震える。
まるで久しぶりに動いたかのようだ。
一度カプセルにもたれ掛かった。
しばらく足を慣らさないと歩けそうにない。
「……そういえば、俺は昨日何をしていたんだ?」
頭痛を我慢しつつ、思考していく。
確か……そうだ。
幼馴染と一緒に学校から帰っていたんだ。
鈴と他愛もない会話をしながら歩いてた覚えがある。
いつも通り仲良く帰っていたっけ。
「鈴……」
辺りを見渡すが、彼女の姿はない。
それもそのはず。
俺以外誰もいないのだから。
で、そのあとだが。
あまり覚えていない。
幼馴染と一緒に歩いていて、それから。
「俺は……家に帰ったのか?」
えぇっと。
いつも通りであればそのまま帰るはずだ。
だけど今現在ここにいるわけで。
「つまり昨日は、いつもとは違う状況だったわけか」
残念ながら思い出せない。
て、あれ?
昨日、鈴と何話してたっけ。
普段は主に学校での出来事を面白おかしく話していた覚えがある。
でも昨日は……違ったような。
しんみりしていなかったか?
気のせいだろうか。
なぜか鈴が涙を流している光景が浮かんでくる。
いや、そんなはずないだろ。
今まで喧嘩をしたことはあるけど、その度にすぐ仲直りしてきた。
鈴が涙を流していたことなんて、ほとんどなかったはず。
「じゃあなんで俺は今、鈴の泣き顔を……」
わけがわからない。
まあとにかく。
遠くの扉の横にある棚へ向かおう。
箱のようなものが見えるため、何か着るものが入っているかもしれない。
というか入っていてほしい。
周りに誰もいないとはいえ、ずっと裸なのは落ち着かない。
何よりも、早く身体を温めたい。