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秋の桜子詩集

大晦日、年越しの火がはぜる

作者: 秋の桜子

笹の葉 かしの木 松に竹


かやの木さすのが この地のしきたり

南天の赤い実が たわわにさがる


田舎のお宮の 正月飾り


老人会の じいちゃん達が

腕によりかけ 毎年作る


飾られたしめ縄も

じいちゃん達の


作品さ 老人力の結集だ


毎年思うが 見事だぜ


こじんまり佇む 拝殿近くの


大きな 大きな 杉の木 桧

お宮の御神木 一応 天然記念物


ここは少し面白いお宮でね

何と 鳥居は くぐれない


昔むかしの 大昔 村だった時


昭和時代 その時

はじめの頃のお話さ


お宮の前の道路が

大きく広く

なった

その時からだよ


川辺に建てられている

コンクリートの鳥居を

くぐれぬ様になったのは


それまでは


お宮に参るには

川にかけられた


小さなつり橋

渡っていたそうな


お宮の名前が

掲げられた鳥居


今はガードレール

きわきわに

しかとたっている


くぐれなくなってる

コンクリートの鳥居


昔はね

道が違っていたからね


それを普通に

くぐって


つり橋渡って

お参りしてたのさ


しかし道路が広くなり

それに伴い

橋がかけられた


お宮の道筋変えられて


お金がなかったらしくてね

鳥居は そのまま


ぽちんと 放置になったそう

絶対 潜れぬ 鳥居になった


今も しかりと たっている

コンクリートの 鳥居


ガードレールをのりこえて

無理やり鳥居をくぐり抜け


大石ゴロゴロ 川底の


渓流 歩いて渡り

木々に埋もれた


かつてのお宮の玄関

今は石垣 草ぼーぼー


そこを気合いで

よじ登る


そしたら拝殿に

続く道へとたどり着く


何やら ホラーが書けそうな

素敵な 素敵な 鳥居でしょう


いけない望みを 抱えた

お人を 世界を 考えて そこを


くぐらしてみようかね

もちろん 時刻は よる夜中


手には そう 蝋燭の揺らぎか

スマホの クリアな灯りも

現代的で いい感じ


フフフ 楽しい話が作れそう


おやおや いけないいけない

今宵は 師走の大晦日


パチパチはぜる 年越しの火


白い雪に埋め尽くされた

大地は ほんわり 明るい


雪明かり そこにはぜる

パチパチ パチパチ


はぜるよ はぜるよ

朱色の火の粉が


闇に舞う 空に舞う


しんと 厳かな 年越しの夜


朝まで絶やさぬ 様に

大きな太い

木がくべられている


神に捧げる その炎


パチパチ パチパチ

はぜるよ はぜるよ


赤く揺らめく ゆらゆらと

朱色に火の粉が 空に舞う


平成最後の大晦日終

平成最後の元旦の始


白い雪 赤い炎

白い息 朱色の火の粉


その火が歌う

ぱちっと声立つ


木に閉じ込められた

昭和の時が

平成の時が


ぱちっとつぶやく

闇いろ 空へと


火の粉が 揺らめき

天へと昇って 行くよ


良い年が来るよう

願を込めた


火の粉が ちりちりと

朱色く闇に飛び立ち

昇っていくよ


パチパチパチパチ

はぜるよはぜるよ


お宮の年越し

焚き火がはぜる


そして 私は かららんと


賽銭投げ入れ 鈴鳴らし


柏手打って 三三九度


頭を下げて 氏神様にご挨拶



明けましておめでとうございます

本年もよろしくお願いいたします



願い事は 言えません


神様と私だけの


秘め事ですの

おほほほほほ。














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― 新着の感想 ―
[良い点] まぶたに光景が浮かび上がり、新しい一年を迎えられる刻を感じさせられました。 [気になる点] でも、これでまた一年が終わりましたね...... [一言] 火粉は変わらずに舞い上がり、人は時代…
[一言] 新しい時代の名前は、なんでしょうね。 そういえば・・・今頃故郷では、焚火の炎が、人々の顔を照らしているのかな・・・
2019/01/01 01:30 退会済み
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