3.にんげん
その日はまず、石を生み出す、という簡単なことから始めた。
心の中でいしがほしーなー とでも思えば出てくるのだろうか。
川も水が欲しい、というと出てきたから。
目をつぶって、心の中で石が欲しい、と考える。
石だけじゃちょっと物足りないから腰のかけれるくらいの。
はぁ、もう目を開けるのが怖い。目を開けたら目の前に石があるんだろうなぁ。
目を開けた。
予想は外れた。僕は石に座っていた。
僕は「はぁ」とため息をついて石の上に寝転がった。
石の温もりというか、冷たさというかが伝わってくる。
また寝てしまいそう。けど、あいつが出てくる。
よし、いいこと考えた。
僕はゆっくりと目を閉じた。
「僕に羽をください。」
僕は飛び立った。大空へ。
これでどこまでも行ける。
地球でもこうやって飛べたらなぁ。
よし、「にんげん」を作ろう。
目を閉じて、唱える。
出てきたのは女の子。
ここはどこかとキョロキョロしている。
僕が見えるのかな。
その子に近づいていく。
どれだけ近づいても、鼻と鼻がくっつくくらいまで顔を寄せても気づかなかった。
「だめかぁ…」
「ぇっ?だれ?」
女の子がいきなり叫んだ。
「えっ?聞こえるの?」
「だ、だあれ…?」
聞こえているみたいだ。
「私はこの世界を作った神様。」
一度言ってみたかった事。
「か、かみさま?」
忘れていた。この子はまだ4歳くらいだ。
わかるはずがない。
そうだ、名前をつけよう。
この子はリサだ。
目を閉じて唱える。
試しに名前を聞いてみた。
「私は…………リ、リサ?」
よし、成功だ。ちゃんと伝わってる。
これからはリサをサポートしていこう。
楽しい人生にさせてあげよう。
僕はそう思う。
「リサ、よろしくね。」






