第五章 戦い
第四章 あらすじ
竜胆に妖のことを話した孫呉たちのとこに卯の妖、鈴鐘が現れた。
悟空は記憶喪失で鈴鐘に会い全てを思い出した。
悟空のような妖は十二居てそれぞれが違う能力を持っていることを知った。
次の日に何かがあることを知らずに眠りについた孫呉。
孫呉らを待ち受けたのは・・・
次の日
俺は優里を誘い二人で出かけた。
「昨日は悪かったな・・・いきなり、怒鳴ったりして・・・」
「ううん・・・私こそ・・・ごめんなさい。」
ちょっと気まずいな・・・
「アイスでも・・・食うか?」
「うん。」
優里はアイスを食って機嫌が直った。
まるで小学生だな・・・
しばらく歩いて・・・
「あそこのショー見て行かない?」
「あぁ・・・」
そこには水野さんが居た。
「どうしたの?」
「・・・」
俺は耳打ちで優里に、
『俺は水野を疑ってるんだ。』
そしたら優里も声を小さくして、
『何に?』
『俺はあいつを妖だと思ってる』
『水野さんが?』
『あぁ、扇子から水が出たりするわけないだろ?』
『あれはホースから水を引いてるんじゃ・・・』
こいつも結構アホだな・・・
『あの辺りにホースなんかあるか?』
『・・・ない』
『だろ?』
『うん』
『近づいて見よう。』
『えぇ。』
俺たちはショーをやってる近くへ寄った。
俺は目を凝らしたが何もわからなかった。
ショーが終わり、
「すごかったね」
などと子供たちが言いながら金を箱に投げ入れて帰っていく。
「こんにちは、水野さん」
「孫呉君、こんにちわ。・・・あら、そちらは?」
水野は優里を見て言った。
「こいつは・・・」
「竜胆優里です。」
優里は自分で名乗った。
「俺の友達です。」
「こんにちわ、かわいいお友達ね。」
優里は照れているのか顔が赤い。
・・・なぜだ?
「このショーは手品ですか?」
「え、えぇ・・・まぁ、一応ね。」
「トリックは?」
「・・・わ、私これから用があるから。またね。」
水野は逃げるように立ち去った。
「これで確信が出来た。」
「なんの?」
「水野は妖だという事。行くぞ!」
俺は水野を追ったが、
「い、いない。」
すぐに逃げられた。
家へ戻り悟空や鈴鐘にこのことを言おうとしたが、
「ただいま。」
「・・・誰も居ない・・・」
二人はどこかへ出かけていた。
帰ってくるまで待つことにしたが、
「もうこんな時間だ・・・」
二人は一向に帰ってこない。
「・・・二人ともどこいったんだろう。」
優里も心配してる。
「・・・俺、探しに行ってくる。」
「じゃあ、私も・・・」
「お前は来るな。二人が帰ってくるかもしれない。」
「・・・わかった。」
「俺がしばらくして帰ってこなかったら探しに来い。いいな?」
「うん。」
俺は二人を探しにでた。
「居ねぇな・・・」
どこを探しても二人は見つからなかった・・・
そりゃそうだよな、普通の人間が探すのには限度ってもんがある・・・
またしばらく探たが見つからなかった・・・
俺はあきらめて家へ帰ろうとした。
「・・・?水野さんだ・・・」
そこへ水野さんが帽子を深くかぶって走ってきた。
「あれは・・・」
後ろには誰かがつけていた。
俺は気にせず家へと足を運んだ。
そして少し歩いて・・・
「今のは優里じゃねぇか!」
あのつけている奴が優里だときずき二人を追いかけた。
そしてたどり着いたのは・・・
「ここは・・・水族館か?」
つぶれた水族館だった。
俺は中に入り三人を探した。
「悟空!」
名前を呼んでみた。
「鈴鐘!」
しかし返事はない・・・
「優里!」
帰ってくるのはむなしく響く俺の声のやまびこだけ・・・
「みんなど・・・!」
俺は微かに聞こえる音に気づいた。
「・・・」
しばらく耳を澄まし、
「あっちか!」
音の聞こえる方へ向かった。
そこに居たのは・・・
「悟空!鈴鐘!優里!」
ぼろぼろになったみんなだった・・・
「みんな!」
「そ・・んごか・・・」
「悟空・・・くそっみんなをこんなにした奴は誰だ!!」
誰がこんな事を!
「私よ。」
「水野さんっ!やっぱり、あんたは妖だったんだな!」
「えぇ、そうよ」
「みんなをこんなにしやがって!!」
おめぇは・・・
「おめぇは・・・ぜってぇゆるさねぇ!!」
「あら、そう・・・宝玉を渡して。」
「なんだと・・・」
宝玉・・・?
「んなもん知らねぇ・・・」
「知らないはずないわ!」
「!!」
「扉を開いた者は宝玉の在りかを知っている。」
「何のことだか知らねぇが・・・みんなをこんなにしたお前を、俺はゆるさねぇ!」
「まだ白を切る気なの・・・?それなら・・・」
水野は手を前に出した。
「何をする気・・・!」
なんだ・・・?
弾丸のような物が俺を横切った・・・
「!!」
水野の指から水の弾丸が飛んでくるのか!
俺は弾丸を避けながら、
「食らえっ!!」
水野に殴りかかった・・・が
「ふっ」
水野は不気味な笑みを浮かべた。
・・・その時。
「ぐあっ!」
水野が指を俺に向けて弾丸を撃ってきた。
「ぐあぁ・・・」
俺は致命傷を負った・・・
それでも俺は自分の体を無理に動かした。
「まだやる気?」
「そん・・・ごく・・・ん・・・に・・・げて・・・」
に・・・げろ・・・だと・・・?
ボケナスがっ!
「俺は・・・にげねぇ!!」
「で・・・も・・・」
俺は・・・
「俺は・・・前に逃げ・・・て大事な・・・人たちを・・・喪ってるんだ!!」
「そんなことしても無駄よ。」
水野は指から大量の水を出してきた。
「時機ここは水でいっぱいになる、あなたたちは酸欠で死ぬのよ!」
「死んで・・・堪るか!俺は・・・全ての妖を封印し・・・この世界・・・を守る!」
「あぁ・・・そうだな、孫呉!」
・・・!!
「悟空・・・!」
「俺たちは妖を封印する・・・!」
「ふん・・・そんなよまい言を!」
水野はさらに水の量を増やした。
そして、水は部屋いっぱいになった・・・
『俺の能力を使え、孫呉!!』
『あぁ!』
「何してるかわからないけど、そんな事したって無駄よ!!」
水野のスピードが上がったが・・・
「!!・・・いない。」
「こっちだーっ!!」
俺は如意棒を振りかざした。
「ぐはっ・・・」
水野はその場で倒れた。
俺は水野をすばやく縛り上げた。
そしてドアへ向かったが、
「・・・!ダメだ・・・水圧が大き過ぎて開かねぇ・・・!」
「早くこの水をどうにかしないと・・・」
優里や鈴鐘が死んじまう・・・
「・・・なぁ、鈴鐘は妖のそれぞれが特殊な能力を持ってるって行ってたよな。」
「あぁ、だがそんな事今は関係ねぇだろ!」
・・・いや、関係ある!
「お前の特殊な能力がわかった・・・」
俺は神経を集中させた。
そして、
「!!」
体中が炎に包まれた。
「うわっ!なんだ!」
「これがお前の特殊な能力・・・お前は『炎使い』だ!」
俺はさらに集中し炎の勢いを増した。
すると水はどんどん蒸発していった。
「げほっ!げほっ!」
「大丈夫か?優里、それに鈴鐘。」
「え・・・えぇ。」
「・・・!そうだ!水野さんは?」
優里ずっと気絶してたな・・・
「大丈夫、俺が倒したから。」
「後はお前らの仕事だ。」
「・・・わかった。」
二人とも状況が読めたようだ。
二人は水野を札に封印した。
家へ向かってる間に、
「ねぇ、孫呉君。」
「・・・ん?なんだ?優里。」
「さっき『俺は前に逃げて大事な人たちを喪ってるんだ!!』って言ってたよね?」
「あぁ・・・それがどうした?」
「ちょっと聞きづらいんだけど・・・それって孫呉君の親のこと?」
こいつは・・・
人の話したくないことを・・・
「・・・あぁ・・・そうだよ。」
「何かあったの?」
「・・・出来ればそのことは聞かないでくれないか・・・」
「・・・わかった。」
そのまま沈黙が続き家へたどり着いた。
・・・それにしても、
「今日はなんかすごい一日だったな・・・」
「そうね・・・」
「・・・なぁ、悟空たちは水野が妖だって事知ってたのか?」
「あぁ・・・うすうすな。」
うすうすって・・・
「いつからだ?」
「昨日から。」
「・・・俺もだ。」
「そうか・・・」
・・・なんだこの会話は・・・
「何で妖だと?」
「微かだが能力を感じたんだ。」
「微か・・・?」
「あぁ・・・あいつは能力の気配を限りなく消していた。」
そうだったのか・・・
「お前は何で?」
「水野のショーを見てな・・・絶対出来ないことをしていたからだ。」
「そうか。」
「・・・あ、明日はどこか移るの?」
優里が違う話を持ち出してきた。
「お前らもやっぱ来るのか?」
「えぇ、私たちだって妖を封印する者だもの。」
「そうか。」
俺は何で馬鹿な質問をしたんだろう・・・
こいつらだって悟空の仲間だ。
「で?いつ行くの?」
「いや・・・今行く。」
「・・・今?」
「あぁ・・・鈴鐘の術の札を使い足を早くさせる。それで行く。」
「・・・出来るか?鈴鐘。」
「出来るわよ。私の札をなめないで。」
そして、鈴鐘の札を使い俺たちは次の町と向かった。
次の町では新しい仲間に出会うのか、
その仲間はどのような能力を持っているのか・・・
第五章 完