第三章 十二支
第二章 あらすじ
孫呉は自分がどうなったのか、
この猿は何者かを知り、
自分の定めを知った。
孫呉は妖を全て封印するために旅に出た・・・
最初の町は海の近くの港町。
家を出て一週間たった。
「なぁ、妖なんか居ねぇじゃねえか。」
「だがここに妖の能力を感じるんだ。」
本当なのか?
「孫呉、お前は俺にあまり話しかけるな。」
「何でだ?」
「俺の声が聞こえるのはお前だけだ。・・・お前はただの猿に話しかけてるようなもんだ。」
「了解。」
そうだった。
こいつは妖なんだ。
俺や妖にしか聞こえない音で話してるんだったな。
・・・すっかり忘れてたぜ。
俺は何も言わず歩き出した。
俺がたどり着いた所はぼろいアパート。
俺はとりあえずここで暮らしている。
このアパートはとりあえずペットは入れてもいい所なんだ。
「あーっ!なんもわかんねぇーっ!」
「そういうなよ。」
そういうなよって・・・
「なんかいい情報ないかな。」
「そう簡単には見つかんねーよ」
あぁ・・・
わかってる・・・
わかってるけど・・・
「俺明日は一人で探してみるわ。」
「わかった。じゃあ俺も一人で探してみらぁ。」
「誰にも見つかんなよ?悟空。」
「わかってら。」
俺らは今、妖を探してるわけだがそいつが見つからないんだ・・・
「おい。腹へってねぇーか?」
「あぁ、腹へ・・・」
「ん?どうした?孫呉。」
「お前、誰だ?」
「あぁ、そういや言ってなかったな。俺人間に変化出来んだよ。」
「そういう事は早く言ってくれ・・・大事なことだからさ・・・」
「わるいわるい。」
「今日は?」
「焼きそばの野菜多め」
「うまそうだな、いただき。」
そして深夜、
「いいか。今日は妖力を使って自分の相棒を作るんだ。」
「わかった。」
俺は悟空をクロス(自分の体へ取り込むこと)をして武器を作ろうとした。
「相棒ったっていろいろあるぞ?それにどうやって作るんだよ。」
「あぁ、作るのは簡単だ。頭で相棒を思い浮かべるんだ。」
「それだけでいいのか?」
「あぁ。あと形は何でもいいぞ。孫呉が使いやすいと思うものにすれば。」
「そうか・・・じゃあ。」
俺はある武器を思い浮かべた。それは・・・
「よし!出来た!」
「これ・・・見たことあるな・・・」
悟空は何かつぶやいてるが気にしなかった。
「孫呉、その武器はなんて言うんだ?」
「へへっ、こいつの名は如意棒だ。」
「如意棒か・・・いい名だな。」
「あぁ。」
そう、俺が思い浮かべたのは西遊記の孫悟空が使うあの『伸縮自在の棒』だ。
「これが俺の相棒になるんだ。」
「一度決めたら変えられねぇぞ?それでいいか?孫呉。」
「なら他に作ればいいだろ?」
「まぁな。」
「だが、俺の相棒は如意棒だ。」
「わかった。」
俺は武器をしまい寝床に着いた。
次の日・・・
俺たちは別行動をとりそれぞれ情報を捜すことにした。
「んー・・・」
どこ行きゃいいんだろう・・・
そう思って俺はとりあえずベンチに座った。
「ん?なんだろ・・・」
俺は人だかりを見つけそこへ行ってみた。
「うわーっ。」
「きれい・・・」
「すごーい!」
子供がそれぞれ口に出していた。
『何がすごいんだ?』
そう思って俺もそれを見てみた。
「・・・」
そこではショーをやっていた。
水を使ったウォーターショーだった。
『確かにすげぇな・・・』
そこで女性が一人でショーをしていた。
女性が取り出した扇子から水が噴水のように飛び出てきた。
しかし女性は手を滑らして水を自分にかけてしまった。
「あーあ、失敗失敗。・・・今日のショーはこれでおしまいです。」
女性がそういうとみんな金を箱に投げ込み帰って行った。
俺も金を出したかったがあいにく金がなかったので、
「大丈夫ですか?」
と言ってハンカチを渡した。
「・・・ありがとう。」
と言って女性はハンカチを受けとった。
「すごかったですね。」
「ありがとね。」
「あの・・・お名前を聞いても?」
「はい。私は水野です。水野優です。あなたは?」
「俺は龍。龍孫呉です。」
「孫呉君ね。よろしく。」
「よろしくお願いします。」
俺はこの水野さんを少し疑っている。
「今のショーどうやったんですか?」
「え・・・そ、それはヒミツよ。」
「そうですか。今度はどこで?」
「明日またここにきてショーをやるわ。良かったら来てね。」
「はい。」
水野さんとの話が終え、俺はまたベンチに座った。
「んー・・・」
俺は考えた、
水野さんには怪しい点がたくさんある。
しかし、妖だと言う確信が持てない・・・
「あーっ!わかんねぇっ!」
「何がわかんないの?」
俺は誰かに話しかけられ振り返った。
「悩みなら聞いてあげようか?」
そこには中学生くらいの女の子が立っていた。
「・・・何?」
「何ってあなたがすごい考え込んでたから悩みかなと思って。」
その女の子は笑顔を見せながら言った。
「・・・」
なんか・・・すごい癒される・・・
「あんた・・・誰?」
「あ、ごめんごめん。私は竜胆優里って言うの。」
「・・・なんか中学生っぽいけど・・・学校は?」
「すごい!中学生ってわかる?」
「あぁ・・・」
「私いっつも小学生と間違えられるの。初めてよ!中学生って言われたの!」
「あ、そう・・・」
なんかこのテンションついて行けない・・・
「私ね、学校行ってないの。」
いきなりかよ・・・
「・・・は?中学は義務教育だぜ?」
「うん・・・そうなんだけど、親を早くに亡くしてるからお金とか払えなくて・・・」
俺と同じ・・・
「そうか・・・悪いこと聞いちまったな・・・」
「あ、ううん。気にしないで。」
そうか・・・
こいつ自分を無理やり明るくさせて・・・
「あ、やべっ。もうこんな時間だ。・・・帰らなくていいのか?」
「・・・私、帰るとこないから・・・」
そうか・・・
「・・・家来るか?ぼろアパートだけど・・・」
「いいの?私たち今日初対面だよ?」
「いいのいいの。俺もお前に似てるから。」
「?」
竜胆は俺の言ったことがわからなかったみたいだ。
「ただいま。」
「孫呉、おかえ・・・!!」
「さ、あがって。ぼろアパートだけど。」
「こ、こんばんわー。」
「おい、孫呉!」
「ん?あ、悟空。ただいまー。」
・・・なんだ?悟空の様子が変だ・・・
「なにかあったのか?」
「お前が連れてきたやつ・・・」
「あぁ、こいつはさっき知り合った竜胆優里って言うんだ。」
「そうじゃなくて・・・!」
こいつがどうかしたのかな・・・?
そういえば竜胆の様子もちょっと変だ。
「どうかしたか?」
「・・・孫呉君の猿ってしゃべれるの?すごーい!」
「!!」
悟空の言いたかったのはこれか!
「なぁ竜胆・・・」
「何?」
「・・・お前、最近なんか変なことなかったか?」
「特には・・・」
「・・・ちょっと聞きずらいんだが・・・腕、見せてくれ・・・」
「う、うん・・・」
俺は竜胆の服の袖をまくった。
「やっぱり・・・」
そいつの腕には予想通り絵が刻まれてあった。
「竜胆、ちょっとそこに居てくれ。」
「わかった。」
「ちょっと悟空。」
俺は悟空と話した。
「あいつもまさか妖の能力を?」
「あぁ、そうみたいだな。」
でもなんでだ?妖の能力は扉を開けた俺だけなんじゃ・・・
「そうだ・・・思い出した。」
「なんだ?」
「俺と同じ妖は十二の年の者だと言うこと。」
「つまり、妖を封印する妖は十二人居て十二支:子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥に当てはめてあるって事か?」
「そうだ。」
って事は
「あいつには何が?」
「卯だった。」
「俺が申だから・・・」
「他に十人いるのか・・・」
マジかよ、おい・・・
「あいつに説明するか?」
「そうだな」
そして俺らは竜胆にこのことを説明した。
第三章 完