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わりとどうでもいい地球侵略。ver.2  作者: もじ
わりとどうでもいい新章
8/12

#7.由香里編4

「んん……」


目を覚ました私は、また一騎君におぶられていた、どうやら途中で倒れてしまったらしい。


(あれ……私……)


確か、また灰色の世界にいて、そこで一騎君が戦っていて……皐月っていう女の子が殺されそうになってて……


それを止めようとして。


そこから、どうなったんだろう?


「お目覚めかい?ははは、今回は流石に心配したよ」


返事の代わりに、一騎君に尋ねる。


「あの、私……どうなっちゃったんですか?」


「覚えてないのかい?」


「途中まで、しか」


呼び掛けた所で、記憶が止まっている。一騎君は暫く無言で歩き続け、すぐに家の前に着き、そこで私を下ろした。


「さ、到着だ」


そのまま私に背を向けた。


「何があったか、教えてくれないんですね……」


それって、酷くないですか?

そもそも何で私をあんなところに連れて行ったの?

異星人とか、有馬君のこととか、私に何の関係があるの?


勝手にやっててよ……


私の知らないところで。


「一つだけ」


「え?」


立ち止まった一騎君は、こちらを振り向かずに……話した。


「皐月は殺していないよ。君の望みは叶えた」


それだけ残して、立ち去った。

私はとりあえず安堵する。


(国分さん、よかったね……)




「ゆーかーりー」


「ひっ!?」


扉を開いた先では、怖い顔で腕組みをした有馬君が仁王立ちしていた。意気消沈しきってはいたけれど、何処か日常に戻れた気がしてホッとする。


のも、束の間。


「お尻出しなさい」


「は?」


な、何を言っているのでしょう?


「は、じゃないだろう?今何時だと思っている?余は由香里を夜遊びするような悪い子に育てた覚えは無い。間違いを正すべき、余は泣く泣く由香里のお尻を叩く。生だ」


いやいや、私はあなたに育てられた覚えがありませんよ……。それにお尻叩きとか立派なセクハラだよ?私ちっちゃい子じゃないし……生とか、そんなことされたら……自殺します。


「あの、心配させちゃったのは……その、ごめんなさい。でも、仕方なかったんだ」


俯いていると、有馬君は慌てて駆け寄り、私の両肩を掴んだ。


「まさか!?また、怖い目に遭ったのか!?」


その言葉を聞いた瞬間、何故か涙が溢れてきた。

私を心配してくれる人がいる。

それが……嬉しくて。


「あ、りま……くん……私、怖かった……怖かった、よう……」


泣きじゃくる私を、有馬君はよしよしと抱き締めてくれた。


「一度ならず二度までも由香里を苛めるとは……!何処の馬鹿か知らんが懲らしめる必要がある!」


「うわああぁぁああん!」


泣き止まない私を、有馬君はお姫様だっこで部屋まで連れて行ってくれた。


「由香里、お腹空いてないか?プリンがあるぞ。美味いぞ」


プリンって……あ、そう言えば。


「その、お使い出来なくて……ごめんね」


「ははは、気にするな。お使いの事も……今日の事も。そのうち由香里を苛める連中纏めてとっちめて、土下座させて謝らせてやるからな」


「うん、うん……」


私はまた、有馬君の胸の中に抱き付いた。そして……服を着替える事も忘れ、眠ってしまった。




怖い思いをした春休みも終わり、私も2年生になりました。新しいクラスに馴染めるか心配だったけど……何とか友達も出来て一安心、一騎君にはあれ以来会ってないし、有馬君もいるし……。


有馬君。

一騎君は、あの時の様に有馬君にも襲い掛かるのだろうか?以前の話だと有馬君は一騎君の一番のターゲットみたいだし……二人が出会ったら間違い無く、ただでは済まない。


嫌だ、そんなの……。


有馬君は私の家族なんだ、危険な目になんて合わせたくない。どうすれば、二人の衝突を回避出来るのだろう……。


(でも、私に出来ることなんて……)


無いよね。

国分さんみたく戦えないし、有馬君が襲われても、守ってあげられない。

それに一騎君に関して、知らない事ばかりだ、何に気を付ければいいか教えてあげることすら出来ない。


(有馬君、私……あなたを守りたい)


どうすれば、それが出来ますか?


「きゃは!由香里ちゃん、恋する乙女の顔ですー」


「ひゃ!?……三葉ちゃん」


急に話し掛けられ、危うく転びそうになってしまう。何とか持ち直す。


「もう、そんなんじゃないよ」


私はただ……家族として。


「きゃは!ま、そゆことにしといてあげるです。でも……悩みがあるなら、相談に乗るですよ?」


その新しく出来た友達、三葉ちゃんに励まされ少し元気を貰えた気がした。


「ありがとう、心配してくれて」


そうだ、前向きに考えよう。

ヒントに繋がる事がきっとあるはずだ。

思い出せ、昨日のこと。

あの場にいたのは……一騎君、国分さん、皐月さん、国分さんが背負ってた女の子。一騎君以外、知らない人ばかりで……ヒントなんて。




いや。




あと二人、私は見ている。

それは皐月さんが見せた夢の中……ツインテールの子は、知らない人。


もう一人は……。


!?


いた。

見つけたかも!

あの人なら、何か知っているかもしれない。

うん、そうだよ。放課後、早速会いに行ってみよう。


……やったよ、有馬君。

待ってて。すぐ、あなたを守れる方法を考えるからね。

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