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わりとどうでもいい地球侵略。ver.2  作者: もじ
わりとどうでもいい新章
10/12

#9.由香里編5

お昼休み、私は夢の中で見た人に会う為、生徒会室を訪れた。


(私なんかと、会ってくれるかな……)


意を決して扉をノックする。


「あ、あの……私、2年A組の武由香里っていいます。その、少しお伺いしたい事がありまして……」




「どうぞ」




とりあえず、会ってはくれるみたいだ。良かった……。ホッと胸を撫で下ろしつつ、扉を開いた。


「失礼します。その、突然押し掛けてすみません……」


私がぺこりと頭を下げると、その人はにこりと微笑み掛けてくれた。


「ふふふ、よろしいのですよ。そちらにお掛けになって」


生徒会長に促され、私はソファーに腰掛ける。緊張する……私、ちゃんと話出来るかな?

暫らくして、ティーセットを持った生徒会長が向かい側に着いた。


「紅茶でよろしかったかしら?」


「はい、ありがとうございます……」


生徒会長は和かに話しかけてくれる。私も、こんな風になりたいな。依然俯き気味な私に、生徒会長の方から話を切り出してくれた。


「武さんと仰いましたね。(わたくし)に聞きたい事とは、どのような?」


「はい……」


真っ直ぐにこちらを見つめる生徒会長。うーん……何処から話すべきなのかな?話が話なだけに、見間違いだったらそれまでだ。

でも、他に当ても無いし生徒会長が夢の中で見た人だと信じるしかない。


「あの……変な事かもしれません。私の思い込みの可能性も高いです。それでも……いいですか?」


「ええと……よくわかりませんが、構いませんよ」


「ありがとうございます。じゃあ……」


生徒会長の言葉にひとまず安心した私は、順を追って説明した。


有馬くんのこと。

一騎くんのこと。

そして私が目の当たりにした灰色の世界、その中で繰り広げられる俄かに信じ難い光景……。自分でも何言ってるんだろって思う、それでも生徒会長は真剣な顔で耳を傾けてくれた。


「なるほど、それはさぞ怖い思いをされたのですね。お可哀想に……」


「はい……」


(生徒会長、信じてくれてるのかな?)


疑っているような感じには見えないけど……。


「仰る事は何と無くわかりましたが、何故それを私に?」


「はい……」


ここから先は、親身になってくれた生徒会長を裏切りかねない。夢の中であなたを見ました、何かご存知では?という質問を……私はしなくてはならない。


でも……言えない。

どうしたら……。


「武さん?」


「あの、ええと……」


やっぱり、来るべきじゃなかったのかな?

私が俯いて、黙り込んでいると……生徒会長は急にくすくすと笑い始める。


「生徒会長?」


「……いえ、お気になさらないで。そうですわね、生徒の悩みを聞くのも私の仕事のうち。出来る限りの事はさせて頂きますね」


「生徒会長……それって」


何とか出来るんですか?こんなわけのわからない問題を……。


「ふふふ、私の知り合いに何とかしてくださるかもしれない方がおりますの。お願いしてみますね」


(これって……)


確信は無いけど……多分、あの人は生徒会長だったのだろう。どちらにしても、その人なら有馬くんを助けてくれるかもしれない。


「ありがとうございました、生徒会長」


「よろしいのですよ。では、放課後にでもまたいらしてね」


私はもう一度、生徒会長に深くお辞儀をし、部屋を出た。凄く緊張したけど……それなりの成果を得られた事に安堵し、教室へと戻る。

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